RECOMMENDED SEASONAL MENU JANUARY 2025
コラム『味と技』第147回
春のあけぼの
1月は、寒さは続くけれど、陽ざしは明るく、日は長くなり、春の気配を感じます。
そんな季節の美味しさをあつめて、15品おすすめします。
2024年の営業は12月30日(月)までです。今年もたくさんのご利用、ありがとうございました。
2025年は1月6日(月)から営業をはじめます。引き続きご愛顧のほど、よろしくお願いします。
監修/料理長・井上裕基
写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue
Photo・Text by George Oda
●前菜
1.ブラータチーズと洋梨
メニューについて
ブラータチーズと味わう、季節の食材シリーズです。
1月の一品目は、洋梨をおすすめします。
お召し上がり
洋梨の果肉はきめ細かく、柔らかく、果汁はしっとりして、フルーティな香りが香水のように高く、甘みにコクがあります。
その美味しさをブラータチーズのミルキーな風味が引き立てます。
2.ブラータチーズとイチゴ
メニューについて
ブラータチーズと味わう、季節の食材シリーズです。
1月の二品目は、イチゴをおすすめします。
調理
お召し上がり
イチゴの果肉は柔らかく、サクッとした歯ごたえが心地よく、しっかりした甘みと、ほどよい酸味のバランスがよい。
その美味しさを、ブラータチーズのミルキーな風味が引き立てます。
3.ハタのカルパッチョ ゆずドレッシング
メニューについて
1月のカルパッチョは、春の産卵を控え、栄養を蓄え、脂がのって美味しくなるハタをおすすめします。
調理
◆ハタの下ごしらえ
◆ゆずドレッシングをつくる
お召し上がり
ハタの身は締まり、しっかりした食感で、脂は上品で、旨みは繊細です。
ゆずドレッシングの爽やかな酸味は、空気が乾燥する冬に美味しく、フィンガーライムの果肉のプチプチした食感がアクセントです。
4.白子のフリット アラビアータソース
メニューについて
1月のフリットは、冬の味覚、白子をサクサクの衣で揚げておすすめします。
調理
◆揚げる
お召し上がり
白子のパン粉はサクサクで香ばしく、小粒のため、味わいは軽やか。
中から出てくる白子は濃厚な舌ざわりで、旨みをアラビアータソースが引き立てます。
5.トリッパと白インゲン豆、黒キャベツの煮込み
メニューについて
イタリア式のモツ煮込み、トリッパ。
1月は、イタリアの冬野菜、黒キャベツを加え、味わい深く仕上げました。
調理
◆トリッパの下ごしらえ
◆トリッパを煮込む
◆仕上げる
お召し上がり
煮汁は、さまざまな野菜から出た旨みと甘みが豊かに調和し、豚肉の脂分と旨みがベースを支えます。
トリッパはシャキシャキした食感で、味わいは淡白ながら、美味しい煮汁がしっかり染みています。
6.釜揚げシラスのフリッタータ
メニューについて
イタリア式の平たいオムレツ、フリッタータ。
1月は、釜揚げシラスを合わせておすすめします。
調理
お召し上がり
シラスの一匹は小さいけれど、卵でたくさん集まると、美味しさの存在感が出てきます。
その香ばしさや旨み、塩気などは、パンやワインとよく合います。
7.和牛のトルテッリ バターソース 白トリュフかけ
メニューについて
トルテッリは北イタリアで生まれた詰め物パスタです。肉のペーストを詰めて茹でると美味しさがきわだちます。
1月は、和牛のペーストを詰め、白トリュフを振りかけて仕上げました。
調理
◆和牛のラグーをつくる
◆和牛のペーストをつくる
◆トルテッリを製麺する
◆仕上げる
お召し上がり
和牛のペーストは、トルテッリのなかで茹でられ、肉汁や野菜が味が循環して混ざり、ジューシーでまろやかな味わいです。
トルテッリの生地は、厚い部分と薄い部分の剛柔の食感のちがいが面白く、飽きない味わいです。
8.白トリュフのタヤリン
メニューについて
白トリュフの特産地、イタリア北部ピエモンテ州で生まれた極細パスタ、タヤリン。
バターソースを絡めながら味わう、白トリュフの味と香りは格別です。
調理
お召し上がり
タヤリンとバターソースは、一体になり、とろとろの液状のなかに、わずかな食感を感じます。
白トリュフの香りを食べながら感じる至福の後、皿に残ったソースをパンにつけて楽しみます。
9.ホッキ貝と菜の花のスパゲッティ カラスミかけ
メニューについて
初夏の産卵期に向けて、冬から春に栄養を蓄えるホッキ貝の美味しさを引き立てたスパゲッティです。
春の野菜、菜の花を合わせました。
調理
◆ソースをつくる
◆仕上げる
お召し上がり
ホッキ貝は、弾力ある食感で、噛みしめると磯の風味や旨みが出てきます。
菜の花のほろ苦さとカラスミの塩気がアクセントです。
10.和牛とラディッキオ・タルディーヴォのパッパルデッレ
メニューについて
肉料理が名物のイタリア中部トスカーナ地方で生まれた幅広パスタ、パッパルデッレ。
1月は、和牛のラグーソースに、イタリアの冬野菜ラディッキオ・タルディーヴォを合わせておすすめします。
調理
◆ラディッキオ・タルディーヴォの下ごしらえ
◆ソースをつくる
お召し上がり
大粒の和牛は、ほろほろに柔らかく崩れ、煮汁がしっかり染みて、旨みが濃厚です。
ラディッキオ・タルディーヴォのシャキシャキした食感や、スモーキーな炭火香がアクセントです。
11.伊勢海老のリゾット
メニューについて
冬から春にかけて美味しくなる伊勢海老のリゾットです。
日本で古くから縁起物とされている伊勢海老の見た目が、新春の気分を盛り上げます。
調理
お召し上がり
魚介類と米は相性抜群です。伊勢海老の出汁が効いて、食欲をそそります。小さくカットした伊勢海老の身は、弾力ある食感で、旨みがしっかりして、リゾットとのコントラストに飽きない味わいがあります。
菜の花のほろ苦さや、ウドのサクサクした食感がアクセントです。
12.鮮魚とムール貝のアクアパッツァ サフラン風味
メニューについて
イタリアの煮魚料理の定番、アクアパッツァ。
1月は、鮮魚にムール貝を合わせておすすめします。
調理
お召し上がり
煮汁は、ムール貝の出汁が効いて、鮮魚の身をほぐしながら、一緒に味わうと格別です。
ミニトマトの酸味がほどよいアクセントです。
13.キアニーナ牛の炭火焼き
メニューについて
炭火焼きの肉は、新春らしく、イタリアのブランド牛の最高峰「キアニーナ牛」をおすすめします。
キアニーナ牛とは
キアニーナ(Chianina)牛は、イタリアの牛の品種のひとつで、この牛が生息するイタリア中部トスカーナ州のキアーナ渓谷(Val di Chiana)の地名が品種名の由来です。
前史時代の巌窟壁画にも描かれた大きな白い牛で、体高は2m近くになる、世界最大の種類です。
古代ローマ時代から神聖なものとされ、神事のパレードには欠かせない存在です。
現在は、イタリア最高峰の牛肉として知られ、その表記は、欧州連合統一の地理的表示保護認証(IGP)の対象として、厳しい規定のもとで管理されています。
脂肪が少ない赤身肉で、柔らかく、肉汁がしっとりして、甘みや旨み、コクが豊かに広がります。
キアニーナ牛の復興と信仰を目指して2014年に創業したトスカーナ州のサン・ジョッべ農場から仕入れています。
調理
お召し上がり
キアニーナ牛の赤身は柔らかく、噛みしめると繊維がサクサク切れて心地よく、肉汁は旨みが濃厚で、コクが深く広がります。
表面の焼き色のスモーキーな炭火香や苦み、黒コショウのスパイシーな辛みがアクセントになります。
14.ブロッコリ・フィオラーロのソテー
メニューについて
肉料理の付け合わせは、イタリアの冬野菜、ブロッコロ・フィオラーロをおすすめします。
調理
お召し上がり
ブロッコロ・フィオラーロは、青々しさは控えめで、噛みしめると香ばしさや旨みが広がります。
バターやチーズと相性抜群で、ミルキーな風味が、炭火焼牛肉と相乗効果になり、旨みを引き立てます。
15.イチゴのズッパイングレーゼ
メニューについて
ズッパ・イングレーゼは中世のトスカーナ地方を統治したメディチ家が、お客さまをもてなすために開発したとされるお菓子です。
メディチ家が修道院でつくったリキュール、アルケルメスを使ったシロップを染みさせたスポンジとクリームを重ねてつくります。
トスカーナ地方を観光で訪れる英国貴族が好んだことから、イタリア語で「英国のスープ」を意味する名称で親しまれています。
1月は、イチゴを加えておすすめします。
調理
◆組み立てる
◆トップを飾る
お召し上がり
アルケルメスがたっぷり染みたスポンジは、ほとんど液状で、クリームと一体になります。
そのなかから香る、アルケルメスの薬草香が、イタリアらしい大人のお菓子の余韻です。
つぶらなイチゴの甘酸っぱさや、ポリポリしたチョコレートのビターな甘みがアクセントです。
新春のディナーは、
ラ・ビスボッチャの季節のおすすめメニューで、
お楽しみください。