季節のおすすめメニュー8月 2024

RECOMMENDED SEASONAL MENU AUGUST 2024

コラム『味と技』第141回

夏色のおもいで

8月は、お盆の行事が盛んになり、暑いけれど、思い出に残る夏を楽しみます。

そんな季節に美味しい、夏色のメニューを12品おすすめします。

監修/料理長・井上裕基

写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue    
Photo・Text  by George Od

前菜

1.ブラータチーズとシャインマスカット

ブラータチーズとシャインマスカット

メニューについて

ブラータチーズと味わう、季節の食材シリーズです。

8月の一品目は、シャインマスカットを合わせておすすめします。

メニュー提案 撮影調理 副料理長・高部孝太

シャインマスカットは山梨県産を使用

ブラータチーズは、イタリア南部プーリア州出身のチーズ職人が、アメリカ・カリフォルニア州でつくる「ディ・ステファノ」社製を使用。放牧牛のミルクを使い、とろりとした食感で、ミルキーな風味と甘み、旨みが濃厚

お召し上がり

ブラータチーズとシャインマスカット

シャインマスカットの食感は、皮はパリッと、果肉はシャキシャキ。果汁は爽やかな甘みがあります。

その美味しさを、ブラータチーズのミルキーな風味が引き立てます。

ブラータチーズとシャインマスカット

ブラータチーズとシャインマスカット

ラ・ビスボッチャ店内

2.ブラータチーズと梨

ブラータチーズと梨

メニューについて

ブラータチーズと味わう、季節の食材シリーズです。

8月の二品目は、梨を合わせておすすめします。

メニュー提案 撮影調理 料理人・石川凌

梨は特産地、千葉県の香水を使用

お召し上がり

ブラータチーズと梨

梨の食感は、シャリシャリ。あふれる果汁は、さっぱりした甘みがあります。

その美味しさを、ブラータチーズのミルキーな風味が引き立てます。

ブラータチーズと梨

ブラータチーズと梨

ラ・ビスボッチャ店内

3.炙りサワラのカルパッチョ ズッキーニとウイキョウのペースト添え

炙りサワラのカルパッチョ ズッキーニとウイキョウのペースト添え

メニューについて

8月のカルパッチョは、炭火で炙ったサワラに、爽やかな味の食材を合わせ、涼感ある盛りつけでおすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理長・井上裕基

◆サワラを炙る

サワラは宮城県産を使用。鮮度にこだわり、尾頭つきで仕入れ、自店でさばく

さばいたサワラの切身に塩とオリーブオイルで下味をつける

サワラを皮目から炭火で炙り、スモーキーな香りをつける

サワラをひっくり返し、皮目を上にしてバットに移す。焼き足りない部分は、トングで直接炭火を当て、微調整する

◆ズッキーニとウイキョウのペーストをつくる

ウイキョウはイタリア産を使用

ズッキーニを薄くカットする。ウイキョウは葉を取り除き、薄くカットする

ズッキーニとウイキョウをオリーブ・オイルで炒める。水を入れ、煮込んで柔らかくする。アーモンドとウイキョウの葉を加える

フライパンで炒め、煮込んだ食材をフードプロセッサーで撹拌する

撹拌した食材にリコッタ・チーズを混ぜ合わせ、ペーストの完成

リコッタはチーズの生成過程で生じた乳清を再加熱してつくる食品。低脂肪でさっぱりして、ソフトな食感とミルクの自然な甘みが特徴。イタリア北部ピエモンテ州で1934年に創業した乳製品メーカー「ビラーギ」社製を使用

◆仕上げる

炙ったサワラを薄くカットする

ズッキーニとウイキョウのペーストを、絞り袋に入れ、絞り出し、円形の土手をつくる

ズッキーニとウイキョウのペーストの上にサワラをランダムにのせる。スペアミントや柑橘、イタリアンパセリのソースを加えて盛り付ける

お召し上がり

炙りサワラのカルパッチョ ズッキーニとウイキョウのペースト添え

脂がのったサワラはとろける柔らかさで、旨みは繊細。炭火で炙ったスモーキーな香りがアクセントです。

合わせるズッキーニとウイキョウのペーストは、爽やかな味と香りがあり、リコッタチーズのふくらみ感と上品な旨みが、絶妙に絡みます。

炙りサワラのカルパッチョ ズッキーニとウイキョウのペースト添え

炙りサワラのカルパッチョ ズッキーニとウイキョウのペースト添え

ラ・ビスボッチャ店内

4.マダコと炭火焼き夏野菜のカポナータ

マダコと炭火焼き夏野菜のカポナータ

メニューについて

野菜を煮込んで冷ました、イタリアの定番冷前菜、カポナータ。

8月は、マダコと、炭火で焼いた野菜を合わせておすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・勝又脩

◆夏野菜を炭火で焼く

夏野菜は国産を使用。産地は日によって変わる

野菜を大きめにカットして炭火で焼く

野菜をひっくり返し、反対側も炭火で焼く

◆煮込んで冷やす

下茹でしたマダコをカットする

鍋でオリーブオイルとニンニクを加熱。オイルに香りがついたらニンニクを取り除く

マダコとオリーブ、ケッパーを入れる

自家製野菜の出汁、トマトソースを加える

炭火で焼いた野菜、バジル、赤ワイン酢を加え、煮込む

赤ワイン酢は、酢の特産地、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州モデナ県で、1891年に創業した老舗メーカー「アドリアーノ・グロソリ」社の「グロソリ・リゼルヴァ」ブランドを使用。ワインを木樽でゆっくり酢酸発酵させる伝統的な製法を用い、発酵後も木樽でじっくり熟成させたリゼルヴァタイプ。豊かな香りと、まろやかな味わいがある。パッケージデザインは同地で17世紀に酢の発展に貢献したフランチェスコ侯爵

煮込んだ状態。一晩冷まし、味を落ち着かせ、冷前菜として提供する

お召し上がり

マダコと炭火焼き夏野菜のカポナータ

煮込み料理の冷めた残りを、翌日食べると何故か美味しい。

そんな美味しさのなかに、炭火のスモーキーな香りが加わる、独特の展開に、夏の食前酒がすすみます。

マダコと炭火焼き夏野菜のカポナータ

マダコと炭火焼き夏野菜のカポナータ

ラ・ビスボッチャ店内

●パスタ&リゾット

5.黒トリュフと生ハムのタヤリン

黒トリュフと生ハムのタヤリン

メニューについて

南半球オーストラリアでは、冬の味覚、黒トリュフが旬をむかえています。

トリュフと好相性のタヤリンを合わせ、生ハムでコクを加えました。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・村澤大

フライパンで無塩バターと生ハムを加熱する

自家製野菜の出汁を入れ、煮詰めてソースにする

タヤリンを茹でる。タヤリンは自家製生麺でつくる。卵黄、小麦粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩を混ぜる

茹で上げたタヤリンをソースのフライパンに投入

タヤリンをソースと和え、パルミジャーノ・レッジャーノを加え、味と香り、とろみをつける

スライスしたての黒トリュフをふりかけて仕上げる

黒トリュフはオーストラリア産を使用。季節が逆の南半球では、8月に冬の味覚、黒トリュフの旬になる

お召し上がり

黒トリュフと生ハムのタヤリン

黒トリュフの香りは、白トリュフやサマートリュフと比べると、見た目のとおり、木材系のニュアンスやコクがきわだちます。

黒トリュフは、ヨーロッパの冬の味覚というイメージが定着していたため、夏に味わうと不思議に感じますが、地球規模で考えれば、ありだと思う一皿です。

黒トリュフと生ハムのタヤリン

黒トリュフと生ハムのタヤリン

ラ・ビスボッチャ店内

6.炭火焼きハモと万願寺とうがらしのスパゲッティ カラスミかけ

炭火焼きハモと万願寺とうがらしのスパゲッティ カラスミかけ

メニューについて

夏の味覚を炭火で焼いて合わせた、スパゲッティです。

カラスミで塩気とコクを加えました。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・老田裕樹

◆炭火で焼く

万願寺とうがらしは京都府産を使用。炭火で片面を焼く

ハモは愛媛県産を使用。炭火を皮目に直接付けて焼く

炭火で焼いたハモと万願寺とうがらしを食べやすい大きさにカットする

◆ソースをつくる

フライパンでオリーブオイルとニンニクのみじん切り、赤唐辛子を加熱し、オイルに味と香りをつける

ハモと万願寺とうがらし、自家製野菜の出汁を入れ、煮詰めてソースにする

◆仕上げる

茹で上げたスパゲッティをソースのフライパンに投入

スパゲッティをソースと和え、エキストラバージン・オイルとイタリアンパセリのみじん切りで味と香り、とろみをつける。皿に盛り付けてからカラスミをふりかけて仕上げる

お召し上がり

炭火焼きハモと万願寺とうがらしのスパゲッティ カラスミかけ

ハモはあっさりして、繊細な旨みがあります。万願寺とうがらしは、旨みやほろ苦さが美味しい。

具材の上品な味わいを、炭火のスモーキーな香りや、カラスミの塩気やコクが深めます。

炭火焼きハモと万願寺とうがらしのスパゲッティ カラスミかけ

炭火焼きハモと万願寺とうがらしのスパゲッティ カラスミかけ

ラ・ビスボッチャ店内

7.アワビとアサリ、ポルチーニのフェットチーネ

アワビとアサリ、ポルチーニのフェットチーネ

メニューについて

イタリアに多い、海と山の食材を合わせたパスタ。

8月は、アワビとアサリにポルチーニ茸を合わせておすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 副料理長・高部孝太

◆ソースをつくる

アワビとアサリは国産を使用。産地は日によって変わる

蒸したアワビを食べやすい大きさにカットする

フライパンでオリーブオイルとニンニクのみじん切り、赤唐辛子、あらかじめ炒めたポルチーニ茸を加熱し、オイルに味と香りをつける

アワビとアサリを入れる

蓋をし、蒸し焼きにし、アサリが開いたらソースの出来あがり

◆仕上げ

フェットチーネを茹でる。フェットチーネは自家製生麺でつくる。全卵、卵黄、強力粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩を混ぜてつくる

茹で上げたフェットチーネをソースのフライパンに投入

フェットチーネをソースと和え、エキストラヴァージン・オリーブオイルとイタリアンパセリのみじん切りを加え、味と香り、とろみをつけて仕上げる

お召し上がり

アワビとアサリ、ポルチーニのフェットチーネ

アワビのコリコリした食感と、ポルチーニの柔らかい食感のコントラストが楽しい。

薄くて平たいフェットチーネは、貝やポルチーニの出汁がしっかり染みて、飽きない味わいです。

アワビとアサリ、ポルチーニのフェットチーネ

アワビとアサリ、ポルチーニのフェットチーネ

ラ・ビスボッチャ店内

8.和牛と炭火焼きナスのピリ辛パッパルデッレ

和牛と炭火焼きナスのピリ辛パッパルデッレ

メニューについて

夏に美味しい、スパイシーなパスタ。

ごろごろした和牛の肉と、とろけるナスを合わせておすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・萩原大揮

◆炭火で焼く

長ナスを直接炭火のなかに入れて焼く

トングで向きを変えながら全体を焼き、冷まし、皮をむく

◆ソースをつくる

鹿児島県の薩摩牛のヒモ肉を煮込み、和牛のラグーをつくる

熊野唐辛子は、三重県熊野市の温暖な気候と豊かな大地がつくる唐辛子のシリーズ。極上の辛さと唐辛子本来の旨みが味わえる

フライパンで自家製トマトソース、熊野唐辛子、和牛のラグーを合わせ、煮込む

炭火で焼いた長ナスを入れ、ソースの出来あがり

◆仕上げる

パッパルデッレを茹でる。パッパルデッレは自家製生麺でつくる。全卵、卵黄、強力粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩を混ぜてつくる

茹で上げたパッパルデッレをソースのフライパンに投入

パッパルデッレをソースと和え、エキストラヴァージン・オリーブオイルとパルミジャーノ・レッジャーノ、イタリアンパセリのみじん切りを加え、味と香り、とろみをつけて仕上げる

お召し上がり

和牛と炭火焼きナスのピリ辛パッパルデッレ

和牛の肉は柔らかく、風味と旨みが濃く、食べごたえがあります。

炭火で焼いたナスは、とろける柔らかさで、スモーキーな香りと旨みが凝縮しています。

熊野唐辛子の上品な辛みや、幅広パッパルデッレの小麦の風味がアクセントです。

和牛と炭火焼きナスのピリ辛パッパルデッレ

和牛と炭火焼きナスのピリ辛パッパルデッレ

ラ・ビスボッチャ店内

9.花ズッキーニのリゾット キャビアのせ

花ズッキーニのリゾット キャビアのせ

メニューについて

夏に美味しくなるズッキーニを丸ごと味わうリゾットです。

見た目もズッキーニの花のように仕上げました。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理長・井上裕基

◆下ごしらえ

ズッキーニは国産を使用。産地は日によって変わる

ズッキーニをカットし、中心の水分が多い部分を取り除く

ズッキーニを細かくカットする

◆リゾットをつくる

ズッキーニをオリーブオイルで炒める

リゾット米と自家製鶏の出汁を入れ、煮込む

リゾット米は、大粒で煮崩れしにくいイタリア産のリゾット用品種カルナローリを使用。イタリア北部ピエモンテ州の米処ヴェルチェッリ県で1935年からリゾット用の米をつくり続ける「ロンドリーノ」社のブランド米「アクエレッロ」

無塩バターを入れ、味と香り、とろみをつける

パルミジャーノ・レッジャーノを入れ、味と香り、とろみをつける

パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州で1877年に創業した乳製品メーカーの老舗「アウリッキオ」社製。一年中干草のみを与えた牛の濃いミルクからつくるチーズは甘みと熟成感のバランスがよい。側面の認証刻印の2042のナンバリングはハイグレードの証。塊で仕入れ自店で粉を挽く

◆仕上げる

リゾットを盛り付け、キャビアをトッピングする

オーブンで焼いたズッキーニの花びらでリゾットを覆い、レモンの皮を振りかけて仕上げる

お召し上がり

花ズッキーニのリゾット キャビアのせ

オーブンで焼いたズッキーニの花びらは、パリパリした食感です。味わいは青々しさがぬけるようで、爽やかです。

リゾットのなかのズッキーニは、リゾット米やバター、チーズと相性抜群。炊き込みご飯を食べているような感覚で食べすすみます。

キャビアの塩気とコクが、味わいを深めます。

花ズッキーニのリゾット キャビアのせ

花ズッキーニのリゾット キャビアのせ

ラ・ビスボッチャ店内

●メイン

10.オマール海老の炭火焼き

オマール海老の炭火焼き

メニューについて

オマール海老を、シンプルに炭火で焼いておすすめします。

きわだつ香ばしさが、夏の食欲をそそります。

調理

メニュー提案 撮影調理 副料理長・高部孝太

オマール海老はカナダ産を使用

オマール海老を半分に割り、部位を分解。塩とオリーブオイルで下味をつける

殻を下にして炭火で焼く

ひっくり返して身を焼くと、肝が落ちてしまうため、ひっくり返さず、蓋をして、焼き上げる

お召し上がり

オマール海老の炭火焼き

オマール海老の身はしっかりして、殻からポロッと外れます。

炭火の効果で、水分がほどよくとび、香ばしさと旨みが凝縮しています。肝の濃厚なコクがアクセントで、ワインがすすみます。

塩、オリーブオイル、炭火だけで食材の美味しさを極める、イタリア料理の真髄をたっぷり堪能します。

オマール海老の炭火焼き

オマール海老の炭火焼き

ラ・ビスボッチャ店内

●ドルチェ

11.ブルーベリーのタルト

ブルーベリーのタルト

メニューについて

タルトで味わう、季節の食材シリーズです。

8月は、ブルーベリーをおすすめします。

メニュー提案 撮影調理 料理人・勝又脩

ブルーベリーは長野県産を使用

お召し上がり

ブルーベリーのタルト

ブルーベリーは大粒で山盛り。果肉は柔らかく、ジューシーで、甘酸っぱさは上品で、爽やかな後味です。

その美味しさを、クリームやタルト生地が引き立てます。

ブルーベリーのタルト

ブルーベリーのタルト

ラ・ビスボッチャ店内

12.マンゴーのババロア パッションフルーツのソース

マンゴーのババロア パッションフルーツのソース

メニューについて

夏にぴったりのスイーツ、ぷるぷる、つるつる、ひんやりしたババロア。

マンゴーとパッションフルーツで、甘酸っぱい味わいに仕上げました。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・村澤大

マンゴーはメキシコ産を使用

フルーツのピューレは、フランスの冷凍フルーツメーカー「レ・ヴェルジェ・ボワロン」社製を使用

◆ババロアの液をつくる

アングレーズソース(卵黄、牛乳、砂糖)に、マンゴーピューレを加える

ホイップクリームを加えてババロア液の出来あがり

◆組み立てる

丸い型の底にスポンジを敷き、カットしたマンゴーをのせる

ババロア液を重ねる

カットしたマンゴーを重ね、ババロア液を重ねる

トップはマンゴーピューレとゼラチンを混ぜた液を重ね、冷やし固めて仕上げる。パッションフルーツのピューレでつくるソースを合わせて盛り付ける

お召し上がり

マンゴーのババロア パッションフルーツのソース

オレンジ色のマンゴーの果肉は、甘みが濃厚です。

黄色いババロアは、卵やミルクの風味が、ほどよいコントラストになります。

パッションフルーツのソースは甘酸っぱさが濃厚で、ババロアの味をキリッと引きしめます。

マンゴーのババロア パッションフルーツのソース

マンゴーのババロア パッションフルーツのソース

8月のディナーは、

ラ・ビスボッチャの季節のおすすめメニューを、

夏の思い出に、お楽しみください。