RECOMMENDED SEASONAL MENU 2020 JULY
コラム『味と技』第67回
梅雨を爽やかに
ビスボッチャでは、年間定番のグランドメニューに加え、季節のおすすめメニューも展開しています。
今回は、7月上旬のおすすめを紹介します。梅雨を爽やかにする、旬のメニューをお楽しみください。
監修/料理長・井上裕基 副料理長・露詰まみ
写真・文/ライター 織田城司
Food Direction by Yuuki Inoue & Mami Tsuyuzume
Photo・Text by George Oda
前菜
1.「チンタセネーゼ」の生ハム
メニューについて
◆生ハムの最高峰を味わう
「チンタセネーゼ」は、イタリア中部トスカーナ州シエーナ地方で、食用に飼育される高級ブランド豚です。
トスカーナ州の「サヴィーニ」社では、「チンタセネーゼ」を雄大な自然の中で放牧し、有機栽培の飼料を与え、ストレスが少ない環境で育てています。肉質は赤身が充実して、味と香りが濃厚です。
そんな「サヴィーニ」社が手がける「チンタセネーゼ」の生ハムは、赤身の美味しさが生きて、高いグレードです。
こちらは季節限定メニューではありませんが、最近取り扱いをはじめ、いま強くおすすめしたい!という思いから選びました。ぜひ、一度ご賞味ください。
お召し上がり
◆しっとりと柔らかい肉質の美味しさに驚く
チンタセネーゼの特徴のひとつに、脂分の融点が低いことが挙げられます。このため、スライスした生ハムの表面は、すぐにオイリーなツヤが出て、熟成香を高め、肉質をしっとりと柔らかくしています。
赤身の間にある白い脂身はとろける柔らかさで、甘味を豊かに感じます。色の濃い赤身は旨味やコクがしっかりして、飽きない深みがあります。
生ハム単品に奥深い味わいがあるので、フルーツと合わせず、シンプルにパンとワインと合わせ、じっくり味わうことをおすすめします。
2.パルマ産生ハムと黒イチジク
メニューについて
◆生ハムの塩味に旬の黒イチジクを合わせて
旨味と塩味のバランスがいいパルマ産生ハムは、季節のフルーツと合わせる食べ方をおすすめします。
7月上旬は黒イチジクが旬になります。
お召し上がり
◆爽やかな甘酸っぱさ
熟した黒イチジクはジャムのようなトロける舌ざわりで、爽やかな甘酸っぱさを感じます。
パルマ産生ハムの程よい塩味とよく合います。
3.パルマ産生ハムとマントヴァ産メロン
メニューについて
◆本場の「生ハムメロン」を再現
イタリア北部ロンバルディア州のマントヴァの土壌は、メロンの栽培に適し、特産地になっています。
なかでも1960年代に創業した「ゼルビナッチ zerbinati」社が手掛ける高級メロンの品種「JOLLY」を使ったタイプは、イタリアでも最高峰の品質で、イタリアの高級レストランの「生ハムメロン」に欠かせない存在です。
そんなマントヴァ産のメロンをパルマ産生ハムと合わせ、本場の「生ハムメロン」を再現します。
調理
◆メロンをカットする
お召し上がり
◆甘い果汁をたっぷり堪能
マントヴァ産メロンの果肉は赤肉系で、濃いオレンジ色。
甘い香りが高く、果肉の繊維質は柔らかく、キメが細かく、果汁をたっぷりたくわえています。
パルマ産生ハムの旨味や塩味とともに、本場の「生ハムメロン」の味わいをお楽しみください。
4.タマゴタケのサラダ
メニューについて
タマゴタケは、生育の初期、白い外皮に覆われています。
黄色いヒヨコが白い卵の殻を破って生まれるように、黄色いタマゴタケは白い外皮を破って伸び、次第に赤味を帯びながら傘を開いていきます。
黄色い傘が白い外皮から出はじめる初夏が、柔らかくて美味しい旬で、生のままスライスしてサラダでいただきます。
イタリアでは、タマゴタケはオーヴォリ(ovoli)と呼ばれ、レストランでも短い期間を彩るサラダ用の食材として珍重されています。
調理
◆繊細な香りと味わい
タマゴタケはホクホクとした食感で、キノコ特有の風味は青々しく爽やかで、繊細なニュアンスを感じます。
味わいはほのかな旨みがあり、パルメザンチーズの塩味や、ルッコラの辛みとよく合います。
5.サマーポルチーニのソテー
メニューについて
◆生ポルチーニの迫力を味わう
イタリアを代表するキノコ、ポルチーニ茸。
小さくて官能的な芳香を放つトリュフとは異なり、大きくてしっかりした食感と、香ばしさが特徴です。
秋の本番を前に、一足早く出回るサマーポルチーニの生タイプを、まずはシンプルなソテーでご堪能ください。
調理
お召し上がり
◆肉を食べているような迫力
香ばしい香りを放つポルチーニ茸は肉を食べているような、弾力に富んだ食感に驚きます。
オリーブオイルがよく染み、ヌメリとした舌ざわりの中に旨味やコクを豊かに感じます。
パスタ&リゾット
6.サマーポルチーニとアサリのフェットゥチーネ
メニューについて
旬のサマーポルチーニをアサリと合わせたパスタです。
パスタを美味しくする食材としてポピュラーなポルチーニとアサリ。贅沢に2種使って旨味とコクを高めます。
イタリアでは「海と山の幸のパスタ」とも呼ばれるメニューです。
調理
◆ソースをつくる
◆仕上げる
お召し上がり
◆味と香りは濃厚ながら、軽やかな後味
サマーポルチーニにはアサリの旨みが移り、アサリにはポルチーニの香ばしさが移っています。
それぞれの美味しさの相互乗り入れで濃厚になった味と香りが、フェットゥチーネにしっかり染みています。
味と香りは濃厚ながら、具材は小さめ。フェットゥチーネはヒラヒラとあっさりして、後味は軽やかな印象です。
7.サマーポルチーニのリゾット
メニューについて
パスタとともに、ポルチーニ茸の美味しさの「味しみ」が生きるメニューが、米を使ったリゾットです。
大粒のリゾット用イタリア米を使い、たっぷり吸収したポルチーニ茸の美味しさをお楽しみください。
お召し上がり
◆ポルチーニとバターの相性が抜群
キノコ類と乳製品は相性が良い。イタリアが長年かけて体得した生活の知恵です。
リゾットの調理途中で混ぜたバターも、ポルチーニ茸との相性が抜群。ポルチーニ茸の香ばしさや旨みが染みた米をより美味しくしています。
8.ヤリイカとカラスミのスパゲッティ
メニューについて
◆夏を先取りするシーフード・パスタ
ヤリイカを具材に、カラスミで味付けをしたスパゲッティです。
海が待ち遠しい、梅雨どきにおすすめのシーフード・パスタです。
調理
◆スパゲッティを茹でる
◆ソースをつくる
◆仕上げる
お召し上がり
◆魚介の風味と味わいが濃厚
柔らかいヤリイカの旨味は、スパゲッティの程よいおかずになります。
カラスミの小さな粒々が混ざるソースは、魚介の風味と味わいが濃厚です。
一足はやい潮騒の香りをお楽しみください。
メイン
9.カルトッチョ・ロッソ
メニューについて
◆魚介の旨味を豪快に凝縮
カルトッチョとは本来、紙を使った包み焼きのことですが、近年はアルミホイルを使った包み焼きもカルトッチョと呼びます。
ビスボッチャでは、アルミホイルを使い、ロッソと呼ばれるトマトソース仕立てで、魚介の旨味を豪快に凝縮します。
調理
◆魚介の下ごしらえ
◆魚貝を包み焼く
お召し上がり
◆濃厚に凝縮された魚介の旨みとコク
包み焼きはしっかり密閉するので、具材は柔らかくなり、旨みや香りは逃げません。
アルミホイルを開けた瞬間にふわっと広がる魚介の香りが美味しさを誘います。
日本の鍋料理と同じく、魚介と野菜を混ぜると美味しさが際立ちますが、ビスボッチャでは、野菜の効果はトマトソースにとどめ、魚介の旨みとコクを中心に、凝縮した味わいを楽しみます。
ドルチェ
10.アメリカンチェリーのタルト
メニューについて
◆フルーツの歳時記をタルトに
年間を通して展開している「季節のフルーツのタルト」。
その初夏版は、旬のアメリカンチェリーをトッピングしておとどけします。
調理
◆アメリカンチェリーの下ごしらえ
◆タルトの組み立て
お召し上がり
◆力強い甘酸っぱさとコク
アメリカンチェリーは大粒で、色は深いレッド。
果肉は締まっていながら、歯ごたえは柔らかくジューシー。果汁はワインのような力強い甘酸っぱさとコクがあります。
自家製タルトの生地やクリームの甘さと相性抜群です。
梅雨明け前のひとときは、
「ラ・ビスボッチャ」の「季節のおすすめメニュー」でお楽しみください。