RECOMMENDED SEASONAL MENU NOVEMBER 2021
コラム『味と技』第100回
深まる秋の味
晩秋の11月、紅葉で色づく街。熟した食材やワインに、収穫の感謝を思いながら、冬支度をはじめます。
ディナーを彩るメニューは、深まる秋を味わう料理を10品加えておすすめします。
メニュー編集・調理/料理人・老田裕樹
監修/料理長・井上裕基 副料理長・露詰まみ
写真・文/ライター 織田城司
Menu editing・Cooking by Yuuki Oita
Supervised by Yuuki Inoue Mami Tsuyuzume
Photo・Text by George Oda
⚫︎前菜
1.ブラータチーズと炭火で焼いた柿のサラダ
メニューについて
ブラータチーズのサラダで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。
11月の1品目は、炭火で焼いた柿を合わせて、おすすめします。
お召し上がり
◆とろける甘香ばしさ
炭火で焼いた柿は、果肉がとろける柔らかさです。
味わいは、べっこう飴のような、甘香ばしさがきわだちます。
意外な味の新体験を、ブラータチーズのミルキーな風味が引き立てます。
2.ブラータチーズと黒イチジクのサラダ
メニューについて
ブラータチーズのサラダで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。
11月の2品目は、黒イチジクを合わせて、おすすめします。
(こちらのメニューは食材産地の天候不順で提供できない場合がございますので、あらかじめご了承ください)
お召し上がり
◆きわだつフルーティな風味
黒イチジクの皮は薄く、食感をほとんど感じない柔らかさです。
果肉も柔らかく、やさしい甘みがあり、ブラータチーズとよくなじみます。
ブラータチーズのミルキーな風味が、黒イチジクのフルーティな風味を引き立てます。
3.プンタレッラのサラダ アンチョビ・ドレッシング
メニューについて
「永遠の都」ローマを州都にするラツィオ州の冬野菜、プンタレッラのサラダです。
薄くスライスしたプンタレッラを、ローマで定番の食べ方、アンチョビ・ドレッシングで和えました。
前菜のほかに、肉料理の付け合わせにもおすすめです。
調理
お召し上がり
◆さっぱり、軽やかな味わい
プンタレッラのサラダは、食感が楽しみです。
部分によって、ポリポリ、ホクホク、サクサク、シャリシャリなど、表情が多彩で、ほかの野菜にない心地よさがあります。
プンタレッラを噛みしめると、甘み、旨み、ほろ苦さが、繊細に、バランスよく現れ、飽きない味わいです。
ドレッシングの酸味とアンチョビが、ほどよい味をつけ、後味はさっぱり、軽やかです。
4.ヤリイカとプンタレッラのフライ カラスミパウダーかけ
メニューについて
プンタレッラのローマ風の食べ方は、サラダのほかに、フライのカラスミパウダーかけもポピュラーです。
そこにビスボッチャの人気定番、ヤリイカのフライを合わせ、冬ならではのミックスフライに仕上げました。
調理
お召し上がり
◆カラスミのコクで深まる味わい
そのままでも、おつまみになるカラスミを贅沢に振りかけたフライは、香ばしさにコクが加わり、味わいが深まります。
柔らかく、淡白な味わいのプンタレッラは、カラスミのコクとバランスよく合い、ローマで人気の組み合わせを実感します。
ヤリイカとカラスミは、もとより海産物同士で好相性。ヤリイカの香ばしさと旨みを、カラスミが追い、深めます。
食前酒がぐっと美味しくなる前菜です。
5.白トリュフのラビオローネ
メニューについて
白トリュフと好相性の卵と乳製品でつくる、イタリア語で大きなラビオリを意味する、ラビオローネです。
ラビオリのなかの卵黄は、アツアツ、トロトロで、バターソースとともに、白トリュフの香りを高めます。
(こちらのメニューは生パスタの素材の特性により、事前の予約のみの受注とさせていただきます。お召し上がりをご希望の場合は、お席を予約する際にあわせてご予約ください)
調理
◆ラビオローネをつくる
◆仕上げる
お召し上がり
◆白トリュフをとろりと味わう
大きな白い皿に盛り付けた、大きな黄色いラビオローネは、卵色の見た目。白トリュフの香りを広い面積で高め、うれしくなります。
ラビオローネをナイフでカットすると、卵黄がゆっくり流れ出します。
ラビオローネの生地は膜のように極薄で、ほとんど液状の食材に、トロッと絡みます。
皿に残ったソースは、パンにつけても美味しくいただけます。
6.マダコとミニトマトのオレキエッテ キャンティワインのソース
メニューについて
冬に旬をむかえるマダコを、イタリア南部プーリア州発祥で、魚介と相性がいいショートパスタ、オレキエッテと合わせました。
ソースはキャンティワインで煮込み、コクを加えました。
調理
◆オレキエッテをつくる
◆マダコの下ごしらえ
◆仕上げる
お召し上がり
◆濃厚でコクがあるマダコの旨み
マダコは、オレキエッテやミニトマトと同じくらいの大きさで食べやすく、それぞれの美味しさを、かわるがわる味わいます。
食感は、マダコの締まった身は強い弾力で、オレキエッテはもっちりして、ミニトマトはジューシーな柔らかさがあり、個性とバランスを楽しみます。
マダコの旨みは、キャンティワインで煮込むことでコクが増し、その味が生きたソースは、オレキエッテのくぼんだ面と、ザラザラした面にしっかり絡み、全体の味をまとめます。
ミニトマトの甘みと酸味がアクセントになります。
7.熊野地鶏の熊野唐辛子煮込み
メニューについて
◆太陽の恵みを煮込む
ブーツの形をしたイタリア半島。その南端のつま先あたるカラブリア州は、温暖な気候で、肉や魚、野菜が豊かに実ります。
良質な唐辛子もよく育ち、「ンドゥイヤ」という唐辛子からつくるペーストは、イタリア全土で利用される名物です。
地鶏と「ンドゥイヤ」を組み合わせた料理は、四季を通じて辛みの美味しさが親しまれています。
日本の紀伊半島南部に位置する三重県熊野市は、カラブリア州に似て温暖な気候で、地鶏や唐辛子も特産物のひとつです。
その美味しさを生かし、本場の「ンドゥイヤ」と組み合わせ、カラブリア風の地鶏料理をつくりました。
ほどよい辛さの刺激に、あたたかくなります。
◆熊野地鶏とは
豊な自然を背景に、三重県が生み出した高級ブランド地鶏が「熊野地鶏」です。
のびのびとした環境で、健やかに育てられた地鶏の肉質は、
赤みが強く、弾力性に富み、旨み成分を多く含み、鶏肉本来のコクと風味があります。
◆熊野唐辛子とは
熊野唐辛子は、三重県熊野市の温暖な気候と豊かな大地がつくる唐辛子のシリーズです。
極上の辛さと、唐辛子本来の旨みが味わえます。
調理
◆熊野地鶏を煮込む
◆仕上げる
お召し上がり
◆旨みが加わる、まろやかな辛み
見た目は激辛ですが、唐辛子は国産の生タイプのため、辛みは旨みが加わるマイルドなタイプです。
辛みが苦手な方は、唐辛子を除けば、地鶏本体はまろやかな辛みです。
地鶏の歯ごたえはしっかりして、噛みしめると濃い旨みとコクを感じます。
唐辛子は辛さを主張しすぎることなく、地鶏の滋味を引き締めます。
8.鹿ロースのロースト 山ぶどうとグリーンペッパーのソース
メニューについて
冬に備え、秋に栄養を蓄えて美味しくなるジビエ肉の濃い旨みは、甘酸っぱいソースと相性抜群です。
今回は、赤身が美味しい鹿ロースのローストを、山ぶどうとグリーンペッパーでつくる甘酸っぱいソースと合わせました。
調理
◆鹿ロースを焼く
◆ソースをつくる
お召し上がり
◆甘酸っぱいソースできわだつ旨み
鹿ロースの肉質はきめ細かく、繊維をほとんど感じない、柔らかい歯ごたえです。
ジビエの風味はほとんどなく、赤身の濃い旨みやコクをストレートに感じ、ほかの動物の肉にない、鹿独自の美味しさを実感します。
鹿の濃い旨みを、甘酸っぱさが凝縮したソースが引き立てます。
山ぶどうの種の歯ごたえと、グリーンペッパーの爽やかな辛みがアクセントです。
9.ストゥルーデル
メニューについて
旬のリンゴを、薄い生地で巻いて焼いたお菓子です。
果汁が凝縮したリンゴと、香ばしい皮のコントラストが絶妙です。
調理
お召し上がり
◆濃密なリンゴの風味がたまらない
ストゥルーデルのなかで焼かれたリンゴの果肉は柔らかく、フルーティな風味がシナモンの香りで引き立ち、濃密に香ります。
味わいは、まろやかな甘酸っぱさで、レーズンと松の実が奥行きを広げます。
ストゥルーデルの皮は、上部はパリッとして、リンゴの果汁がしみた底はしっとりして、多彩な香ばしさと食感のバリエーションでリンゴを引き立てます。
ジェラートを合わせると、よりいっそう美味しくいただけます。
10.黒イチジクのタルト
メニューについて
タルトで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。
11月は、黒イチジクを合わせて、おすすめします。
(こちらのメニューは産地の天候不順で食材の入荷がなく、提供できない場合がございますのであらかじめご了承ください)
お召し上がり
◆爽やかで、やさしい甘み
タルト生地やクリーム、ピスタチオが、黒イチジクのやさしい甘みを引き立てます。
黒イチジクのプチプチした種や、薄い皮のほのかな渋みに、深まる秋の余韻を感じます。
晩秋のディナーは、
ラ・ビスボッチャの
季節のおすすめメニューでお楽しみください。