RECOMMENDED SEASONAL MENU FEBRUARY 2022
コラム『味と技』第106回
旬のもので、あたたまる
2月は、魚介や柑橘など、冬の味覚が最盛期を迎え、栄養価も高く、身体のなかからあたたまる料理としておすすめします。
バレンタイン・スペシャル・メニューも期間限定で登場。寒い季節を、甘い気分で楽しく過ごします。
監修/料理長・井上裕基
写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue
Photo・Text by George Oda
バレンタイン・スペシャル・メニュー
バレンタインデーと、その気分を楽しむために、2月1日(火)から2月14日(月)まで、期間限定メニューを2品おすすめします。
⚫︎ドルチェ
1.ボネとバラ
ボネとバラ
メニューについて
イタリア北部ピエモンテ州の郷土菓子、ボネ。
キャラメル・シロップがかかったチョコレートプリンの濃厚な味は、北国生まれらしく、冬に美味しく感じます。
バレンタイン・スペシャル・メニューでは、食用バラで彩りと甘い香りを加えておすすめします。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理人・水谷結
◆トッピングのキャラメル・シロップを仕込む
鍋底で砂糖を加熱してキャラメル化させる
鍋のキャラメルにラム酒を投入
ラム酒のアルコール分をキャラメルの熱でとばし、味と香りをつけ、キャラメル・シロップの出来上がり
ラム酒は、フランスのリモージュで1857年に創業したバーディネー社の「ネグリタ」ブランドを使用。西インド諸島でサトウキビを原料に蒸留した原酒を、フランスのボルドーでブレンド、熟成させたもの
キャラメル・シロップを製菓用円形トレイの底に敷く。仕上げでひっくり返すとトッピングになる
◆ボネの生地を仕込む
ボネの生地の材料をボウルで混ぜ合わせる
ボネの生地の材料。左から、グラニュー糖、牛乳、マジパン、卵、アマレット酒、アマレッティ、ココアパウダー
ココアパウダーはオランダで1828年に世界で初めてココアパウダーの製造法を発明した「バン・ホーテン」社製を使用
アマレット酒は、イタリア北部ロンバルディア州で、ミラノから20kmほど北にあるサローノの町で1525年に創業した「ディサローノ」社製を使用。アンズの種からつくるリキュールで、杏仁やアーモンドの香り、エレガントな甘みが特徴。カクテルや製菓によく使われる
アマレッティは発祥の地、イタリア北部ロンバルディア州サロンノ市で1851年に創業して伝統の味を継承するパオロ・ラッツァローニ社製を使用
ボネの生地をキャラメル・シロップを敷いたトレイに入れる
◆仕上げる
ボネの生地をオーブンで焼く
焼き上げたボネの生地を冷やし、皿に盛り付ける。底に敷いたキャラメル・シロップがトッピングになる。一人前切り分け、食用バラと盛り付けて完成
食用バラは愛知県産を使用
お召し上がり
ボネとバラ
◆芳醇な香りでひきたつ苦み
ボネは、しっとりして、舌ざわりはしっかりしています。
味わいは、ほろ苦く、食材に含まれるカカオやアーモンド、アンニンなどの香りがよく合います。
さらに、ラム酒とアマレット酒の香りがダブルで重なり、余韻を深めます。
食用バラの甘い香りと、青々しい味が、爽やかなアクセントです。
ボネとバラ
ボネとバラ
⚫︎リゾット
2.カカオのリゾット
カカオのリゾット
メニューについて
チョコレートの原料、カカオ。
その味と香りの魅力に注目して、リゾットをつくり、バレンタイン・スペシャル・メニューに加えます。
チョコレートを入れて煮込んだ和牛のラグーをトッピングに合わせました。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理人・水谷結
◆トッピングの和牛のラグーをつくる
和牛は鹿児島県産「薩摩牛」の赤身が多いヒモ肉を使用
鍋底にオリーブオイルを広げ、細かくカットした和牛と香味野菜(ニンジン、タマネギ、セロリ)を炒める
鍋に赤ワインと自家製鶏のダシ汁を入れ、煮汁にする
自家製トマトソースを加える
煮込んだ和牛をバットに取り出す
シノアで煮汁の野菜を潰しながら濾過する
和牛と濾過した煮汁を鍋に戻し、再び煮込む
チョコレートを入れ、味と香り、とろみをつけて和牛のラグーの出来上がり
チョコレートは1842年にフランスで創業したカカオバリー社の「ファボリット・ミ・アメール58」ブランドのピストール・タイプ(錠剤型)を使用。カカオ分が58%ありながら、ほどよい甘さとすっきりした苦味で、クセのない上品な仕上がり
◆カカオのリゾットをつくる
鍋に米を入れ、自家製鶏のダシ汁で炊く
米は、煮崩れしにくいイタリア産のリゾット用品種を使用。イタリア北部ピエモンテ州の米処ヴェルチェッリ県で1935年からリゾット用の米をつくり続けるロンドリーノ社のブランド米「アクエレッロ」
カカオパウダーを入れ、味と香りをつける
カカオパウダーは、フランスで1842年に創業したカカオバリー社の「プランアローム」ブランドを使用。無糖で脂肪分を22〜24%含む
無塩バターを入れ、味と香り、とろみをつける
パルメザンチーズを入れ、味と香り、とろみをつけて出来上がり。和牛のラグーや金箔とともに盛り付けて完成
お召し上がり
カカオのリゾット
◆ビターなリゾットの新鮮な味わい
リゾットにフォークを差し込むと、重めの手ごたえがあり、カカオの力強さを感じます。
味わいは、カカオの苦みが、リゾットに入れたバターやチーズのミルキーな風味、米の甘みとなじみます。
カカオが、チョコレートと別ルートで発展する美味しさに、新鮮な食体験を感じます。
トッピングの和牛は、赤身の旨みとコクが濃厚で、リゾットがすすみます。
カカオのリゾット
カカオのリゾット
ラ・ビスボッチャ店内
マンスリー・メニュー
2月1日(火)からマンスリー・メニューとしておすすめする11品です。
季節の食材を使うため、月の途中でも、食材がなくなり次第終了になるメニューもありますので、あらかじめご了承ください。
⚫︎前菜
1.ブラータチーズと2色イチゴのサラダ
ブラータチーズと2色イチゴのサラダ
◆メニューについて
ブラータチーズのサラダで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。
2月の1品目は、イチゴを2色合わせておすすめします。
メニュー提案・撮影調理 料理人・高部孝太
ブラータチーズは、イタリア南部プーリア州のチーズ職人が、アメリカ・カリフォルニア州でつくる「ディ・ステファノ」社製を使用。放牧牛のミルクを使い、濃厚な風味と舌ざわりがある
赤いイチゴは福岡県産「あまおう」、白いイチゴは茨城県産「あわゆき」を使用
お召し上がり
ブラータチーズと2色イチゴのサラダ
◆華やかな彩り、熟した甘み
ブラータチーズのミルキーな風味は、イチゴと好相性です。
2月のイチゴは、熟した柔らかさと、濃い甘みがあります。
2色のイチゴ味のちがいは、ほとんどわかりませんが、華やかな見た目に、春の訪れが近いことを感じて楽しみます。
ブラータチーズと2色イチゴのサラダ
ブラータチーズと2色イチゴのサラダ
2.ブラータチーズとせとかのサラダ
ブラータチーズとせとかのサラダ
メニューについて
ブラータチーズのサラダで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。
2月の2品目は、愛媛県産の柑橘、せとかを合わせておすすめします。
せとかは、2001年に品種登録された柑橘類。種なしで、果肉はトロリとして甘い果汁が濃厚
お召し上がり
ブラータチーズとせとかのサラダ
◆オレンジの甘みがギュッと凝縮
せとかの果肉は、とろみがある柔らかさで、果汁は濃厚です。
ブラータチーズの旨みや甘みが、せとかの凝縮した美味しさを引き立てます。
ブラータチーズとせとかのサラダ
ブラータチーズとせとかのサラダ
ラ・ビスボッチャ店内
3.ホワイトアスパラガスのビスマルク風
ホワイトアスパラガスのビスマルク風
メニューについて
中世の頃から、ヨーロッパの春の風物詩とされてきたホワイトアスパラガスを空輸し、シンプルに茹で、美味しさを引き出し、相性のいいバターや卵と合わせていただきます。
イタリア料理で目玉焼きをのせるとビスマルク風と表現するのは、19世紀のドイツの首相、ビスマルクがドイツを統一するために唱えた、富国強兵を推進するパワフルな「鉄血政策」に由来します。
調理
メニュー提案・撮影調理 村澤大
◆ホワイトアスパラガスの下ごしらえ
ホワイトアスパラガスはフレッシュタイプを使用。豊かな川と森が広がるフランス中部の特産地、ロワール地方産。中世の王族が好んで住み、世界遺産の古城が多く残る観光地としても有名。写真は5kgの2ケース。最盛期は毎週コンスタントに30〜40kg仕入れる
ホワイトアスパラガスの皮をむく。茎が湾曲しているため、皿などで台座をつくり、回しながら皮をむく
皮をむいたホワイトアスパラガスの集積
ホワイトアスパラガスの皮からダシをとり、ダシ汁をつくる。
ダシをとった皮はダシ汁から取り除く
ダシ汁にホワイトアスパラガスを投入
ホワイトアスパラガスをダシ汁で茹で、岩塩を入れながら下味をつける。食べる直前に再度茹でて仕上げるため、この段階では完全に茹でない。ダシ汁にホワイトアスパラガスの味がついているので、茹でる本体の味の流失を防ぐことができる
下茹でしたホワイトアスパラガスを、保存するために冷ます
冷ましたホワイトアスパラガスもダシ汁に浸し、さらに味をなじませる
◆目玉焼きをつくる
フライパンにオリーブオイルを広げ卵を焼く
卵は神奈川県産の「長寿卵」。卵黄がオレンジ色で味に深みとコクがあり、イタリアの卵の質に似ていることから使用
自家製鶏のダシ汁を入れ、フタをして蒸し焼きにして、味と風味をつける
自家製鶏のダシ汁は、鶏がらやひね鶏の肉、トマト、タマネギ、ニンジン、セロリ、ローリエなどを約6時間煮込んでつくる
◆仕上げる
お客さまから注文をいただくと、下茹でしたホワイトアスパラガスをダシ汁で再度茹でる
温めた澄ましバターを敷き、茹で上げたホワイトアスパラガスを盛り付ける
澄ましバターは香りが高く、味があっさりしてホワイトアスパラガスとよく合う。澄ましバターはボウルの底を加熱してバターを溶かし、タンパク質を分離し、上澄みの乳脂肪だけを取り出してつくる
目玉焼きをトッピングし、パルメザンチーズを振りかけて仕上げる
お召し上がり
ホワイトアスパラガスのビスマルク風
◆柔らかい穂先と茎に感じる春
茹で上がったホワイトアスパラガスは、半透明の繊維が集積した乳白色が美しく、青々しい香りがまろやかに漂います。
小さな穂先はとろける柔らかさで甘みがあり、太い茎はしなやかで、サクッとした歯ごたえが心地よく、ほのかな旨みがあり、春を感じるやさしい味わいを堪能します。
ホワイトアスパラガスのビスマルク風
ホワイトアスパラガスのビスマルク風
ラ・ビスボッチャ店内
4.ホタテのカルパッチョ 柑橘風味
ホタテのカルパッチョ 柑橘風味
メニューについて
旬のホタテを柑橘でマリネして、カルパッチョで爽やかに味わいます。
ピンクパッパーやオカヒジキをのせ、フレッシュ感をプラスして仕上げました。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理人・横田達也
◆ホタテを柑橘でマリネする
ホタテの貝柱を半分の厚さにカットする。今回のホタテは岩手県産を使用
ホタテに香りをつけるために、オレンジとライムの皮を擦りおろして集める
オレンジはオーストラリア産、ライムはメキシコ産を使用
バットにホタテを並べ、オリーブオイルを振りかけ、オレンジとライムの皮をのせ、ラップで覆い、味と香りをつける
◆仕上げる
マリネしたホタテを、茹でたオカヒジキやピンクペッパーと盛り付け、自家製レモンドレッシングを振りかけて完成
オカヒジキは千葉県産を使用
お召し上がり
ホタテのカルパッチョ 柑橘風味
◆ホタテの旨みを爽やかに
ホタテはオリーブオイルとなじみがよく、ツルッ、トロッとしたくちあたりです。
柑橘の風味が強く、ホタテの旨みを新鮮な感覚で味わいます。
トッピングのピンクペッパーの粒感とスパイシーな味わい、オカヒジキのシャキシャキした歯ごたえと青々しさが、絶妙のアクセントです。
ホタテのカルパッチョ 柑橘風味
ホタテのカルパッチョ 柑橘風味
ラ・ビスボッチャ店内
5.寒ブリのフリット カラスミパウダーかけ
寒ブリのフリット カラスミパウダーかけ
メニューについて
寒ブリの美味しさを、揚げもので引き出します。
素材の持ち味を生かすためにソフトに揚げ、多彩な味を繊細に味わいます。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理人・横田達也
ブリは島根県産を使用
◆フリットの衣をつくる
溶き卵にビールを入れる
小麦粉を加え、軽めでふっくらした衣に仕上げる
ビールは、1859年にイタリア北部フリウリ・ベネツィア・ジューリア州で創業したモレッティ社製。イタリアのビールメーカーとしては最古参で、1942年から髭の紳士をラベルにレイアウトしている。シリーズのなかのピルスナータイプ330ml瓶詰めを使用
◆揚げる
ブリを小分けにして、塩で下味をつける
ブリに衣がつきやすくするため、小麦粉にまぶす
ブリに衣をつける
ブリを揚げる
揚げたブリの余分な油を落とし、半分にカットして皿に盛り付け、カラスミパウダーを振りかけて完成
お召し上がり
寒ブリのフリット カラスミパウダーかけ
◆香ばしく揚げた寒ブリ
肉のレアのように、サッと揚げて火を通した寒ブリは、衣の近くの香ばしい旨みや、中心の濃い旨みなど、多彩な味を繊細に味わいます。
カラスミパウダーの塩味とコクが味を引き締めます。
寒ブリのフリット カラスミパウダーかけ
寒ブリのフリット カラスミパウダーかけ
ラ・ビスボッチャ店内
6.真牡蠣のムニエル ブロッコロ・フィオラーロ添え
真牡蠣のムニエル ブロッコロ・フィオラーロ添え
メニューについて
旬の真牡蠣の旨みを、ムニエルで香ばしさを増しながら、とろける柔らかさで味わいます。
イタリアの冬野菜、ブロッコロ・フィオラーロの青々しさがホッとするアクセントです。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理人・老田裕樹
◆ブロッコロ・フィオラーロを茹でる
ブロッコロ・フィオラーロは、ブロッコリーの一種でイタリア原産の冬野菜。古代ローマ時代から食されていたが、現在はイタリア北部ヴェネト州のみで栽培され、イタリアでも希少な野菜。旬は11月から2月で、特に霜が降りてから収穫されたものは味や風味が濃いとされる
ブロッコロ・フィオラーロを小分けにカットする
カットしたブロッコロ・フィオラーロを、塩で下味をつけた汁で茹でる
茹で上げたブロッコロ・フィオラーロをザルにあけ、余分な水分を落とす
◆真牡蠣のムニエルをつくる
真牡蠣は、北海道の牡蠣の特産地、厚岸(あっけし)産を使用
牡蠣の殻を開け、中身を取り出す
牡蠣に小麦粉をまぶす
フライパンにオリーブオイルを広げ、牡蠣を焼く
無塩バターを加える
火を通した牡蠣をブロッコロ・フィオラーロと盛り付ける
◆焦がしバターソースをつくる
鍋に無塩バターとニンニクのみじん切りを入れ、加熱する
焦がしバターソースを振りかけて完成
お召し上がり
真牡蠣のムニエル ブロッコロ・フィオラーロ添え
◆きわだつ牡蠣の香ばしさと旨み
バターでムニエルした真牡蠣は、魚介の香ばしさが強く、食欲をそそります。
真牡蠣の身は、まろやかで深い旨みがあります。
ニンニクのサクサクした食感や、ブロッコロ・フィオラーロのほのかな甘みや旨みがアクセントです。
真牡蠣のムニエル ブロッコロ・フィオラーロ添え
真牡蠣のムニエル ブロッコロ・フィオラーロ添え
ラ・ビスボッチャ店内
⚫︎パスタ
7.ハマグリと菜の花のフェットチーネ カラスミパウダーかけ
ハマグリと菜の花のフェットチーネ カラスミパウダーかけ
メニューについて
ハマグリと菜の花。春のやさしい旨みをダブルで合わせ、ぱぱっとパスタにからめます。
カラスミパウダーの塩味とコクが、やさしい旨みを引き立てます。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理人・村澤大
ハマグリは千葉県産を使用
菜の花は千葉県産を使用
◆ソースをつくる
フランパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切り、赤唐辛子を入れ、加熱し、オイルに味と香りをつける
自家製野菜のダシ汁を加える
ハマグリを投入
フライパンにフタをしてハマグリを蒸す
ハマグリが開いたら、下茹でした菜の花とイタリアンパセリのみじん切りを加えてソースの出来上がり
◆仕上げる
自家製生パスタでつくるフェットチーネを茹で麺機に入れる
茹で時間4分
ソースのフライパンからハマグリを取り除き、加熱
茹で上げたフェットチーネをソースのフライパンに投入
フェットチーネをソースと和え、イタリアンパセリのみじん切りとエキストラヴァージン・オリーブオイルを加え、味と香りをつける
味と香りをつける食材を混ぜ合わせ、ハマグリとともに皿に盛り付け、カラスミパウダーを振りかけて完成
お召し上がり
ハマグリと菜の花のフェットチーネ カラスミパウダーかけ
◆春味のあっさりパスタ
ハマグリと菜の花は、旨みが若々しく、あっさりした美味しさです。
カラスミパウダーが、塩味とコクをほどよく加えます。
ハマグリ、菜の花、カラスミの味が三位一体でまとまったソースが、フェットチーネにしっかりしみて、美味しさを増しています。
ハマグリと菜の花のフェットチーネ カラスミパウダーかけ
ハマグリと菜の花のフェットチーネ カラスミパウダーかけ
ラ・ビスボッチャ店内
⚫︎メイン
8.ズッパ・ディ・ペッシェ
ズッパ・ディ・ペッシェ
メニューについて
イタリア語で「魚のスープ」の意味。豊かな漁場に恵まれたイタリア半島で定番の煮込み料理です。
冬に美味しくなる魚介を集め、トマトベースのスープで煮込みました。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理人・水谷結
今回の撮影で使用した魚介類。カサゴ(長崎県)、ヤリイカ(国産)、手長エビ(スコットランド)、ムール貝(三重県)、ホタテ貝(岩手県)、ハマグリ(千葉県)、アサリ(熊本県)
◆魚介を焼く
魚介の下ごしらえをする
大きなフライパンを加熱し、オリーブオイルを広げる
カサゴを投入
カサゴは表面に小麦粉をつけて焼く。香ばしさをつけながら旨みを封じ込める。側面の切り込みは皮が縮んでも身が歪まず、まっすぐの姿勢を保つ効果がある
フライパンを傾け、集めたオイルをカサゴの上に回しがけしながら加熱する
ヤリイカを入れて焼く
焼いたヤリイカは、火が入りすぎないように取り除く。入れ替わりでエビを焼く
焼いたエビを取り除き、余分な油をキッチンペーパーで拭き取る
◆魚介を煮込む
貝類を投入
白ワインを入れ、アルコール分をとばしながら味と香りをつける
自家製のトマトソースやダシ汁を入れ、スープのベースにする
フタをして貝を蒸す
開いた貝を取り除く
フライパンを傾け、集めたスープをカサゴの上に回しがけしながら加熱を続ける
◆ガーリックトーストをつくる
自家製パン、チャバッタをカットする
チャバッタをオーブンで加熱する
チャバッタにニンニクをこすりつけ、香りをつける
フライパンに魚介を戻し、エキストラヴァージン・オリーブオイルを入れ、味と香りをつける
魚介をスープになじませ、味を整える
器に魚介とスープ、ガーリックトーストを盛り付け、イタリアンパセリのみじん切りを振りかけて完成
お召し上がり
ズッパ・ディ・ペッシェ
◆濃厚スープで魚介が美味しい
スープは、さまざまな魚介から出た旨みが重なり、濃厚な味わいです。
濃いスープが、個々の魚介の美味しさをきわだてます。
ガーリックトーストの陸の味が、ホッとするアクセントです。
ズッパ・ディ・ペッシェ
ズッパ・ディ・ペッシェ
ラ・ビスボッチャ店内
9.熊野地鶏の炭火串焼き 黒オリーブ風味
熊野地鶏の炭火串焼き 黒オリーブ風味
メニューについて
炭火で焼き上げた地鶏の、じんわりした熱さは、冬に美味しく感じます。
スティッギオーラというイタリアの串焼きをイメージして、イタリアンパセリをはさんで焼きます。
黒オリーブペーストのタレを塗り、イタリアらしい濃い味つけで、おすすめします。
熊野地鶏と三重県熊野市の丸山千枚田(公式写真より)
◆熊野地鶏とは
豊な自然を背景に、三重県が生み出した高級ブランド地鶏が「熊野地鶏」です。
のびのびとした環境で、健やかに育てられた地鶏の肉質は、
赤みが強く、弾力性に富み、旨み成分を多く含み、鶏肉本来のコクと風味があります。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理長・井上裕基
熊野地鶏のパッケージ。頭と足、内臓と取り除いた一羽を丸ごと仕入れ、自店でさばく
◆黒オリーブのタレをつくる
黒オリーブペーストにオリーブオイルを混ぜ、地鶏の肉になじみやすくする
オリーブペーストは、1980年代にイタリア北部リグーリア州で創業したフラントイオ・ビアンコ社製を使用。黒オリーブを粉砕し、香草のオレガノ、タイム、ローリエなどと漬け込んでつくる
◆炭火で焼く
細かく切った地鶏とイタリアンパセリを串に刺し、炭火焼きグリルで焼く。焼き網の端に置き、じっくり火を通す
地鶏串をひっくり返し、反対側からも焼く
黒オリーブのタレを塗り、味をなじませて完成。タレのオリーブオイルが滴り落ち、炭火で燃え、煙が燻製効果になって肉に香りをつける
お召し上がり
熊野地鶏の炭火串焼き 黒オリーブ風味
◆地鶏の滋味を、濃コクペーストで味わう
熊野地鶏を噛みしめると、しっかりした歯ごたえがあり、しみじみ感じる滋味に、身体のなかからあたたまります。
オリーブは、そもそも万能で、どのような食材にもよく合います。黒オリーブの濃いめ味つけが、地鶏の強い旨みを引き立てます
イタリアンパセリのほろ苦さがアクセントです。
熊野地鶏の炭火串焼き 黒オリーブ風味
熊野地鶏の炭火串焼き 黒オリーブ風味
ラ・ビスボッチャ店内
10.鴨ムネ肉のキャラメリゼ オレンジソース
鴨ムネ肉のキャラメリゼ オレンジソース
メニューについて
赤身肉の濃い旨みには、ほろ苦いソースがよく合います。
柑橘が美味しくなる2月は、オレンジソースをつくり、鴨のムネ肉と合わせ、砂糖をつけて香ばしく焼きます。
調理
メニュー提案・撮影調理 料理人・横田達也
◆オレンジソースをつくる
鍋にオレンジジュースと自家製鶏のダシ汁を入れ、加熱する
オレンジジュースは、1962年にイタリア南部シチリア島で創業したオランフリーゼル社製。シチリアでも栽培量が少ないマンダリンオレンジの果汁を100%使用したタイプ
ハッサクの皮、自家製仔牛のブイヨン、無塩バターを入れ、味と香り、とろみをつける
ハッサクは、江戸時代末期に広島県で発祥。語源の八朔は旧暦の8月1日のことで、その頃が旬だったことに由来。今回は和歌山県産を使用
ハッサクの果肉も入れる
ソースを煮詰める
網で皮や果肉を取り除いてオレンジソースの出来上がり
◆鴨のムネ肉を焼く
鴨のムネ肉はフランス産を使用
鴨のムネ肉の皮に格子状の切り込みを入れる
塩を振りかけて下味をつける
フライパンにオリーブオイルを広げ、鴨のムネ肉を皮の面から焼く
反対側の表面も焼き、香ばしさをつけながら、旨みを封じ込める
アルミホイルで包んでオーブンで加熱する
皮の表面にグラニュー糖をつける
皮の面を焼き、グラニュー糖をキャラメル化させる
焼き上げた鴨のムネ肉をカットし、オレンジのソースと盛り付けて完成
お召し上がり
鴨ムネ肉のキャラメリゼ オレンジソース
◆濃縮オレンジで引き立つ鴨
鴨ムネ肉の濃い旨みは、ほろ苦いオレンジソースとよく合います。
キャラメリゼした鴨の香ばしい甘みと、ソースに散りばめたハッサクの果肉のフレッシュな甘酸っぱさが、美味しさを深めます。
鴨ムネ肉のキャラメリゼ オレンジソース
鴨ムネ肉のキャラメリゼ オレンジソース
ラ・ビスボッチャ店内
⚫︎ドルチェ
11.ミックス柑橘のタルト
ミックス柑橘のタルト
メニューについて
タルトで味わう、旬の食材の歳時記シリーズです。
2月は、柑橘をミックスしておすすめします。
撮影用にミックスした柑橘は、オレンジ、ハッサク、キンカンの3種ですが、旬の移り変わりとともに、組み合わせの種類も変わります。
お召し上がり
ミックス柑橘のタルト
◆甘酸っぱさをたっぷり味わう
柑橘が集まり、甘酸っぱさとフルーティな風味が凝縮。目がさめるような、強烈な味わいは、空気が乾燥する冬に、特に美味しく感じます。
タルトのクリームのミルキーな甘みと、パイ生地の香ばしさが絶妙のアクセントです。
ミックス柑橘のタルト
ミックス柑橘のタルト
2月のディナーは、
「ラ・ビスボッチャ」の「季節のおすすめメニュー」で、
あたたまって、お楽しみください。