夏のディナーイベント2018

第29回 CINEMA ITALIANO RACCONTI SICILIANI

シチリア島パレルモの街並みとグランドホテル・エ・デ・パルメのエントランス

グランドホテル・エ・デ・パルメの内観

グランドホテル・エ・デ・パルメの内観

シチリア映画を食べる

来たる8月5日・日曜日、スペシャルコースによる夏のディナーイベントを行います。 今回のテーマは『シチリア映画を食べる』 数々の映画に登場するイタリアのマリンリゾート、シチリアをイメージして海鮮料理をコースにしました。 ディナーを通じて、バカンス気分をお楽しみください。

揚げたてのカンノーリを冷ます料理長・井上裕基

解説/料理長 井上裕基

写真・文/ライター織田城司 Commentary by Yuuki Inoue Photo・Text by George Oda

インフォメーション

グランドホテル・エ・デ・パルメのバンケットルーム

◼️日時:2018年8月5日(日)18:00 開場17:30 開演18:00 (21:00終了予定) ※当日のお料理は18:00からのスペシャルコースのみになります。 ◼️場所 リストランテ「ラ・ビスボッチャ」 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿2-36-13 広尾SKビル1F ◼️コース お料理/全10品 ※メニューの詳細は以下の記事をご覧ください。 お飲物/ワインはお一人様3杯まで料金に含まれます。 ソフトドリンクは、オレンジジュース・ミネラルウォーター・コーヒー・紅茶が料金に含まれます。 ※アルコール類が増える場合は追加料金にて対応します。 ◼️アトラクション コースの合間に行われるアトラクション ・カジキマグロの解体ショー ・ファッションディレクター赤峰幸生さんによるシチリアと映画のトークショー ・シチリア風シューシャインサービス ・トウガラシ入りカンノーリが当たったお客様1名に豪華特典をプレゼント。 ◼️料金 コース料理とお飲物 お一人様 ¥12,000(税込) 小学生 ¥7,000(税込) ※会場の都合でお子様の入店は小学生以上に限らせていただきます。 ◼️ドレスコード 白を基調にした服装でお越しください。 (白シャツでも結構です) ◼️ご予約・お問い合わせ

TEL : 03-3449-1470

E-mail:info@labisboccia.tokyo (担当:下田、中島)

企画背景

ラ ・ビスボッチャの入口で対談する赤峰幸生さん(右)と料理長・井上裕基

今回のイベントは、ファッションディレクター赤峰幸生さんとビスボッチャが手がけるイタリア文化発信企画の第3弾です。

赤峰幸生さんがすすめるシチリアが舞台の映画6選

シチリアの豊かな自然、美しい景色、歴史を感じる街並み、素朴で味わい深い食文化を見ることができます。 1.『情事』 監督/ミケランジェロ・アントニオーニ 1960年作 シチリアでバカンス中に失踪した女性をめぐるサスペンス。 2.『山猫』 監督/ルキノ・ヴィスコンティ 1963年作 イタリアの国家統一とともに没落するシチリアの貴族を描いた歴史絵巻。 3.『ゴッドファーザー』シリーズ3部作 監督/フランシス・フォード・コッポラ シチリアからニューヨークに移住して裏の社会で生きるマフィア一家のドラマ。 4.『カオス・シチリア物語』 監督/パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ 1984年作 シチリアをめぐる寓話の短編集。 5.『グラン・ブルー』 監督/リュック・ベッソン 1988年作 シチリアで世界記録に挑むダイバーの闘志と友情。 6.『ニューシネマ・パラダイス』 監督/ジュゼッペ・トルナトーレ 1989年作 シチリアの小さな映画館の栄枯盛衰をめぐる人間模様。

ラ ・ビスボッチャの店内で対談する赤峰幸生さん(右)と料理長・井上裕基

シチリアの飲み物

シチリア産のリモンチェッロ

◆リモンチェッロ

リモンチェッロは、レモンの特産地シチリアを象徴するリキュールで、甘い食後酒として親しまれています。 ソーダで割って食前酒にする飲み方も涼感があっておすすめです。 今では、シチリアのみならず、イタリアを代表する土産物として、国際空港の免税店でも多く見られます。

ローマ・フィウミチーノ国際空港の免税店のワインとリモンチェッロ

シチリア産のワイン

◆ワイン

スパークリング「アルメリータ・ブリュット」 やわらかい泡立ち。力強い果実味。 白ワイン「アルカモ・ビアンコ」 香りは洋ナシや花のニュアンス。爽やかな酸味と果実味がある軽快な辛口。 赤ワイン「タンクレディ」 香りはハーブやブラックベリー、スパイスのニュアンス。やわらかい口あたりで、エレガントな辛口。 ※お一人様3杯までコース料金に含まれます

シチリア産の食後酒

◆食後酒

「アマラ」 ブラッドオレンジとハーブからつくるリキュール。 「アヴェルナ」 シチリアの有力者・アヴェルナ家が修道院を援助したお礼に製法を伝授され、市販化した、苦味のきいたハーブ系リキュール。発売を始めた1868年は日本の明治元年にあたり、歴史を感じる食後酒です。

アヴェルナのヴィンテージポスター。左のデザインはトリナクリアとよばれるシチリアに伝わるギリシャ神話をもとにしたシチリア州の紋章をアレンジしている

コース料理のメニュー

アンティパスト/前菜

右上から時計回りにカポナータ、タコとポテトのサラダ、カラスミのブルスケッタ、ウイキョウのサラダ

1. カポナータ

シチリアの郷土料理。ナス、タマネギ、セロリ、松の実、レーズン、ニンニクをトマトソースで煮込んだもの。甘味と旨味、コクが凝縮して濃厚な味わい。

2. タコとポテトのサラダ

タコとポテトを茹で、黒オリーブを加え、サルサヴェルデ(バジルとイタリアンパセリのソース)で和える。シチリア産のケッパーベリーを添えて。

3. カラスミのブルスケッタ

サルディーニャ産ボラのタマゴの塩漬けをスライスして、チャバッタのトーストとともに。

4. ウイキョウのサラダ

ウイキョウの爽やかな味とオレンジの甘みで涼しげな一品。

5. フライの盛り合わせ

フライの盛り合わせ

旨味とコクがあり、しっかりした味のフライ。3種の具材の味と食感のちがいを楽しむため、揚げ方をそれぞれ変えています。

フライの具材3種。左からカリフラワーのマリネ、シチリア名物パネッレ(自家製ヒヨコ豆の練り物)、エスカルゴ(身のみ)

パネッレは素揚げにする

エスカルゴはセモリナ粉をまぶして揚げる

カリフラワーはタマゴにパルメザンチーズを溶かした衣で揚げる

タマゴは神奈川県のたまご街道にあるコトブキ園の「長寿卵」を使用。イタリアのタマゴに似て、オレンジ色で濃厚な味わいがある

パルメザンチーズは希少な赤牛のミルクを長期熟成させたもの。香りが高く、濃厚な味わいの最高級パルメザンチーズ

サラダ油で軽めにカラッと揚げる

塩をふって仕上げる

塩は旨味がたっぷりして、マイルドな辛さのシチリア産自然海塩「エガディ」の細粒を使用

6. 自家製イタリアパンの盛り合わせ

自家製イタリアパンの盛り合わせ。左からフォカッチャ、グリッシーニ、パーネ・シシリアーノ、チャバッタ

パーネ・シシリアーノはシチリアの郷土パンです。 キメは細かく、もっちりした食感があり、ゴマの香ばしさが効いています。

パーネ・シシリアーノはひねって作る

プリミ/パスタ料理

7. イワシとウイキョウのカサレッチ

イワシとウイキョウのカサレッチ

カサレッチはシチリアの郷土パスタです。 「家庭の」とか「手作り」のという意味の素朴なショートパスタで、手打ちパスタならではの柔らかい食感があります。 ソースはイワシと野菜を煮込んだもので、しっかりした味わいです。上からふりかけたパン粉がソースに香ばしさとコクを加えます。

パスタの生地を伸ばして短く切る

串で溝をつける

一般的なカサレッチは前後から1本ずつ溝をつけて断面がS字になるように仕上げるが、ビスボッチャの溝は片面1本のみで断面がU字型になるように仕上げ、歯ごたえを増している

パン粉は自家製パンを水分が無くなるまで焼き増しして、ミキサーで細かく砕く

パン粉はフライパンで空炒りして香ばしさを増す

U字の溝にソースのイワシのフレークが程よく埋まって飽きない味わいがある

8. 海の幸のスパゲッティ

海の幸のスパゲッティー

海の幸はアサリ、ハマグリ、ムール貝を使います。 貝類から抽出した旨味のソースがスパゲッティーになじみ、小麦の香ばしい風味とともに味わいます。 スパゲッティーは、パスタの産地として500年の歴史がある、南イタリア・カンパーニャ州で1912年に創業した「ディ・マルティーノ」社のものを使用。直径は1.8㎜。太めで、迫力ある噛みごたえがあり、小麦の風味が充実しています。

パスタメーカー「ディ・マリティーノ」社のパッケージ

海の幸のスパゲッティー

セコンド/魚料理

9. カジキマグロの炭火焼き

カジキマグロの炭火焼き

脂がのったカジキマグロを豪快な炭火焼きで味わう、海のステーキです。 炭火の遠赤外線効果で、魚の脂が内から循環して、甘味や旨味、塩味、コクが豊かに溶け合います。 塩、コショウ、エキストラヴァージン・オリーブオイルのみのシンプルな味つけで、奥深い味わいを楽しみます。

カジキマグロは和歌山県産

炭は火もちが長く、灰が少ない五香備長炭に薪を加え、香ばしさを増している

薪はイタリア製でヴァージンウッドを再生加工したもの

両面をじっくり焼きながら炭火と薪の香りをつける

ドルチェ/デザート

10. カンノーリ

カンノーリ

カンノーリはシチリアの郷土菓子です。 イベント当日は、トウガラシ入りのカンノーリが1個あり、当たったお客様に豪華特典を用意しています。

シチリアのマッシモ劇場 外観

カンノーリを一躍有名にしたのは、映画『ゴッドファーザー PART Ⅲ』(1990年作)です。 主人公のマフィアは、対立するマフィアのボスを暗殺するため、オペラの観劇中、毒入りカンノーリを差し入れました。 この場面のロケに使われたのは、シチリアにある名門オペラハウス「マッシモ劇場」です。

マッシモ劇場 車寄せとエントランス

マッシモ劇場はイタリアの統一を記念して1875年に着工しました。約20年の工期を経て、1897年に開業しました。 1974年から1997年までは、改修のため一時閉館。『ゴッドファーザーPART Ⅲ』のロケは改修中の1990年に行われました。

金具に巻いたカンノーリの生地。生地は小麦粉、タマゴ、砂糖、水、ココアパウダーを混ぜたもの

マッシモ劇場 ロビー

カンノーリの生地は金具を付けたままサラダ油で揚げる

マッシモ劇場 客席への階段

揚がったカンノーリを金具から外し、冷まし、中にクリームを詰める。クリームはリコッタチーズ、オレンジピール、マラスキーノ(チェリーのリキュール)、バニラエッセンスを混ぜたもの

マッシモ劇場 廊下からボックス席への入口

クリームを詰める途中、ひとつにトウガラシを隠す。その後、砂糖と着色料で煮込んだチェリーと粉糖を飾り、仕上げる

マッシモ劇場 ボックス席のラウンジ

毒入りカンノーリを対立するボスに手渡す場面は、ボックス席のラウンジが使われました。 ラウンジはボックス席のすぐ後ろにあり、観劇の合間に社交場としても利用できる部屋です。

カンノーリ

オペラの観劇中、マフィアは敵のボスのボックス席をオペラグラスで見張ります。 そして、オペラそっちのけで「早くカンノーリを食べろ、早く毒が効いてくれ」と念じました。

マッシモ劇場 ボックス席からの眺め

トウガラシ入りカンノーリを当てたお客様を演じる赤峰幸生さん

マッシモ劇場 ロビーの天井

マッシモ劇場 エントランスの階段

『ゴッドファーザー PART Ⅲ』はカンノーリの毒殺場面の後、劇場のエントランスの階段でも一波乱あり、ラストシーンをむかえます。 20世紀のはじめに、シチリアからニューヨークに移住したマフィアの3部作は、20世紀のおわりに、故郷シチリアに帰り、カンノーリをデザートに、幕を閉じました。

カンノーリ

いつもご利用いただき、誠にありがとうございます。 8月5日は、夏のディナーイベントで、楽しいひとときをお過ごしください。