季節のおすすめメニュー12月 2021

RECOMMENDED SEASONAL MENU DECEMBER 2021

コラム『味と技』第103回

年忘れの美味

12月は冬本番の厳しい寒さが訪れ、忘年会やクリスマス、新年の準備が重なり、あわただしく過ごします。

そんな季節をのりきる、美味しくて栄養たっぷりの料理を旬菜でつくり、10品集めておすすめします。

監修/料理長・井上裕基 副料理長・露詰まみ

写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue  Mami Tsuyuzume  
Photo・Text  by George Oda

⚫︎前菜

1.ブラータチーズとプチぷよのサラダ

ブラータチーズとプチぷよのサラダ

メニューについて

ブラータチーズのサラダで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。

12月の1品目は、新種のトマト「プチぷよ」を合わせて、おすすめします。

撮影調理:料理長・井上裕基

ブラータチーズは、イタリア南部プーリア州のチーズ職人が、アメリカ・カリフォルニア州でつくる「ディ・ステファノ」社製を使用。放牧牛のミルクを使い、濃厚な風味と舌ざわりがある

プチぷよは2008年に品種登録されたトマト。ミニトマトよりやや大きい。今回は三重県産を使用

プチぷよはヘタを取り、カットしないで1粒丸ごと盛り付け、食感を楽しむ。バジルの葉を添え、爽やかな香りと彩りを加える

お召し上がり

ブラータチーズとプチぷよのサラダ

◆プチッとはじけ、ぷよっとジューシー

プチぷよを口にふくみ、噛みしめると、薄い皮がプチッとはじけます。

なかから出てくる果肉はぷよっとして、強い甘みを、ブラータチーズのミルキーな風味が引き立てます。

ブラータチーズとプチぷよのサラダ

ブラータチーズとプチぷよのサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

2.ブラータチーズとイチゴのサラダ

ブラータチーズとイチゴのサラダ

メニューについて

ブラータチーズのサラダで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。

12月の2品目は、イチゴを合わせて、おすすめします。

撮影調理:料理人・高部孝太

イチゴは栃木原産の「とちおとめ」を使用

イチゴの若々しい甘酸っぱさを補うため、ホワイト・バルサミコ酢とメイプルシロップで味をつける

ホワイト・バルサミコ酢(左)は、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州の酢の特産地、モデナで1871年に創業した老舗「レオナルディ」社製を使用。メープル・シロップ(右)は、原料のサトウカエデの原生林がある特産地、カナダ産。「カド・ドゥ・ケベック」ブランドの風味豊かなアンバーリッチテイストを使用

お召し上がり

ブラータチーズとイチゴのサラダ

◆冬に美味しい甘酸っぱさ

空気が乾燥する冬は、イチゴの甘酸っぱさが美味しく感じます。

ブラータチーズのミルキーな風味がイチゴの美味しさを引き立てます。

ブラータチーズとイチゴのサラダ

ブラータチーズとイチゴのサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

3.馬肉のカルパッチョ 黒トリュフかけ

馬肉のカルパッチョ 黒トリュフかけ

メニューについて

栄養豊富な馬肉をカルパッチョで仕上げ、冬のパワーアップにおすすめします。

馬肉と相性がよい黒トリュフを振りかけ、香りを高めました。

調理

撮影調理:料理人・高部孝太

馬肉は福島県産のモモ肉を使用

馬肉を薄く切る

馬肉をラップで覆い、ミートハンマーで叩き、薄くのばしながら繊維をほぐし、柔らかくする

塩と黒コショウ、エキストラヴァージン・オリーブオイル、黒トリュフのスライスを振りかけて仕上げる

黒トリュフはイタリア産を使用

お召し上がり

馬肉のカルパッチョ 黒トリュフかけ

◆濃厚な香りと旨み

馬肉のモモ肉は脂分が少なく、赤身が中心で、旨みがしっかりしています。

鉄分が豊富で、旨みはコク、ほろ苦さまで奥深く広がります。

馬肉のカルパッチョ 黒トリュフかけ

馬肉はオリーブオイルがなじみ、ツルッ、トロッとした食感が増しています。

黒トリュフの香りは、馬肉の味を深め、フレッシュでありながら濃厚な味わいを堪能します。

馬肉のカルパッチョ 黒トリュフかけ

ラ・ビスボッチャ店内

4.ラディッキオ・タルディーヴォのサラダ アンチョビ・ドレッシング

ラディッキオ・タルディーヴォのサラダ アンチョビ・ドレッシング

メニューについて

イタリアの冬野菜、ラディッキオ・タルディーヴォを伝統的なアンチョビ・ドレッシングで和えたサラダです。

さっぱりした味わいは、前菜のほかに、肉料理の付け合わせにもおすすめです。

調理

撮影調理:料理人・高部孝太

ラディッキオ・タルディーヴォは、イタリア北部ヴェネト州トレヴィーゾ県特産の冬野菜。鮮やかな紫と白のコントラストが美しく、イタリアでは「冬の花」とよばれている

ラディッキオ・タルディーヴォを食べやすい大きさにカットする

カットしたラディッキオ・タルディーヴォを水に漬け、アクを取りながらシャキッとさせる

アク抜きしたラディッキオ・タルディーヴォを野菜水切り器に入れ、余分な水分をとばす

ラディッキオ・タルディーヴォをアンチョビ・ドレッシングと和えて完成。アンチョビ・ドレッシングはアンチョビペースト、ニンニクオイル、赤ワイン酢、エキストラヴァージン・オリーブオイル、塩を混ぜてつくる

赤ワイン酢は、酢の特産地、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州モデナ県で、1891年に創業した老舗メーカー「アドリアーノ・グロソリ」社の「グロソリ・リゼルヴァ」ブランドを使用。ワインを木樽でゆっくり酢酸発酵させる伝統的な製法を用い、発酵後も木樽でじっくり熟成させたリゼルヴァタイプ。豊かな香りと、まろやかな味わいがある

お召し上がり

ラディッキオ・タルディーヴォのサラダ アンチョビ・ドレッシング

◆可憐で繊細な美味しさ

紫の部分は花びらのように可憐で、白い部分はサクサクしています。

味わいはさっぱりして、青々しさや旨みは繊細です。

飽きない奥深さがあり、ワインのおつまみにもよく合います。

ラディッキオ・タルディーヴォのサラダ アンチョビ・ドレッシング

ラディッキオ・タルディーヴォのサラダ アンチョビ・ドレッシング

ラ・ビスボッチャ店内

5.牛タンとラディッキオ・タルディーヴォの炭火焼き

牛タンとラディッキオ・タルディーヴォの炭火焼き

メニューについて

イタリアの冬野菜、ラディッキオ・タルディーヴォは、生だと可憐で繊細な味わいがありながら、炭火で焼くと香ばしさや旨みがきわだち、力強い味わいも楽しめます。

相性抜群の牛タンの炭火焼きを厚切りで合わせ、冬味の炭火焼きを堪能します。

調理

撮影調理:料理人・老田裕樹

◆下ごしらえ

牛タンは塊肉で仕入れ、自店でさばく。今回はアメリカ産を使用

皮を取り除いて精肉した牛タンから、焼く分の肉を切り分ける

切り分けた牛タンに塩と黒コショウ、オリーブオイルを振りかけて下味をつける

ラディッキオ・タルディーヴォを細長く切り分ける

◆炭火で焼く

牛タンを炭火グリルの網の上にのせて焼く

牛タンをひっくり返し、反対側も焼く

時間差をつけてラディッキオ・タルディーヴォを焼き、牛タンと盛り付ける

牛タンにお好みで絞る「新姫(にいひめ)」を添える。新姫は三重県熊野市新鹿町で発見された香酸柑橘の新品種

お召し上がり

牛タンとラディッキオ・タルディーヴォの炭火焼き

◆炭火で極まる香ばしさ

ラディッキオ・ラルディーヴォの繊細な美味しさは、炭火で焼くことでワイルドになります。

紫の部分はパリッとして香ばしく、白い部分はしっとりして、旨みが増します。

牛タンとラディッキオ・タルディーヴォの炭火焼き

炭火で焼いたラディッキオ・タルディーヴォの美味しさに、牛タンの香ばしさと旨みがよく合います。

一緒に添えた香酸柑橘「新姫(にいひめ)」を絞ると、爽やかな香りと酸味が加わり、よりいっそう美味しくいただけます。

牛タンとラディッキオ・タルディーヴォの炭火焼き

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎パスタ

6.アンコウと海の幸のパッケリ

アンコウと海の幸のパッケリ

メニューについて

地中海に囲まれたイタリア半島は魚介のパスタも豊富です。

そんなイタリアのパスタをイメージして、冬に美味しくなるアンコウを主役にしたパスタをつくりました。

大きな筒型パスタ、パッケリには、魚介のソースがたっぷりしみています。

調理

撮影調理:料理人・村澤大

◆ソースをつくる

アンコウをさばき、食べやすい大きさにカットする。アンコウは北海道産を使用

フライパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切り、赤唐辛子を入れ、加熱し、オイルに味と香りをつける

アンコウを入れ、表面を炒める

白ワインを入れ、フライパンにこびりついたアンコウの焦げ目をそぎ落とし、ダシに加える

自家製魚のダシ汁や、イカの肝、アンチョビ、トマトペーストでつくるダシ汁を加える

ムール貝やアサリを入れ、蒸し焼きにする

貝が開いたら火を止め、半分にカットしたミニトマトを入れ、パスタの茹で上がりを待つ。ミニトマトは食感を生かすため、火入れは仕上げのみにする

◆仕上げる

パッケリは大きな筒状のパスタ。ソースを絡めるため表面はザラザラした仕上げになっている

パッケリは、パスタの特産地、イタリア南部のカンパニア州で1812年に創業した「ヴィチドーミニ」社製を使用。有機栽培したイタリア産デュラムセモリナ粉を100%使用。昔ながらの低温長時間乾燥で豊かな小麦の風味がある。茹で時間は約17分

パスタが茹で上がる直前にソースを加熱する

茹で上がったパッケリをソースのフライパンに投入し、ソースと和える

イタリアンパセリのみじん切りと、エキストラヴァージン・オリーブオイルを入れ、爽やかな味と香りをつけて仕上げる

お召し上がり

アンコウと海の幸のパッケリ

◆アンコウの上品な旨みにほっこり

アンコウの食感はぷりぷりして、きめ細かい舌ざわりです。

味わいは、白身魚の旨みを上品に感じます。

アンコウと海の幸のパッケリ

合わせるムール貝やアサリの旨みは濃く、魚介ソースの味を深め、アンコウを引き立てます。

ミニトマトの甘酸っぱさとパッケリの小麦の風味がアクセントです。

アンコウと海の幸のパッケリ

ラ・ビスボッチャ店内

7.和牛と黒キャベツのラザニア

和牛と黒キャベツのラザニア

メニューについて

パーティーの振る舞い料理として人気のラザニア。パーティーシーズンになると食べたくなる味です。

12月のラザニアは、イタリアの冬野菜、黒キャベツに和牛のラグーソースを合わせ、冬らしくコクを深めて焼き上げました。

調理

撮影調理:料理人・老田裕樹

◆ラザニアを組み立てる

バットの底に焦げつきを防ぐバターを塗る

パスタの生地を敷き、枠からはみ出す分は切り取る。生地は自家製の生パスタで全卵、卵黄、小麦粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩を混ぜてつくる

ベシャメルソースを重ねる

和牛のラグーソースを重ねる

和牛のラグーソースは、鹿児島県産「薩摩牛」のヒモ肉を香味野菜や赤ワイン、トマトソースなどと煮込んでつくる

蒸し煮にした黒キャベツを重ねる

黒キャベツはトスカーナ地方が原産とされるイタリアの冬野菜

パルメザンチーズを振りかける

2層目の生地を重ねる。同じ要領で階層を重ね、今回は5階層重ねる

最上階には、バターを加える

オーブンで焼く

◆仕上げる

一人前をバットから取り分け、オーブンで加熱し、パルメザンチーズを振りかけて仕上げる

お召し上がり

和牛と黒キャベツのラザニア

◆とろける旨みとコク

焼き上がったラザニアの具材は、どれもとろける舌ざわりで一体になります。

とろみのベースになる、パルメザンチーズやバター、オリーブオイルがいくつも重なり、香ばしさや甘みが広がります。

和牛と黒キャベツのラザニア

和牛の繊維は柔らかくほぐれ、牛肉らしい風味と奥深い旨みを感じます。

黒キャベツのコクが絶妙に絡み、冬らしい成熟感のある味わいです。

和牛と黒キャベツのラザニア

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎メイン

8.熊野地鶏の悪魔風

熊野地鶏の悪魔風

メニューについて

12月の風物、鶏肉料理を、イタリアらしく「悪魔風」で仕上げました。

「悪魔風」はトスカーナ州が発祥とされ、鶏肉を開き、皮目を広げ、パリパリに焼く調理法です。

鶏肉を開いた状態が、悪魔がマントを広げた姿の絵に似ていることや、スパイシーな味つけが「悪魔風」の名の由来とされています。

今回は、熊野地鶏の半身を骨付きで開き、オリーブオイルのマリネ液に1日漬け込んだ後、炭火でこんがり焼き上げました。食べごたえ、味わいともにボリューム満点の一皿です。

熊野地鶏と三重県熊野市の丸山千枚田(公式写真より)

◆熊野地鶏とは

豊な自然を背景に、三重県が生み出した高級ブランド地鶏が「熊野地鶏」です。

のびのびとした環境で、健やかに育てられた地鶏の肉質は、

赤みが強く、弾力性に富み、旨み成分を多く含み、鶏肉本来のコクと風味があります。

調理

撮影調理:料理人・老田裕樹

◆熊野地鶏の下ごしらえ

熊野地鶏のパッケージ。頭と足、内臓と取り除いた一羽を丸ごと仕入れ、自店でさばく

鳥ガラを取り除き、半身を切り分け、骨付きで開く

開いた骨付きの半身に塩コショウで下味をつける

◆マリネ液に漬け込む

開いた熊野地鶏の半身2枚をバットに入れる。もとは1羽から切り分けた半身を寄せた状態。「悪魔風」の由来のひとつ、鶏肉を1羽開いた形が、悪魔がマントを広げた姿の絵に似ていることを実感する

バットにマリネ液の材料を入れる。マリネ液はオリーブオイルにレモン、ニンニク、赤唐辛子、ローズマリー、セージ、タイムを加えてつくる

バットをラップで覆い、熊野地鶏を冷蔵庫で1日かけてマリネ液に漬け込み、肉を柔らかくしながら味と風味をつける

◆炭火で焼く

熊野地鶏の骨付き半身をマリネ液から取り出す

熊野地鶏の骨付き半身を炭火グリルの網にのせ、マリネに使った香草をのせて焼く

各部に火が均一に入るように、向きを変える

熊野地鶏をひっくり返し、反対側も焼く。骨付きで焼くことで、骨に含まれる髄液が染み出し、肉に旨みやコクをつける。加熱による肉の縮みが少なく、ふっくらジューシーに焼き上がる

肉汁が滴り落ち、炭火で燃える煙が燻製効果になり、肉に香ばしい香りをつける

香草を取り除き、表面をパリッと焼いて仕上げる

お召し上がり

熊野地鶏の悪魔風

◆鶏肉の多彩な美味しさを豪快に

オリーブオイルをたっぷりしみさせて焼いた皮は、揚げ物のような香ばしさです。

皮は厚く、部位によってサクサク、パリパリ、カリカリなどの表面変化が楽しめます。

熊野地鶏の悪魔風

中身の肉は、地鶏特有のしっかりした歯ごたえと旨みを、ボリューム満点の迫力で味わいます。

皮や手羽、ムネ、モモなど、鶏肉のさまざまな美味しさを一度に味わう、「悪魔風」の醍醐味を堪能します。

熊野地鶏の悪魔風

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎ドルチェ

9.イチゴのタルト

イチゴのタルト

メニューについて

タルトで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。

12月はイチゴを合わせておすすめします。

撮影調理:料理人・高部孝太

お召し上がり

イチゴのタルト

◆甘酸っぱさのコントラスト

クリスマスケーキなど、冬の実需期にむけて栽培されたイチゴ。

12月は出はじめで、甘酢っぱさが若々しい。

タルトの甘いクリームとのコントラストが絶妙です。

イチゴのタルト

イチゴのタルト

ラ・ビスボッチャ店内

10.ヘーゼルナッツのロールケーキ

ヘーゼルナッツのロールケーキ

メニューについて

木の形をしたフランスの伝統的なクリスマスケーキを、イタリア風に、ヘーゼルナッツをたっぷり使って仕上げました。

調理

撮影調理:料理人・村澤大

ロールケーキの生地を焼く。生地はココアパウダー、薄力粉、卵、牛乳、バター、砂糖を混ぜてつくる

ココアパウダーはオランダで1828年に世界で初めてココアパウダーの製造法を発明した「バン・ホーテン」社製を使用

クリームを塗り広げる。クリームはヘーゼルナッツペースト、カスタードクリーム、生クリームを混ぜてつくる

生地とクリームを丸め、ラップで覆い、冷やす

ロールケーキの表面にクリームを塗る

クリームの表面にフォークで樹皮を模した線を入れる

ココアパウダーを振りかける

切り分けたロールケーキに、ヘーゼルナッツの実とイチゴ、ミントの葉を添えて仕上げる。ヘーゼルナッツはイタリアのナッツ類の特産地、シチリア島産。渋皮をむいて使用

お召し上がり

ヘーゼルナッツのロールケーキ

◆ナッツ風味の多重奏

ダークブラウンのスポンジ生地はココアの香りが香ばしく、ヘーゼルナッツのクリームがしっとりと絡みます。

ナッツ風味の重層は、チョコレートまで濃くなく、初冬に心地よい、ミディアムなこってり感です。

一緒に添えたヘーゼルナッツの実やイチゴ、ミントの葉が、ロールケーキの美味しさを引き立てます。

ヘーゼルナッツのロールケーキ

ヘーゼルナッツのロールケーキ

12月のディナーは、

ラ・ビスボッチャの「季節のおすすめメニュー」で、

素敵な夜をお過ごしください。