第14回 CHRISTMAS SPECIAL MENU 2017

前菜盛り合わせ クリスマススペシャル(1人前)
解説/料理長 井上裕基
写真・文・エッセイ/ライター織田城司 Commentary by Yuuki Inoue Photo・Text・Essay by George Oda
メニューについて
クリスマスの特別感を、とっておきのイタリアンで味わう
いつもご利用いただき、ありがとうございます。 クリスマスは、美味しい料理をゆっくり楽しみたい、というお客様のために、ラ・ビスボッチャでは、12月22日(金)〜12月26日(火)の5日間、クリスマス限定メニュー8品が登場します。 メニューはイタリアのクリスマスをイメージ。家族がそろった宴に、お母さんが台所の奥から出してくる、とっておきの食材を使った料理。思わぬごほうびに、家族からよろこびの歓声と笑顔がこぼれます。 そんな場面をイメージして、国内外から集めた冬の味覚と、熟成された食材をシンプルに調理しました。素朴な味の中に感じる、力強さと奥深さをご堪能ください。 1. 前菜/前菜盛り合わせ クリスマススペシャル 2. 前菜/フィレンツェ風 牡蠣のグラタン 3. 前菜/24ヶ月熟成サン・ダニエーレ産生ハム 4. パスタ/ワタリガニとトマトソースのフェットチーネ 5. パスタ/ピエモンテ風 黒トリュフとバターソースのラビオリ 6. 肉料理/フランス産 赤身サーロインの炭火焼 7. 肉料理/“オッソブーコ” 仔牛のすね肉の煮込み 8. デザート/パネトーネ ※)12月24日(日)も営業しております。 ※)天候不順などで食材が変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。Antipasti 前菜
前菜盛り合わせ クリスマススペシャル

前菜盛り合わせ クリスマススペシャル(1人前)
◆クリスマスカラーで彩る前菜4種が楽しめるプレート
☆玄界灘でとれた鮮魚のカルパッチョ

玄界灘でとれた鮮魚のカルパッチョ。レンコダイを使った例。

レンコダイ

オリーブオイルで軽くマリネする

玄界灘でとれた鮮魚のカルパッチョ。レンコダイを使った例。
☆24ヶ月熟成サン・ダニエーレ産生ハムとフルーツ

フルーツに富有柿を使った例

奈良県産の富有柿

スライサーから出てきた切りたての生ハム

生ハムと富有柿
☆ブッラータチーズのトマトとルッコラ添え

トマトとルッコラの上にのせたブッラータチーズ

イタリア・フィレンツェのフレッシュチーズ売り場

ブッラータチーズ

フルーツトマトとルッコラ
☆焼き野菜のマリネ

焼き野菜のマリネ

イタリア・フィレンツェの市場

マリネに使う野菜。左からパプリカ、ズッキーニ、長ナス、ブロッコリー。

オーブンで加熱したパプリカ

フライパンでオイルをたっぷり使って加熱した長ナス

網焼きフライパンで加熱したズッキーニ

焼き野菜のマリネ(部分)
フィレンツェ風 牡蠣のグラタン

フィレンツェ風牡蠣のグラタン(1人前)
◆あたたかさと元気をとどける海と山の幸
料理にホウレン草を加えるのがフィレンツェの特徴。牡蠣のグラタンもホウレン草を加えたフィレンツェ風が定番レシピとして知られています。 考えてみると、牡蠣とグラタンだけでも栄養価が高いのに、ホウレン草も加わるので、寒い冬の体をあたため、栄養を補給する効果は抜群です。クリスマス版ではさらに、フォンティーナチーズを加え、あたたかさと栄養をプラスしました。
イタリア・フィレンツェの街並み

播磨灘の牡蠣

牡蠣の殻をむく副料理長・露詰まみ

イタリア・フィレンツェのチーズ売り場

フォンティーナチーズとホウレン草

ホウレン草とベシャメルソースで牡蠣をサンドウィッチ。その上にフォンティーナチーズを乗せ、パルメザンチーズをふりかけ、オーブンに入れる。

フィレンツェ風牡蠣のグラタン(部分)

フィレンツェ風牡蠣のグラタン(部分)
24ヶ月熟成サン・ダニエーレ産生ハム

24ヶ月熟成サン・ダニエーレ産生ハム(1人前)
◆真打ちの一人芝居
24ヶ月熟成サン・ダニエーレ産生ハムは、生ハムの中でも最高峰とされ、豊かな風味と深い味わいがあることから単品で提供します。 イタリアを代表する生ハムの2大産地は北イタリアのパルマとサン・ダニエーレです。パルマ産の市場ポジションをポピュラーとすると、サン・ダニエーレ産は工程数が多い分プライスが高く、プレミアムな位置付けになります。 そんなサン・ダニエーレ産生ハムの中でも24ヶ月熟成物は上位クラスになり、生ハムの最高峰といわれています。クリスマスの期間は足つきの生ハムの原木を1本丸ごと仕入れ、食べる直前にスライスして、香りが高く、柔らかく、脂がのった状態で提供します。
イタリア・フィレンツェの食肉加工品売り場

サン・ダニエーレのドック社から取り寄せた生ハムの原木を手にする料理長・井上裕基

スライサーを使って生ハムをカットする料理長・井上裕基

スライサーから出てくる切りたての生ハム

24ヶ月熟成サン・ダニエーレ産生ハム(部分)

24ヶ月熟成サン・ダニエーレ産生ハム(部分)
APERITIVO 食前酒

スピリッツ・クリスマス・スペシャル
◆クリスマスは気分を変えて
クリスマスの食前酒はいつもと雰囲気を変えて、華やかな色のカクテルが気分を盛り上げてくれます。
クリスマスの食前酒におすすめのカクテル
☆スプリッツ・クリスマス・スペシャル
「アペロール・スプリッツ」という赤いカクテルのクリスマス版。グラスのふちにレモン汁で塗ったグラニュー糖をプラス。甘味と酸味を加えながら、サンタクロースのカラーを演出します。 「アペロール・スピリッツ」はシャンパンベースのカクテル。ミックスするアペロール(APEROL)は1919年に誕生した、イタリアのハーブ系リキュール。甘さとさっぱりした後味が特徴です。☆ミモザ
シャンパンをオレンジジュースで割った伝統的なカクテル。中甘辛口。鮮やかな黄色のミモザの花に似ていることからこの名称で呼ばれるようになりました。☆ベッリーニ
シャンパンを桃のジュースで割ったイタリアを代表するカクテル。グレナデンシロップを少々加えて甘味を補います。中甘辛口。1948年にヴェネチアのハリーズバーで生まれました。ベッリーニはルネッサンス期の画家の名前に由来。
ラ・ビスボッチャ店内 バーカウンターのアペロール
エッセイ:食のこぼれ話『マンハッタンのカクテル』
カクテルが登場する映画に、文字通り『カクテル』(1988)があります。トム・クルーズ演じる青年は一攫千金を夢見てニューヨークの企業に就職活動するかたわら、アルバイトで始めたバーテンダーが本業になり、挫折と試練を乗り越えながら成長していく物語。 公開当時の日本はバブル景気の真っ只中。この映画の影響もあり、カクテルがブームになり、DCブランドの服で着飾った若者たちはバーカウンターに押し寄せます。カクテルをカッコよく注文することがモテる秘訣とされ、専門書を片手に必死でカクテルの名前を覚えました。 そんな時代感がわからない、という世代もいると思います。無理もありません。映画の中で、田舎から高速バスを乗り継いでニューヨークに着いたトム・クルーズが、始めてニューヨークを実感する風景として映し出されたのは、今は無きツインタワービルでした。 でも、今に通じるカクテルの魅力も見られます。トム・クルーズは自分のバーを持つこと夢見て、店名を「カクテル&ドリーム」に決めます。カクテルは他の飲み物とは違って、カラフルな色や甘い味わいの中に、夢が広がる魅力を感じます。
ラ・ビスボッチャ店内のバーカウンターとイタリア人バーテンダーのグイド。
エッセイ:食のこぼれ話『イタリアのスローライフとカクテル』
イタリア人のカクテルの飲み方は日常そのものです。イタリアのレストランの開店は遅く、夜9時というお店も少なくありません。遅い時間から夕食を始める人が多いからです。とはいえ、日本人のように、直前まで残業しているわけではありません。 たとえば、あるイタリア人の場合は、仕事を夕方終わらると帰宅して、子供の夕食の世話をして、それから夜用の服に着替え、夫婦でレストランに出かけ、深夜まで飲食と談話を楽しみます。 映画『誘惑されて棄てられて』(1964年)の中で、サロ・ウルツィ演じるシチリアのお父さんは、町で娘の恋人に「今晩ウチで夕食をどうだ?うまいラザニアをご馳走するぞ」と声をかけると、恋人は「夜8時間半にうかがいます。パパ」と答え、二人は別れます。その後お父さんは物陰で「何がパパだ」とボヤきます。 ということで、夕食のスタートが遅いため、バーが繁盛します。夕食の前後は、待ち合わせの人々が集い、店の外まで溢れています。飲み物は夕食のワインと重ならない、軽めのカクテルを注文する人が多く見られます。 そんなバーの気軽な雰囲気は日本の立ち飲み屋のようです。でも、そこはファッションとデザインの国。人々の着こなしとバーのデザインがカッコよすぎる。なんとも優雅なスローライフの中に、カクテルもしっかりと根付いています。 当店もバーカウンターをご用意しています。お待ち合わせの時間は食前酒をお楽しみください。
イタリア・フィレンツェの街並み
PRIMI PIATTI パスタ料理
青森県産ワタリガニとトマトソースのフェットチーネ

青森県産ワタリガニとトマトソースのフェットチーネ(1人前)
◆旨味がしみ込んだ、あったかパスタ
イタリアの魚介のパスタといえば、エビやアサリを使ったものがポピュラーです。そんなパスタのクリスマス版として、日本の冬の味覚、ワタリガニを使ったパスタを作りました。 ワタリガニのダシが出たソースは、冷えた体をじんわりとあたためてくれます。加熱して赤くなった甲羅と野菜のグリーンがクリスマスカラーを演出します。 ワタリガニは当店のパスタに丁度よいサイズと、身が詰まっていることにこだわり、青森県産を使用しました。パスタは味が染み込みやすい、きしめん状の生パスタ、フェットチーネを合わせ、自家製で仕込みます。
青森県産ワタリガニ。敵に襲われるとハサミで脚を自切りして逃げる習性があるため、調理する直前まで輪ゴムで固定。

下処理したワタリガニをフライパンで加熱して香りを出す

トマトソースとカニミソを加える

ソースを沸騰させ、煮詰める

ズッキーニのスライスを加える

パスタマシーンから出てきたフェットチーネを手で受け取る

セモリナ粉の打ち粉をふってフェットチーネの出来上がり

フェットチーネを4分間茹でる

茹で上がったフェットチーネをトマトソースが入ったフライパンに投入

フェットチーネにソースをあえる

イタリアンパセリのみじん切りを加える

青森県産ワタリガニとトマトソースのフェットチーネ(1人前)

青森県産ワタリガニとトマトソースのフェットチーネ(部分)
ピエモンテ風 黒トリュフとバターソースのラビオリ

ピエモンテ風 黒トリュフとバターソースのラビオリ(1人前)
◆黒トリュフとバターの相性を堪能
イタリアでは、黒トリュフが食卓にならぶと、いよいよ冬本番です。そんな黒トリュフを使ったパスタをクリスマス版として提供します。 黒トリュフはバターと相性がよく、独特の芳香を引き立てます。そこで、バターを料理に使うことが特徴のイタリア北部、ピエモンテ州の伝統的な詰め物パスタ、アニョロッティ(Agnolotti)という形のラビオリ料理に黒トリュフをふりかけます。 詰め物の中身は鴨肉と野菜をすりつぶしてペースト状にしたもの。こちらもピエモンテ州の伝統的なレシピで、黒トリュフとよく合います。
ラビオリの生地に鴨のペーストをのせて巻く

詰め物を巻き込んだ生地をつまんで整形する

生地を切り分ける。パスタカッターはイタリア・イノックス社製。

セモリナ粉の打ち粉をふってラビオリの出来上がり

ラビオリを1分間茹でる

ソースに使うバターをフライパンで加熱する

茹で上がったラビオリをバターソースが入ったフライパンに投入

ラビオリにバターソースを和える

ピエモンテ風 黒トリュフとバターソースのラビオリ(部分)

ピエモンテ風 黒トリュフとバターソースのラビオリ(部分)
エッセイ:食のこぼれ話『黒トリュフとバター』
黒トリュフをバターとともに食べる場面が登場する映画に『大統領の料理人』(2012年)があります。フランスの片田舎で小さなレストランを営んでいたカトリーヌ・フロ演じる女性料理人はある日、素朴な料理が食べたい、というジャン・ドルメッソン演じるフランス大統領から専属の料理人に抜擢されます。 ところが、大統領官邸の厨房を長年運営してきたベテラン料理人たちは、この抜擢が面白くありません。女性料理人に道具や食材を貸さない意地悪を繰り返します。 そんなある晩、暗い厨房で女性料理人が一人で残業をしていると、大統領がフラリとやって来て、「実は、トリュフが入ったと聞いたものでね。今シーズン初めてじゃないのかな?」と声をかけます。 慌てた女性料理人は我に帰ると、大統領に黒トリュフを見せ、包丁でスライスして、バターをたっぷり塗ったパンに乗せ、即座にクロスティーニを作って、グラスに注いだ赤ワインとともに差し出します。 大統領はクロスティーニを食べながら、女性料理人に「最近、イジメられてるね。私もだよ。逆境かな。でも、私は逆境だから頑張れる性格なのです。人生のスパイスだよ。」と語り、厨房から出て行きます。 その話を黙って聞いていた女性料理人は後で気が付きます。大統領が厨房に来た目当てはトリュフではなく、女性料理人を励ます「忖度(そんたく)」にあったのだと。そんな大人の会話に、黒トリュフとバターが見事な効果になっていました。
ピエモンテ風 黒トリュフとバターソースのラビオリ(部分)
SECONDI PIATTI 肉料理
フランス産 赤身サーロインの炭火焼

フランス産 赤身サーロインの炭火焼(500g)
◆赤身肉の醍醐味を豪快に
牛肉の炭火焼は、赤身が多い肉が美味しさを発揮します。クリスマス版は、そんな赤身肉を牛肉の本場フランスから取り寄せました。 牛肉を好んで食べるフランスは欧州一の牛肉産出国。その中でもシャロレー種の牛肉は、柔らかい赤身が特徴で、高級ビーフとして、イタリアをはじめ、欧州各国で食されています。 シャロレー種の中でも、取り寄せる部位はサーロイン。炭火焼の仕上げは、塩コショウとオリーブオイルをふるのみ。王道の豪速球は、特別な夜のワクワク感を盛り上げ、寒さを乗り切るパワーがわいてきます。
フランスから輸入したシャロレー種牛肉・赤身サーロインの塊肉

注文分の肉をカット(500g)

グリルの炭火。火持ちのよい五香備長炭を使用。

肉を炭火の遠火でじっくり焼き上げる。滴り落ちる脂肪分が焼ける煙の燻製効果を使い、肉に炭の香りをつける。

焼き上がった肉を斜めに切り分ける

フランス産赤身サーロインの炭火焼(部分)
“オッソブーコ” ミラノ風 仔牛のすね肉の煮込み

“オッソブーコ” ミラノ風 仔牛のすね肉の煮込み(1人前)
◆まろやかで、甘辛美味しい煮汁
寒い冬は心身ともにあたたまる煮込み料理が人気です。そこで、イタリアを代表する煮込み料理「オッソブーコ」を肉料理のクリスマス版として提供します。 「オッソブーコ」はイタリア語で骨を意味するオッソ(Osso)と、穴を意味するブーコ(Buco)が合わさってできた言葉です。牛すね肉を煮込み、真ん中の骨の髄がとろけて陥没して、だ円形の穴が目立つ見た目が、そのまま料理名になっています。 爽やかで軽めの味に仕上げるところにモダンな都市ミラノらしい洗練を感じます。
イタリア・ミラノの街角。サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会。

オッソブーコ用の仔牛のすね肉。煮崩れ防止の紐で結ばれている。

仔牛のすね肉をフライパンで加熱する副料理長・露詰まみ

仔牛のすね肉にフライパンで焼き色を付けて旨味を封じ込める

煮込むソースは香味野菜のみじん切りを炒め、ホールトマトと赤ワイン、白ワインを加えたもの。

煮込みが完了した仔牛のすね肉。盛り付けてから煮崩れ防止の紐を外す。

ソースに香りをつける材料

“オッソブーコ” ミラノ風 仔牛のすね肉の煮込み(1人前)

“オッソブーコ” ミラノ風 仔牛のすね肉の煮込み(部分)
DOLCE デザート
パネトーネ

パネトーネ(6人前を1人前切り分けた状態)
◆クリスマスに食べる、おめでたい菓子パン
イタリアでは、パネトーネは縁起の良い菓子パンとされ、クリスマスに食べることが習慣になっています。 縁起が良いとされる要素のひとつは見た目。中身の黄色とドライフルーツが金塊や宝石が詰まった宝箱や王冠のようで、金運を引き寄せると言われています。 今回パネトーネを仕入れるミラノパーネ(Milanopane)社は1987年にミラノで伝統的なパンを製造するメーカーとして創業。パッケージのデザインは、金融都市ミラノで縁起が良いとされ、パネトーネに見られるゴールドが基調になっています。
ミラノパーネ社のパッケージ。

イタリア・ミラノの街角からスフォルツェスコ城を望む

パネトーネをパッケージから出した状態

パネトーネを3段に切り分ける

クリームをはさむ

パネトーネのクリームに加えるイタリア・ミラ社のマスカルポーネチーズ

はみ出したクリームに砕いたピスタチオを貼り付けて仕上げる

切り分けたパネトーネ(1人前)

切り分けたパネトーネ(1人前)

ラ・ビスボッチャ店内

ラ・ビスボッチャ店内

ラ・ビスボッチャ店内

ラ・ビスボッチャ店内

ラ・ビスボッチャ外観