季節のおすすめメニュー5月

RECOMMENDED SEASONAL MENU 2021 MAY

コラム『味と技』第88回

初夏の爽快メニュー

5月は新緑が輝き、爽やかな風が心地よく感じます。

そんな季節に美味しく感じる、12品のメニューをおすすめします。

ウサギの肉の下ごしらえをする料理人・老田裕樹

メニュー編集・調理/料理人・老田裕樹

監修・調理/料理長・井上裕基 副料理長・露詰まみ

写真・文/ライター 織田城司
Menu editing・Cooking by Yuuki Oita 
Supervised by Yuuki Inoue  Mami Tsuyuzume  
Photo・Text  by George Oda

⚫︎前菜

1.ブラータチーズとビワのサラダ

ブラータチーズとビワのサラダ

メニューについて

◆季節のフルーツをシンプルに味わう

ブラータチーズのミルキーな甘みは、果物や野菜、生ハムなど、幅広い食材とよく合います。

5月は旬の果物、ビワやマンゴー、焼きイチジクなどと合わせ、シンプルなサラダで味わいます。

⚫︎ブラータチーズとは

ブラータチーズは、モッツァレラチーズと同じフレッシュチーズの仲間です。

袋状にしたモッツァレラチーズの中に、とろ〜りとした「ストラッチャテッラ」というチーズを詰めて封をする、手の込んだものです。

ブラータとはイタリア語で「バターのような」という意味です。バターのようにとろ〜りとして、ミルキーな甘みと風味があることが由来です。

「ディ・ステファノ」のブラータチーズ

⚫︎「ディ・ステファノ」のブラータチーズ

「ディ・ステファノ」社は、イタリア南部プーリア州の親子2代のチーズ職人がアメリカに渡り、カリフォルニア州で生産するチーズメーカーです。

同地の乳牛「ハッピー・カウ」のミルクを使用。干草や穀類、フルーツなど、バランスのとれたエサを与えられ、自由に放牧されて育った牛で、ミルクは濃厚な味わいです。

ひとくちにブラータチーズといっても、質感や味わいは一種類ではなく、豆腐のように、メーカーによって千差万別です。

「ディ・ステファノ」社のブラータチーズは、しっかりした質感と濃厚な味わいが特徴です。

外側の皮は薄くて柔らかく、なかのとろ〜りとした「ストラッチャテッラ」と呼ばれるチーズは、クリーミーでありながら、水っぽくなく、もっちりとして、しっかりした粘りがあります。

皮と中身の質感に差はほとんどなく、一体感があります。味わいはミルキーな甘みと風味が濃厚です。

「ディ・ステファノ」のブラータチーズが購入できる通販サイトのリンクはこちら→「THE FOODS」

ビワは長崎県産を使用

お召し上がり

◆みずみずしい果肉とやさしい甘み

種を除いたビワの果肉は、ナイフでサクッと切れる柔らかさで、果汁をたっぷりたくわえています。

ブラータチーズのバターのような風味が、ビワのみずみずしい果汁とやさしい甘みを引き立てます。

ブラータチーズとビワのサラダ

ブラータチーズとビワのサラダ

2.ブラータチーズとマンゴーのサラダ

ブラータチーズとマンゴーのサラダ

マンゴーは本場メキシコ産のアップルマンゴーを使用

お召し上がり

ブラータチーズとマンゴーのサラダ

◆さまざまな味が交錯する複雑な甘み

マンゴーの色は黄色が強いオレンジで鮮やか。果肉はねっとり濃厚。味わいは甘みだけではなく、酸味やほろ苦さ、コクが少しずつ現れ、複雑に混ざります。

ブラータチーズのミルキーな甘みが、マンゴーの奥深い甘みを引き立てます。

ブラータチーズとマンゴーのサラダ

ブラータチーズとマンゴーのサラダ

3.ブラータチーズと焼きイチジクのサラダ

ブラータチーズと焼きイチジクのサラダ

イチジクは愛知県産を使用

イチジクを炭火の焼き網の上にのせ、方向を変えながら強火で皮にパリッとした焼き色をつける

お召し上がり

ブラータチーズと焼きイチジクのサラダ

◆しっかり焼いた皮の香ばしさがポイント

イチジクは幅広くアレンジできるフルーツです。炭火で焼くと、なかの果肉の甘みがジャムのように凝縮され、ブラータチーズのバターのような風味とよく合います。

外の皮は、ポプリの花びらを炙ったような、「甘香ばしい」芳香が絶品。コーヒー豆のロースト香がミルクと合うように、ブラータチーズのミルキーな甘みを引き立てます。

ブラータチーズと焼きイチジクのサラダ

ブラータチーズと焼きイチジクのサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

4.パルマ産生ハムとマンゴー

パルマ産生ハムとマンゴー

メニューについて

◆イタリア料理を象徴する食材

生ハムの製法は、豚のモモ肉に塩をすり込み、風にさらすだけです。

自然の素材を生かし、シンプルに調理するイタリア料理を象徴します。

イタリア北部パルマに吹く爽やかな風の温度や湿度が、豚のモモ肉を世界最高峰の生ハムに熟成させます。

自然の神秘を感じるパルマ産生ハムの味わいは、そのままでも美味しく、季節のフルーツと合わせても美味しくいただけます。

5月のフルーツは、マンゴーをおすすめします。

パルマ産生ハムと骨付きの原木

ミートスライサーから出てきたスライスしたての生ハム。しっとりと柔らかく、脂がのった光沢が見える

お召し上がり

パルマ産生ハムとマンゴー

◆とろける塩味はフルーツとも相性抜群

生ハムは、ナイフで押さえ、フォークで引っ張るだけでスルリとちぎれます。

ビスボッチャの生ハムが柔らかく感じるのは、骨付きの原木を取り寄せ、自店で骨を抜き、新鮮な中身を乾く間もなくスライスするからです。

パルマ産生ハムとマンゴー

そんな生ハムの熟成香や塩味、旨み、コクは、幅広い食材やワインと合います。

生ハムをマンゴーに合わせると、生ハムの塩味とマンゴーの甘みが、お互い引き立て合います。

パルマ産生ハムとマンゴー

ラ・ビスボッチャ店内

5.イワシのマリネのサラダ

イワシのマリネのサラダ

メニューについて

◆光りものが主役の清涼感あふれるサラダ

イワシは酢でしめてから、薬味をたっぷり入れたオリーブオイルに漬けてマリネします。

ざっくり刻んだフルーツトマトやルッコラ、ウイキョウのフレッシュ感と合わせ、清涼感あふれるサラダに仕上げます。

調理

 ◆イワシをしめる

イワシを三枚におろす

イワシは静岡県産の中羽イワシを使用

小骨を丁寧に抜く

イワシの身の両面にたっぷり塩をつける

イワシの身を酢じめの液に約半日浸す。液は白ワイン酢にレモンを絞った汁を加える

白ワイン酢は、酢の特産地、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州モデナ県で、1891年に創業した老舗メーカー「アドリアーノ・グロソリ」社の「グロソリ・リゼルヴァ」ブランドを使用。ワインを木樽でゆっくり酢酸発酵させる伝統的な製法を用い、発酵後も木樽でじっくり熟成させたリゼルヴァタイプ。豊な香りと、まろやかな味わいがある

レモン汁に使うレモンはアメリカ産を使用

◆イワシをマリネする

酢じめしたイワシをザルに立て、酢じめに使った液を落とす

キッチンペーパーを使い、酢じめに使った液をしっかり吸収する

マリネ用に味と香りをつけたオリーブオイルをバットに注ぐ

マリネ用のオリーブオイルに味と香りをつけた食材。左から赤トウガラシ、エシャロット、ニンニク、バジル、ローリエ

オリーブオイルを入れたバットに、酢じめしたイワシの身を並べる

オリーブオイルに味と香りをつけた食材をイワシの上に敷き詰める

イワシをマリネ液に約1昼夜漬け込み、味と香りをつける。バジルやエシャロットはサラダの盛り付けにも加え、薬味として使う

◆仕上げる

イワシと一緒に盛り付けるフルーツトマトとルッコラ、ウイキョウを食べやすい大きさにカットして、自家製レモンドレッシングと和える

ウイキョウはイタリア産を使用。写真はフィレンツェの市場のウイキョウ

マリネしたイワシの身を半分にカットし、野菜と盛り付けて完成

お召し上がり

イワシのマリネのサラダ

◆きりっとした酸味のおつまみ

サラダから、レモンや酢が合わさった爽やかな香りが漂います。

イワシのマリネは、しまった身にオイルがなじみ、ほどよい歯ごたえ。酢じめやマリネ、ドレッシングで重ねた、きりっとした酸味が、さっぱりとした旨みとコクを引き立てます。

イワシのマリネのサラダ

フレッシュなレモンを使ったドレッシングが、フルーツトマトの甘みを引き出します。

ウイキョウとエシャロットのシャキシャキとした食感と、ほろ苦さがアクセントになります。

イワシのマリネのサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

6.カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ

カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ

メニューについて

旬のカルチョーフィを、温前菜で味わいます。

「アッラ・ロマーナ」とは、ローマ風という意味。カルチョーフィに詰め物をして蒸し煮にする、ローマの伝統的な調理法のことです。

同じローマでも、ユダヤ人街が発祥とされる、カルチョーフィを揚げる調理法と区別する呼び名です。

ローマのレストランを舞台にした映画『星降る夜のリストランテ』(1998年作)に散りばめられた料理ネタのひとつに登場する、ローマの春を感じるメニューです。

調理

◆香草パン粉をつくる

パン粉は味と粒感にこだわり、自家製パンをミンチマシーンで挽いてつくる

パン粉にミントとイタリアンパセリのみじん切りを加え、香りをつける

ペコリーノロマーノチーズを擦りおろし、香りをつける

塩コショウを加え、味をつける

ニンニクの香りをつけたオリーブオイルを加え、香りをつける

材料を混ぜ合わせて香草パン粉の出来あがり

◆カルチョーフィをオーブンで蒸し煮にする

カルチョーフィはイタリア産を使用

下処理をしたカルチョーフィの中に香草パン粉を詰める。詰め物は各家庭の味がある

容器に立てたカルチョーフィの上から香草パン粉を足す

蒸し煮に使う白ワインを入れる

オリーブオイルを加える。蒸し煮にワインとオリーブオイルを混ぜて使うのがローマ風

容器にアルミホイルでフタをして、オーブンで30分加熱して完成

お召し上がり

カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ

◆煮汁がしみ込んだ野菜の美味しさ

カルチョーフィは、多彩な食感と味があります。

その味わいは、くったりするまで煮込み、煮汁がしみ込むことで美味しさが増します。

カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ

カルチョーフィの外側は、タケノコのようにシャキシャキとした繊維質の歯ごたえで、ほろ苦い味わいがあります。内側はサツマイモのようにホクホクして、ほのかな甘みがあります。

煮汁が染みてドロドロになった香草パン粉を、ナイフでカルチョーフィに塗りながら食べると、より美味しくいただけます。冷えて落ち着いた味も格別です。

カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎パスタ

7.イカ墨練り込みラビオリ イカとタコのペースト入り イカとフレッシュトマトのソース

イカ墨練り込みラビオリ イカとタコのペースト入り イカとフレッシュトマトのソース

メニューについて

◆旬の甲イカをたっぷり味わう

夏にかけて漁獲の最盛期を迎える甲イカの美味しさを、ラビオリでたっぷり味わいます。

ラビオリの生地は、イカ墨を練り込み、なかに入れるペーストは、甲イカとタコを合わせます。

ソースは、甲イカのスライスにフレッシュトマトソースを合わせます。

調理

◆ラビオリに入れるイカとタコのペーストをつくる

鍋底にオリーブオイルを入れ、ニンニクと赤トウガラシを入れてから加熱し、味と香りをつける

甲イカを炒める

甲イカは神奈川県産を使用

白ワインを入れ、味と香りをつける

甲イカの肝からつくるペーストとアンチョビのペーストを入れ、味と香りをつける

甲イカと合わせるタコをカットする

タコは北海道産の茹でたタイプを使用

鍋にタコを投入。甲イカと一緒に炒める

炒めた香味野菜(ニンジン、タマネギ、セロリ)のみじん切りを加える

フタをして蒸し焼きにする

蒸し焼きにした甲イカとタコをミンチマシーンで粗挽きのペースト状にする

蒸し焼きで残った汁を混ぜ、甲イカとタコのペーストの出来あがり

◆ラビオリをつくる

イカ墨を練り込んだパスタ生地をパスタマシーンに入れやすいように、小分けにカットする。生地はイカ墨や強力粉、セモリナ粉、全卵、オリーブオイルを練ってつくる

生地をラビオリの薄さになるまで伸ばす

イカとタコのペーストを絞り袋に入れる

生地の上にイカとタコのペーストを絞り出す

生地をもう一枚上から重ね、ペーストを挟む。指で生地を押さえ、余分な空気を抜きながら上下の生地をくっつける

ペーストを入れた部分が中心になるように金型を置く

金型を上から押さえつけ、生地をくり抜く

くっつきを防ぐセモリナ粉を振りかけてラビオリの出来あがり

◆ソースをつくる

フライパンにオリーブオイル、ニンニク、赤トウガラシを入れてから加熱し、オイルに味と香りをつける

自家製のダシ汁(魚、イカとアンチョビ、野菜)を入れる

甲イカのスライスとフレッシュトマトソースを加える

強火で水分をとばす

とろみがつくまで煮詰めてソースの出来あがり

◆仕上げる

ラビオリを茹でる。茹で時間7分

茹で上がったラビオリをソースのフライパンに投入

ラビオリにソースを絡める

イタリアンパセリのみじん切りとエキストラヴァージン・オリーブオイルを加え、味と香りを整えて完成

お召し上がり

イカ墨練り込みラビオリ イカとタコのペースト入り イカとフレッシュトマトのソース

◆イカの香ばしいコクが重なる

ソースやラビオリ、あらゆる角度から、さまざまなイカの香りがたちのぼります。

ソースの甲イカのスライスは、コリコリした歯ごたえで、香ばしさとコクがきわだちます。

イカ墨練り込みラビオリ イカとタコのペースト入り イカとフレッシュトマトのソース

ラビオリの生地は柔らかく、練り込んだイカ墨のコクはまろやか。なかのペーストは、イカとタコの粒のポロポロした歯ごたえが心地よく、噛みしめると味が出て、ソースやラビオリの香ばしいコクを追いかけます。

トロトロになったフレッシュトマトソースの酸味と旨みが、重なるイカの味を濃厚すぎないバランスにまとめます。

イカ墨練り込みラビオリ イカとタコのペースト入り イカとフレッシュトマトのソース

ラ・ビスボッチャ店内

8.2色のニョッキ・ルンゴのオーブン焼き 和牛のピリ辛ソース

2色のニョッキ・ルンゴのオーブン焼き 和牛のピリ辛ソース

メニューについて

◆新感覚で味わうニョッキ

暑くなると食べたくなる辛い料理を、新感覚のニョッキでつくります。

「ルンゴ」は、イタリア語で長いという意味。食べごたえのある長いニョッキにピリ辛ソースをのせ、オーブンで焼きます。

ニョッキ・ルンゴは、黄色のジャガイモ味と、緑のホウレンソウ味の2色を盛り込み、味を広げます。

調理

◆2色のニョッキ・ルンゴの生地をつくる

ジャガイモを茹で、皮をむく

ジャガイモは北海道産の男爵イモを使用

皮をむいたジャガイモをポテトマッシャーでつぶす

つぶしたジャガイモをオーブンで加熱。余分な水分をとばし、味を凝縮させる

ジャガイモをボウルに移し、ナツメグのパウダーで香りをつけ、塩で味をつける

パルメザンチーズを加え、味と香りをつける

全卵1個と卵黄1個を加える。風味をつけながらつなぎにする

薄力粉を加えて混ぜる

生地がまとまったら台の上で練り、ジャガイモ味のニョッキ・ルンゴの生地の出来あがり

ホウレンソウ味のニョッキ・ルンゴの生地は、ジャガイモ味と同じ食材にホウレンソウのペーストを加えて練る

ホウレンソウのペーストに使うホウレンソウは群馬県産を使用

生地がまとまったら台の上で練る

2色のニョッキ・ルンゴの生地の出来あがり

◆2色のニョッキ・ルンゴの下ごしらえ

生地を小分けにする。薄力粉をくっつき防止の打ち粉にする。ダマにならないようにフルイにかけながら振りかける

小分けにした生地をスクレイパーでカットする。食べごたえのある長めの大きさをイメージ

ホウレンソウ味の生地もジャガイモと同じ大きさにカットする

カットが完了した2色のニョッキ・ルンゴ

ニョッキ・ルンゴを約1分ほど茹で、鍋から上げる

茹で上げたニョッキ・ルンゴの余分な水分を落とす

◆和牛のピリ辛ソースをつくる

和牛のヒモ肉を細切れにして鍋底で炒める。和牛は鹿児島県産の「薩摩牛」を使用

香味野菜(ニンジン、タマネギ、セロリ)のみじん切りを加えて炒める

別の鍋に赤トウガラシを入れる。辛さを強くするため、種も入れる

オリーブオイルを加え、加熱し、辛みをつける

自家製トマトソースを加える

炒めた和牛を加え、和牛のピリ辛ソースの出来あがり

◆オーブンで焼く

容器の底に焦げつきを防ぐバターを塗る

2色のニョッキ・ルンゴを敷き詰める

和牛のピリ辛ソースを重ねる

モッツアレラチーズをちぎって重ねる

モッツアレラチーズは「ディ・ステファノ」社製を使用。イタリア南部プーリア州の親子2代のチーズ職人がアメリカに渡り、カリフォルニア州で生産するチーズメーカー

パン粉を振りかける

バターをちぎって散りばめ、オーブンで10分加熱する

焼き上がり

取り分ける

お召し上がり

2色のニョッキ・ルンゴのオーブン焼き 和牛のピリ辛ソース

◆強いソースのパンチをやさしく受けるニョッキのクッション

カリカリに焼けたチーズやパン粉の香ばしい香りが食欲をそそります。

その下から出てくる、ソースの和牛のヒモ肉はじっくり煮込まれ、繊維がほどける柔らかさで、強い旨みがあります。

後味に感じるピリ辛は一瞬で、あくまでも肉の旨みにシフトした控えめのバランスです。

2色のニョッキ・ルンゴのオーブン焼き 和牛のピリ辛ソース

そんな強い味のソースを、ニョッキ・ルンゴがやさしいクッションで受け、絶妙のコントラストを楽しみます。

ニョッキ・ルンゴはもっちりした歯ごたえながら、なめらかに噛み切れる柔らかさで、ソースと一体化します。

黄色のジャガイモ味は、まろやかな香ばしさと、ほっこりした甘みがあり、緑色のホウレンソウ味は、青々しい風味がふんわり香り、ほのかな旨みがあります。

2色のニョッキ・ルンゴのオーブン焼き 和牛のピリ辛ソース

ラ・ビスボッチャ店内

9.タヤリンのバターソース サマートリュフかけ

タヤリンのバターソース サマートリュフかけ

メニューについて

◆サマートリュフの季節

イタリア北部ピエモンテ州が発祥とされる極細麺、タヤリン。

濃厚な卵の風味と、とろ〜りとバターソースになじむ質感は、トリュフと相性抜群です。

5月はサマートリュフを振りかけて味わいます。

タヤリンは自家製生パスタでつくる

バターソースのダシはパルマ産生ハムのみじん切りを使う。生ハムの熟成香や塩味、旨みが、シンプルなバターソースに程よい味をつける

サマートリュフは外側が黒っぽく、断面はうすいベージュ色。イタリア産のフレッシュタイプを使用

お召し上がり

タヤリンのバターソース サマートリュフかけ

◆マイルドなトリュフに感じる夏

サマートリュフの香りは、秋冬ものに比べるとおだやかです。

その分、極細麺、タヤリンの卵の風味や、バターソースの旨みとバランスがよく、とろける調和をじっくり味わうことができます。

「これもひとつの夏味」と思う余韻に浸ります。

タヤリンのバターソース サマートリュフかけ

タヤリンのバターソース サマートリュフかけ

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎メイン

10.ウサギとフォアグラのファルチート

ウサギとフォアグラのファルチート

メニューについて

◆繊細な味の肉料理

ファルチートはイタリア中部で多く見られる、小さな動物の肉を丸ごと使い、なかに詰め物をして焼く料理です。

5月はウサギの肉にフォアグラとハーブを合わせ、繊細な旨みを味わいます。

調理

◆ファルチートの中身をつくる

ウサギのモモとウデの肉をミンチマシーンで粗挽きにする。ウサギの肉はフランス産を使用

塩コショウで味をつける

タイムの葉を加え、香りをつける

フォアグラにニンニクの香りをつけたオリーブオイルを塗る。フォアグラはフランス産を使用

フォアグラを細切りにする

フォアグラを混ぜ合わせて、ファルチートの中身の出来あがり

◆ファルチートを巻く

ウサギの胴体の肉で中身を巻く

巻いた肉を紐で縛って固定する

巻いた肉をラップで包み、冷蔵庫で1日かけて味を浸透させる

◆ファルチートを焼く

フライパンにオリーブオイルを敷き、ファルチートの表面に焼き色をつける

方向を変え、全面に焼き色をつけ、旨みを封じ込める

ファルチートをアルミホイルで包み、オーブンで40分加熱。その後、肉汁を落ち着かせるために60分以上休ませる

◆仕上げる

ファルチートを固定していた紐を切り、取り除く

取り分ける分を輪切りにする

輪切りにしたファルチートをフライパンで軽く炒め、表面に焼き色をつけ、香ばしさを増す

焼き跡が残ったフライパンでソースをつくる。自家製のダシ汁(鶏、ウサギ)やバター、タイム、仔牛のブイヨンなどを入れて煮込む

お召し上がり

ウサギとフォアグラのファルチート

◆さっぱりした旨みが凝縮

ウサギの肉質は柔らかく、肉汁はサラサラ。味わいは、甘みやさっぱりした旨みを感じます。

旨みは淡白になりすぎることなく、肉をギュウギュウ巻き込んだ効果で凝縮しています。

焼き目の香ばしさとカリカリした食感が美味しさを広げます。

 

ウサギとフォアグラのファルチート

巻き込んだフォアグラの濃厚な旨みとタイムの爽やかな香りがアクセントになります。

白ワインにも合いそうな繊細な味は、初夏にじっくり味わうのが気分です。

ウサギとフォアグラのファルチート

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎ドルチェ

11.キャラメルヘーゼルナッツのミルフィーユ

キャラメルヘーゼルナッツのミルフィーユ

メニューについて

◆キャラメルヘーゼルナッツが極める人気定番の5月スペシャル

イタリアらしい分厚いクリームのボリューム感が人気で、ファンからお取り置きのリクエストが多いビスボッチャのミルフィーユ。

5月はスペシャル・エディションとして、キャラメルヘーゼルナッツ味が登場。

キャラメルヘーゼルナッツのフレークを、トッピングとクリームに加え、甘さと香ばしさを広げます。

調理

◆パイ生地を焼く

パイ生地はオーブンで10分加熱。その次に、重りをのせて10分加熱。その次に、重りを外し、粉糖を振りかけて10分加熱。合計30分かけて焼き上げ、冷ます

パイ生地の表面は粉糖をかけて焼いた効果(キャラメリゼ)で光沢がある。生地のサクサク、パリパリした食感を強め、クリームの水分から生地を守る作用がある

◆キャラメルヘーゼルナッツのフレークをつくる

皮をむいたヘーゼルナッツをローストして香ばしさを高め、キャラメルシロップと絡め、冷やし、固める。ヘーゼルナッツは風味が強いシチリア産を使用

キャラメルシロップを絡めたヘーゼルナッツをミキサーで細かくしてフレーク状にする

出来あがったキャラメルヘーゼルナッツのフレーク

◆クリームをつくる

パイ生地にはさむクリームをつくる。カスタードクリームやサバイオーネクリーム、生クリーム、ヘーゼルナッツペーストなどを混ぜ合わせる

キャラメルヘーゼルナッツのフレークを加えてクリームの出来あがり

◆ミルフィーユを組み立てる

パイ生地を1枚敷き、溶かしたチョコレートを振りかける

クリームを重ねる。イタリア式に分厚いボリューム感をイメージ

2枚目のパイ生地を重ね、溶かしたチョコレートを振りかける

2段目のクリームを重ねる

3枚目のパイ生地を重ね、溶かしたチョコレートを振りかける

パイ生地の破片をトッピングする

キャラメルヘーゼルナッツのフレークを振りかける。こぼれ落ちたフレークをサイドからクリームにつける

粉糖を振りかけて完成

キャラメルヘーゼルナッツのミルフィーユ(ホール)

キャラメルヘーゼルナッツのミルフィーユ(ホール)

お召し上がり

キャラメルヘーゼルナッツのミルフィーユ

◆ヘーゼルナッツがつなぐ香ばしさのリンク

ヘーゼルナッツの香ばしい風味や旨み、渋み、コクは、キャラメルシロップと好相性です。

そのふたつが合体したキャラメルヘーゼルナッツのフレークは、ミルフィーユに散りばめられ、パイ生地のキャラメルやチョコレートなどと、香ばしさのリンクを次々と広げ、甘さを引き立てます。

サクサクしたパイ生地と、ポリポリしたフレークの食感とともに、分厚くて濃厚なクリームがすすみます。

キャラメルヘーゼルナッツのミルフィーユ

キャラメルヘーゼルナッツのミルフィーユ

ラ・ビスボッチャ店内

12.イチゴとイチジクのタルト

イチゴとイチジクのタルト

メニューについて

◆爽やかな甘みの初夏のタルト

季節の果物をタルトで味わう歳時記のシリーズです。

5月はイチゴとイチジク2種の味を楽しみます。

イチゴは甘みが強い栃木県産の「とちおとめ」を使用

イチジクは愛知県産を使用

イチゴとイチジクのタルト(ホール)香りをつける葉は千葉県産のミントとセルフィーユ

イチゴとイチジクのタルト(ホール)

お召し上がり

イチゴとイチジクのタルト

◆2種の甘みを味わう贅沢

イチゴの果肉はしっかりして、甘みが強く、酸味は控えめです。

イチジクの果肉はとろける柔らかさで、フルーティな香りが広がります。舌ざわりはなめらかで、甘さは上品で繊細。小花のプチプチした食感がアクセントになります。

2種の甘みの爽やかな余韻に、初夏の季節を感じます。

イチゴとイチジクのタルト

イチゴとイチジクのタルト

新緑が輝く5月のディナーは、

「ラ・ビスボッチャ」の、

季節のおすすめメニューで、お楽しみください。