第50回 RAVIOLI DI RICOTTA E SPINACI SALSA BURRO E SALVIA
リコッタチーズとほうれん草のラヴィオリ バターとセージのソース
やさしい味の詰めものパスタ
種類がたくさんある、イタリアのパスタ。
メニューを知ると、ディナーがより楽しくなります。
今回は、やさしい味の詰めものパスタ、
リコッタチーズとほうれん草のラヴィオリの魅力を紹介します。
ラヴィオリの茹で上がりを待つ副料理長・露詰まみ
解説/副料理長 露詰まみ
写真・文/ライター織田城司
Commentary by Mami Tsuyuzume
Photo & Text by George Oda
メニューについて
フィレンツェの街並み
◆柔らかさとまろやかさ
ラヴィオリは中世の頃、宮廷料理人が考案したとされ、長い年月をかけてイタリア全土で親しまれるようになりました。
そのなかでも、リコッタチーズとほうれん草のペーストを、バターとセージのソースでいただくレシピは、もっともポピュラーで、ビスボッチャも年間定番でご用意しています。
ラヴィオリの生地は、柔らかさにこだわり、自家製の生タイプを使用。
中に詰めるほうれん草のペーストは、まろやかな旨みとトロみを追求して、イタリア製のリコッタチーズを2種ブレンドしています。
どこかホッとする味を、ぜひお楽しみください。
リコッタチーズとほうれん草のラヴィオリ バターとセージのソース
調理
ほうれん草のペーストをつくる
ほうれん草を洗う
ほうれん草は国内から新鮮なものを毎日20束ほど仕入れている
ほうれん草を茹でる前に葉と茎を切り分ける
ほうれん草の葉と茎をより分ける
ほうれん草の茹で汁に岩塩を入れ、下味をつける
ほうれん草は硬い茎から先に茹でる
時間差をつけて葉を投入して茹でる
茹で上がったほうれん草を氷水で冷やす
ほうれん草を絞り、水分を落とす
ほうれん草をミキサーに投入
全卵2個、卵黄2個を加える
ミキサーで混ぜる
リコッタチーズを加える。イタリア「ガルバーニ」社のクリーミーで甘みがしっかりしたタイプ
「ガルバーニ」社は、1882年にスイスとの国境に近い北イタリアのアルプスのふもとで創業。乳製品市場ではイタリア最大手のメーカーで、品質が安定している
クリーミーなリコッタチーズをミキサーで混ぜる
別のリコッタチーズを加える。「カーサ・マダイオ」社の水牛乳を原料にした濃厚でコクのあるタイプ
「カーサ・マダイオ」社は、南イタリアのカンパーニャ州で水牛乳製品を中心に手がけるメーカー
水牛乳のリコッタチーズをミキサーで混ぜる
リコッタチーズを混ぜたほうれん草のペーストをボウルに移す
パルメザンチーズを加える
塩を加える
ほうれん草のペーストと調味料を混ぜ合わせる
出来上がったほうれん草のペーストを絞り袋に入れる
ラヴィオリの生地をつくる
ラヴィオリの生地の材料、卵を業務用大型ミキサーに投入
卵は神奈川県産の「長寿卵」。卵黄がオレンジ色で、味にコクと深みがあり、イタリアの卵に似ていることから使用
卵は全卵に卵黄のみを増量して味を濃くしたもの。旨みがたっぷりしたシチリア産天然海塩を加え、下味をつけながら生地にコシをつける
さらに卵にオリーブオイルを加え、生地のしっとり感を増す
小麦粉は、コシとモッチリ感、豊かな風味にこだわり、小麦粉とデュラム・セモリナ粉を独自にブレンドしている。卵と一緒に業務用大型ミキサーで混ぜる。材料の配合は、気温と湿度によって微調整しながら理想の食感を維持している
混ぜ合わせたラヴィオリの生地はビニール袋に入れ、30分ほど休ませ、よくなじませる
生地をパスタマシーンに通して伸ばすため、輪切りにする
パスタマシーンの中で回転する2本の棒の間に生地をはさみ、圧力を加えながら薄く伸ばしていく
生地はパスタマシーンに何回か通し、徐々に薄く伸ばす。伸ばしながら練りを加えることで、ムラなく均一な生地感に仕上げていく
生地をラヴィオリの厚さの設定、1㎜になるまでのばす
生地の厚さを確認
出来上がった生地は、半分に切ってラップで覆い、しばらく休ませて伸縮を落ち着かせる
ラヴィオリをつくる
生地の中心に、目安の折り目をつける
円形の金型で目安をつける
円の中心にほうれん草のペーストを絞り出す
ペーストを生地で包み、余分な空気を抜く
円形の金型でラヴィオリを半月状にくり抜く
ラヴィオリの口を指で押さえ、しっかり閉じる
くっつき防止のセモリナ粉を打ち粉として振りかけ、ラヴィオリの出来上がり
ラヴィオリとソースを和える
茹で麺機に岩塩を入れ、下味をつける
茹で麺機にラヴィオリを投入
ラヴィオリの茹で時間は6分30秒
ソースに使うバターとセージをフライパンに入れてから加熱
セージは千葉県産のものを使用
ラヴィオリの茹で汁を加え、ソースの出来上がり
ラヴィオリの茹で上がりを待つ
茹で上がったラヴィオリをソースのフライパンに投入
フライパンを加熱してラヴィオリとソースを和える
パルメザンチーズを混ぜ、盛り付けてから再度パルメザンチーズをふりかけて完成
お召し上がり
リコッタチーズとほうれん草のラヴィオリ バターとセージのソース
◆クリーミィな口どけと爽やかな旨み
出来あがったラヴィオリは、バターの甘い風味を、セージの青々しい香りが引き立て、高原の牧場のような爽やかさです。
ラヴィオリの生地は、2枚重なった部分はモッチリした歯ごたえがあり、ペーストを包んでいる1枚の部分はとろける柔らかさで、食感のコントラストがうれしい口当たりです。
リコッタチーズとほうれん草のラヴィオリ バターとセージのソース
ラヴィオリの中からトロッと出てきたペーストは、ラヴィオリの生地やバターソースと一体になり、クリーミーな口どけです。2種のリコッタチーズのブレンドで、まろやかな旨みを感じます。
ツルッと食べると後を引き、思わず、次の一個に手が伸びます。お皿に残ったバターソースを、パンにつけて味わうのもお楽しみです。
リコッタチーズとほうれん草のラヴィオリ バターとセージのソース
おすすめのワイン
白ワイン「テルラーノ ピノ・ビアンコ ヴォルベルグ リゼルヴァ 2015」
◆フルーティーな香りの辛口白ワイン
銘柄/テルラーノ ピノ・ビアンコ ヴォルべルグ リゼルヴァ
ワイナリー/カンティーナ・テルラーノ社
生産地/イタリア北部トレンティーノ・アルト・アディジェ州
ぶどう種/ピノ・ビアンコ100%
生産年/2015年
香りは熟したリンゴや洋梨のフルーティーな甘さに、スパイスやヘーゼルナッツ、樽香のニュアンスがミックスして深みを加えています。
味わいは、穏やかな酸と果実味のバランスが取れたしっかりした辛口。
ラヴィオリのバターソースの甘い風味と調和しながら、スッキリと引きしめる味わいです。
白ワイン「テルラーノ ピノ・ビアンコ ヴォルベルグ リゼルヴァ 2015」と「リコッタチーズとほうれん草のラヴィオリ バターとセージのソース」
今度のディナーのパスタは、
ぜひ、リコッタチーズとほうれん草のラヴィオリを、お楽しみください。