季節のおすすめメニュー3月 2023

RECOMMENDED SEASONAL MENU MARCH 2023

コラム『味と技』第123回

春のよろこび

3月は、寒さがやわらぎ、桜が咲きはじめ、卒入学の祝賀会や、職場の歓送迎会などが、より楽しくなります。

そんな季節に美味しい料理を、13品おすすめします。

監修/料理長・井上裕基

写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue    
Photo・Text  by George Oda

前菜

1.ブラータチーズとあまおうのサラダ

ブラータチーズとあまおうのサラダ

メニューについて

ブラータチーズと味わう季節の食材シリーズです。

3月は、大粒の福岡県産ブランドイチゴ「あまおう」を合わせました。

メニュー提案 撮影調理 料理長・井上裕基

「あまおう」は福岡県産を使用。1999年に福岡県で生まれたブランドいちご

ブラータチーズは、イタリア南部プーリア州出身のチーズ職人が、アメリカ・カリフォルニア州でつくる「ディ・ステファノ」社製を使用。放牧牛のミルクを使い、とろりとした食感で、ミルキーな風味と甘み、旨みが濃厚

お召し上がり

ブラータチーズとあまおうのサラダ

あまおうは、大粒でツヤがあり、果肉の外側はしっかりして、なかはしっとりジューシー。甘みが豊かで、酸味は少なめです。

ブラータチーズのミルキーな風味はイチゴと相性がよく、あまおうの美味しさを引き立てます。

ブラータチーズとあまおうのサラダ

ブラータチーズとあまおうのサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

2.寒ブリのカルパッチョ

寒ブリのカルパッチョ

メニューについて

イタリア料理前菜の定番、カルパッチョ。

3月は南下を続ける寒ブリを、鹿児島県でとらえ、おすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・横田達也

寒ブリを薄くカットする。今回の寒ブリは鹿児島県産を使用

カットした寒ブリをバットに並べ、レモンの皮を削って振りかける

塩とエキストラヴァージン・オリーブオイルを加えてマリネし、フレンチキャビアやマイクロハーブと盛り付けて仕上げる

お召し上がり

寒ブリのカルパッチョ

寒ブリは脂がのって柔らかい。

オリーブオイルとなじみがよく、とろける口あたりが増しています。

寒ブリのカルパッチョ

寒ブリのカルパッチョ

ラ・ビスボッチャ店内

3.ハマグリと菜の花のミモザサラダ

ハマグリと菜の花のミモザサラダ

メニューについて

ミモザの黄色い小花の開花は、西洋では、春の訪れの象徴とされています。

イタリアでは、3月8日の「国際女性デー」を、この時期に咲くミモザの花にちなんで「ミモザの日」とよび、男性が女性に、日頃の感謝の気持ちを込め、花を贈る習慣があります。

そんな季節のサラダは、春の食材に、ミモザに見立てた卵やカラスミをトッピングしておすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理長・井上裕基

ハマグリは千葉県産を使用

ハマグリを白ワインで蒸し焼きにし、エキストラヴァージン・オリーブオイルで味と香りをつける

菜の花は千葉県産を使用

茎のかたい部分から茹でる

茹で上げた菜の花を室温で冷やす

皿にルッコラを広げ、菜の花とハマグリを盛り付ける

茹で卵をポテトマッシャーでつぶし、カラスミや自家製レモンドレッシングと振りかけて仕上げる

カラスミのパウダーはボラの卵巣を塩漬けにしたもの。イタリアの特産地サルデーニャ島産を使用

お召し上がり

ハマグリと菜の花のミモザサラダ

ハマグリは柔らかく、磯の風味や旨みは繊細です。

菜の花のほろ苦さは好対象で、味わいに春を感じます。

ハマグリと菜の花のミモザサラダ

ハマグリと菜の花のミモザサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

4.四万十ポークのポルケッタ サラダ仕立て

四万十ポークのポルケッタ サラダ仕立て

メニューについて

高知県のブランド豚「四万十ポーク」で、イタリアの伝統的な豚肉料理、ポルケッタをつくりました。

そのままお召し上がりになるのはもちろん、ルッコラなどと合わせたサラダ仕立てもおすすめします。

メニュー提案 撮影調理 料理人・横田達也

ポルケッタとは

2010年代にイタリア中部フィレンツェで撮影した食肉加工品店。ガラスケースの上に、惣菜として切り売りしているポルケッタの断面が見える

◆豚の丸焼きがルーツ

イタリアでは、古くから豚肉料理が発達し、古代ローマ時代はカーニバルなどの祝祭で、ポルケッタと呼ばれる豚の丸焼きを、メインのご馳走に振る舞う習慣がありました。

豚の丸焼きのレシピは、豚の腹を割き、肉を開き、内臓と骨を取り除き、味と香りをつける調味料を入れ、丸め直し、紐で丸みを固定し、炭火の上で回しながらじっくり焼き上げました。

その肉は、薄く輪切りにされ、祝祭に集まる人々に振る舞われました。

あえて頭をつけたまま焼き、見た目の迫力が、祝祭を盛り上げました。

ビスボッチャが2018年に調理した「子豚のポルケッタ」。伝統を忠実に再現し、頭をつけたままの子豚を丸ごと焼いた例

こうした豚の丸焼きは、伝統料理として残りながら、近年は、頭をつけず、塊肉のみ丸めて焼く簡易なタイプもポルケッタと呼ばれるようになりました。

豚肉を丸めるときに香草の香りをしっかり肉に染み込ませることが、世界各国の豚肉料理のなかでも、イタリアのポルケッタらしい特徴です。

豚肉の使い方や丸め方、香草の合わせ方は、地域や家庭によって千差万別となり、一流店から屋台まで広がりました。

ハムのように薄く輪切りにして、そのままワインと合わせたり、サラダにのせたり、パンにはさんで食べたりします。

生ハムや生ソーセージとともに、イタリアの豚肉料理を代表するソウルフードが、ポルケッタです。

調理

四万十ポークの肩ロースをバラ肉で丸め込み、紐で固定して炭火で焼く

焼く面を変えながら、時間をかけてじっくり火を通す

焼き上げたポルケッタは小分けにカットし、ミートスライサーで薄くスライスして提供する。断面から中の肩ロースと外のバラ肉の層がわかる。間の緑色の線が香草などの味つけラインで、ローズマリー、フェンネルシード、ニンニク、黒コショウ、塩などが入っている

サラダ仕立てはスライスしたポルケッタをルッコラや パルミジャーノ・レッジャーノ、エキストラヴァージン・オリーブオイル、黒コショウなどと盛り付ける

お召し上がり

四万十ポークのポルケッタ サラダ仕立て

ポルケッタの外側は香ばしく、なかはしっとりして、香草の風味が旨みをきわだてます。

四万十ポークの脂身が甘みを増し、ルッコラの辛みがほどよいアクセントになります。

四万十ポークのポルケッタ サラダ仕立て

四万十ポークのポルケッタ サラダ仕立て

◆四万十ポークのポルケッタ(単品)

四万十ポークのポルケッタ(単品)の盛り付け例。薄くスライスしたポルケッタをエキストラヴァージン・オリーブオイル、イタリアンパセリのみじん切り、黒コショウなどと盛り付ける

ラ・ビスボッチャ店内

5.ホワイトアスパラガスのフリット カブール風

ホワイトアスパラガスのフリット カブール風

メニューについて

衣が薄いイタリア式の揚げ物、フリットで味わう季節の食材シリーズです。

3月は、ホワイトアスパラガスを揚げ、相性の良い卵をメインにしたタルタルソースを、味わい豊かにブレンドして合わせました。

カブール風とは、アフガニスタンの首都カブールそのものというより、イタリアから見た東方という広域の視点で使われ、異国風、エスニック風などと同じ意味です。

今回は刻んだ食材を組み合わせるタルタル料理発祥の地域、中東の意味で、サブタイトルに使用しています。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・水谷結

◆ホワイトアスパラガスを揚げる

ホワイトアスパラガスはフレッシュタイプを使用。豊かな川と森が広がるフランス中部の特産地、ロワール地方産。中世の王族が好んで住み、世界遺産の古城が多く残る観光地としても有名。写真は5kgの2ケース。最盛期は毎週コンスタントに30〜40kg仕入れ、さまざまな調理法で提供

ホワイトアスパラガスは皮をむき、下茹でする

小麦粉をまぶし、卵をつける

自家製パン粉、パルミジャーノ・レッジャーノ、イタリアンパセリのみじん切りを混ぜ合わせた衣をつける

サラダ油で揚げる

◆タルタルソースをつくる

合わせるタルタルソースは卵やピクルス、タマネギ、イタリアンパセリなどのみじん切り、マヨネーズ、マスタード、アンチョビ、ウスターソースなどを混ぜてつくる

ウスターソースは本場英国ウスター市で1837年に創業し、英国王室御用達ブランドとして親しまれている「リーペリン」を使用。揚げ物料理との好相性はもちろん、調理の隠し味にも利用されている

マスタードはフランスで1927年に創業した「ペルシュロン」社のディジョンマスタードを使用

お召し上がり

ホワイトアスパラガスのフリット カブール風

ホワイトアスパラガスのフリット カブール風

春の大地を感じるホワイトアスパラガスの歯ごたえと風味。

さまざまな食材を贅沢に使った、フライの衣とタルタルソースが美味しさ引き立てます。

ホワイトアスパラガスのフリット カブール風

ラ・ビスボッチャ店内

6.ブロッコロ・フィオラーロのニンニク唐辛子炒め

ブロッコロ・フィオラーロのニンニク唐辛子炒め

メニューについて

前菜や、メインの付け合わせに食べたい、季節の焼き野菜のシリーズです。

3月は、イタリア産のブロッコロ・フィオラーロをおすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・金田健太郎

ブロッコロ・フィオラーロは、ブロッコリーの一種でイタリア原産の冬野菜。古代ローマ時代から食されていたが、現在はイタリア北部ヴェネト州のみで栽培され、イタリアでも希少な野菜。旬は11月から2月で、特に霜が降りてから収穫されたものは味や風味が濃いとされる

食べやすい大きさにカットする

下茹でして柔らかさと鮮やかさを出す

下茹でした後、ザルで水気を落とす

オリーブオイル、ニンニクのみじん切り、赤唐辛子で味と香りをつけながら炒める

お召し上がり

ブロッコロ・フィオラーロのニンニク唐辛子炒め

葉先は柔らかく、茎はシャキシャキしています。

食感のバリエーションとともに、味わいは、甘みから、旨み、ほろ苦さが豊かに広がります。

ブロッコロ・フィオラーロのニンニク唐辛子炒め

ブロッコロ・フィオラーロのニンニク唐辛子炒め

ラ・ビスボッチャ店内

7.ホタルイカとアサリのスパゲッティ ジェノヴェーゼソース

ホタルイカとアサリのスパゲッティ ジェノヴェーゼソース

メニューについて

春の魚介でスパゲッティをつくりました。

魚介の美味しさを引き立てる、ジュノヴェーゼソースを合わせました。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・江川智香

◆下ごしらえ

グリーンアスパラガスを下茹でし、食べやすい大きさにカットする

ホタルイカを下茹でし、目玉、くちばし、軟骨を取り除く。ホタルイカは兵庫県産を使用

◆ベースのソースをつくる

フライパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切り、赤唐辛子を入れて 加熱する

アサリを入れ、自家製野菜の出汁を入れ、フタをして蒸し焼きにしながら開く

下ごしらえしたホタルイカとグリーンアスパラガスを合わせてソースの出来上がり

◆仕上げる

茹で麺機でスパゲッティを茹でる。茹で時間8分

スパゲッティはイタリア南部の乾麺の特産地、カンパニア州グラニャーノで1912年に創業した「ディ・マルティーノ」社製を使用。イタリア産小麦を100%使い、低温で長時間乾燥させた麺は小麦の風味が濃厚。直径は1.8㎜。太めで食べごたえがある。現在は販促活動として、アメリカのバービーとコラボした期間限定パッケージで展開中

バービーコラボパッケージの裏面。容姿やスタイルに多様性を取り入れたデザイン

茹で上げたスパゲッティをソースと和える

自家製ジェノヴェーゼペーストを加え、イタリアンパセリのみじん切りを振りかけて仕上げる

お召し上がり

ホタルイカとアサリのスパゲッティ ジェノヴェーゼソース

イタリア最大の港街ジェノヴァで、豊富な魚介を食べるための生活の知恵から生まれたジェノヴェーゼソース。

バジルの爽やかな香りは、ホタルイカのコクやアサリの旨みもしっかり引き立てます。

ホタルイカとアサリのスパゲッティ ジェノヴェーゼ・ソース

ホタルイカとアサリのスパゲッティ ジェノヴェーゼ・ソース

ラ・ビスボッチャ店内

8.タリオリーニのアマトリチャーナ・ヴェルデ

タリオリーニのアマトリチャーナ・ヴェルデ

メニューについて

春野菜を集め、薄くて平らなパスタ、タリオリーニで軽やかに味わいます。

豚ホホ肉を塩漬けにした、グアンチャーレのコクをアクセントにしました。

アマトリチャーナとは、ローマに多いグアンチャーレやトマトを使ったソースのことで、その緑(ヴェルデ)版を春野菜でつくりました。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・水谷結

◆ソースをつくる

グアンチャーレをカットし、フライパンで加熱する

グアンチャーレとその断面。豚のホホ肉を塩漬けにして熟成させたもの

下茹でした春野菜(ソラ豆、ピゼッリ、グリーンアスパラガス)とタマネギを合わせてソースの出来上がり

ピゼッリはイタリア産のグリーンピース。強い甘みが特徴。春が旬で、みずみずしさを保つために、さや付きのフレッシュタイプを空輸する

ソラ豆は鹿児島県産を使用

◆仕上げる

タリオリーニを製麺する。生地は全卵、卵黄、強力粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩を混ぜてつくる。薄目に伸ばし、3〜4㎜の幅でカットする

タリオリーニを茹でる。茹で時間4分

茹で上げたタリオリーニをソースと和える

パルミジャーノ・レッジャーノを加える

ペコリーノチーズを振りかけて仕上げる

ペコリーノチーズは、羊乳からつくるチーズ。塩味とコクが豊かで、風味はすっきりしている。イタリアで牧羊が盛んな特産地、サルディーニャ島産。側面にペコリーノの認証刻印が見える

お召し上がり

タリオリーニのアマトリチャーナ・ヴェルデ

タリオリーニは、薄さの加減が絶妙。

春野菜の若々しい味とよく合います。

タリオリーニのアマトリチャーナ・ヴェルデ

タリオリーニのアマトリチャーナ・ヴェルデ

ラ・ビスボッチャ店内

9.黒トリュフと生ハムのタヤリン

黒トリュフと生ハムのタヤリン

メニューについて

トリュフの歳時記のなかで、冬から春は、黒トリュフのシーズンになります。

3月は、極細パスタ、タヤリンに生ハムのコクを合わせておすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・村澤大

フライパンに無塩バターと生ハムの細切れを入れ、加熱

自家製野菜の出汁と黒トリュフペーストを加えてソースの出来上がり

タヤリンを茹でる

タヤリンは自家製生パスタでつくる。生地は卵黄、小麦粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩を混ぜてつくる

茹で時間1分30秒

茹で上げたタヤリンをソースと和える

パルミジャーノ・レッジャーノを加える

黒トリュフを振りかけて仕上げる

黒トリュフはイタリア産を使用

お召し上がり

黒トリュフと生ハムのタヤリン

黒トリュフは、白トリュフほど香りは強くないけれど、かすかに苦みやコクを感じる味わいがあります。

バターソースに加えた生ハムの熟成香や旨み、コクがよく合います。

黒トリュフと生ハムのタヤリン

黒トリュフと生ハムのタヤリン

ラ・ビスボッチャ店内

10.キャビアとホワイトアスパラガスのリゾット

キャビアとホワイトアスパラガスのリゾット

メニューについて

キャビアと、ホワイトアスパラガスは好相性。

その相性をリゾットに取り入れ、味わいを広げました。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理長・井上裕基

リゾット米をホワイトアスパラガスの茹で汁や自家製鶏の出汁で煮込む

リゾット米は、大粒で煮崩れしにくいイタリア産のリゾット用品種を使用。イタリア北部ピエモンテ州の米処ヴェルチェッリ県で1935年からリゾット用の米をつくり続ける「ロンドリーノ」社のブランド米「アクエレッロ」

ホワイトアスパラガスを短くカットする

カットしたホワイトアスパラガスをリゾットに加える

無塩バターを入れ、味と香り、とろみをつける

パルミジャーノ・レッジャーノを入れ、味と香り、とろみをつけ、キャビアと盛り付ける

パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州で1877年に創業した乳製品メーカーの老舗「アウリッキオ」社製。一年中干草のみを与えた牛の濃いミルクからつくるチーズは甘みと熟成感のバランスがよい。側面の認証刻印の2042のナンバリングはハイグレードの証。塊で仕入れ、自店で粉に挽く

キャビアはフランスのキャヴィアリ社製を使用。イタリアのアドリア近郊の養殖場でシベリアチョウザメから摘出した卵をフランスで加工したもの

お召し上がり

キャビアとホワイトアスパラガスのリゾット

キャビアはプチプチの食感が柔らかい口どけで、中身の磯の風味や旨み、コク、塩気は上品で、飽きない味わいがあります。

リゾットのバターやチーズ、米とよく合い、なかから出てくるホワイトアスパラガスの歯ごたえと繊細な風味がアクセントになります。

キャビアとホワイトアスパラガスのリゾット

キャビアとホワイトアスパラガスのリゾット

ラ・ビスボッチャ店内

11.鴨ムネ肉のグリル 黒トリュフかけ

鴨ムネ肉のグリル 黒トリュフかけ

メニューについて

鴨の滋味を引き立てる、ほろ苦さや甘酸っぱさ。

3月は、ラディッキオ・ローザと赤ワインソースを合わせておすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・横田達也

フライパンにオリーブオイルを広げ、鴨ムネ肉の表面を焼く

鴨ムネ肉はフランス産を使用

ひっくり返して反対側からも焼いた後、アルミホイルに包んでオーブンで焼く

ハチミツと赤ワイン、自家製鶏の出汁、仔牛のブイヨン、無塩バターを煮詰めソースをつくる

鴨に添えるラディッキ・ローザを半分にカットして炒める

ラディッキオ・ローザは冬から春にかけて出まわるイタリア野菜。ローザはイタリア語でバラの意味。色と形がバラのつぼみに似ていることが名の由来

炒めたラディッキ・ローザをソースになじませる

鴨の皮に砂糖をつけ、カリッと焼き、ソースやラディッキオ・ローザと盛り付けて仕上げる

お召し上がり

鴨ムネ肉のグリル 黒トリュフかけ

鴨ムネ肉は滋味豊かで、香ばしさやコク深い旨みが広がります。

ラディッキオ・ローザのやさしいほろ苦さや、赤ワインソースの甘酸っぱさが、ほどよいバランスで絡みます。

鴨ムネ肉のグリル 黒トリュフかけ

鴨ムネ肉のグリル 黒トリュフかけ

ラ・ビスボッチャ店内

12.バナナのミモザケーキ

バナナのミモザケーキ

メニューについて

西洋では春の訪れの象徴とされるミモザの黄色い小花。

ミモザに見立てたケーキも春のお菓子とされ、今年はバナナを入れました。

3月は、ビスボッチャ入口の鉢植えのミモザも見ごろを迎え、ディナーと合わせてお楽しみください。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理人・水谷結

バットの底にスポンジ生地を広げ、砂糖水を染み込ませて味をつける

クリームを厚く重ねる。クリームはホイップクリームとリコッタチーズ、砂糖を混ぜてつくる

リコッタはチーズの生成過程で生じた乳清を再加熱してつくる食品。低脂肪でさっぱりして、ソフトな食感とミルクの自然な甘みが特徴。イタリア北部ピエモンテ州で1934年に創業した乳製品メーカー「ビラーギ」社製を使用

バナナを薄く切って重ねる。バナナはフィリピン産を使用

クリームを重ねる

ミモザの花に見立て、細かく刻んだスポンジ生地を重ねる

ピスタチオのみじん切りを振りかけて仕上げる

お召し上がり

バナナのミモザケーキ

濃厚な白いクリームが中心です。

バナナはほとんど見えないけれど、風味と、ヌルリとした食感に、強い存在感があり、自然の甘みが、スポンジの黄色を引き立て、ミモザの春らしい印象を深めます。

バナナのミモザケーキ

バナナのミモザケーキ

ラ・ビスボッチャ店内

13.イチゴのメリンガータ

イチゴのメリンガータ

メニューについて

メリンガータは、メレンゲのイタリア語で、卵白を泡立てた食材のことです。

ビスボッチャでは、メレンゲを混ぜてつくるクリームで、表面を飾るケーキのメニュー名になります。

そのレシピは創業当時、イタリアの名店、ベネチアの「ハリーズバー」本店のパティシエを招いて教えていただきました。

それから30年、そのレシピは毎日多くの料理人たちの手によってつくられ、継承されてきました。

イチゴが美味しい3月は、なかのクリームにイチゴを入れ、スペシャル・バージョンでおすすめします。

調理

メニュー提案 撮影調理 料理長・井上裕基

◆土台を組み立てる

丸く焼いたスポンジ生地を横4等分にカット。砂糖水にリキュール「コアントロー」を混ぜた液を染み込ませ、味と香りつける

コアントローはフランスで1849年に創業したコアントロー家の蒸溜所が開発したオレンジリキュール。オレンジの皮を使い、オレンジの香りとまろやかな甘さが特徴。カクテルや製菓などで愛用されている

スポンジ生地の間にクリームを3層重ね、土台をつくる

クリームはカスタードクリームにホイップクリームを混ぜてつくる。イチゴが美味しい3月はイチゴのカットを加える

イチゴは栃木県産の「とちおとめ」を使用

◆表面を飾る

表面をメレンゲで覆う。メレンゲは卵白と砂糖、ホイップクリームをまぜ、バニラエッセンスやレモン汁で香りをつけたもの

トッピングはクリームを立てるように飾る

バーナーで焼き色をつけて仕上げる

お召し上がり

イチゴのメリンガータ

イチゴ、クリーム、スポンジ。ケーキの王道の組み合わせをたっぷり堪能します。

それそれの食材に加えた香りのアクセントがイタリアらしく、大人の味わいに仕上げています。

イチゴのメリンガータ

イチゴのメリンガータ

3月のディナーは、

ラ・ビスボッチャの季節のおすすめメニューに、

春のよろこびを感じて、お楽しみください。