季節のおすすめメニュー4月 2023

RECOMMENDED SEASONAL MENU APRIL 2023

コラム『味と技』第124回

そよ風にさそわれ

4月は、新緑のなかで、新生活をはじめた人々が街にあふれ、そよ風がフレッシュに感じます。

そんな季節の気分から、新芽や卵を楽しむメニューを中心に、13品おすすめします。

監修/料理長・井上裕基

写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue    
Photo・Text  by George Oda

前菜

1.ブラータチーズとよつぼしのサラダ

ブラータチーズとよつぼしのサラダ

メニューについて

ブラータチーズと味わう、季節の食材シリーズです。

4月は、ブランドイチゴの「よつぼし」を合わせておすすめします。

メニュー提案・撮影調理 料理長・井上裕基

「よつぼし」は2017年に登録された新品種のイチゴ。三重県や香川県、千葉県、九州沖縄農業研究センターなど、4つの機関が共同開発した。今回は三重県産を使用

ブラータチーズは、イタリア南部プーリア州出身のチーズ職人が、アメリカ・カリフォルニア州でつくる「ディ・ステファノ」社製を使用。放牧牛のミルクを使い、とろりとした食感で、ミルキーな風味と甘み、旨みが濃厚

お召し上がり

ブラータチーズとよつぼしのサラダ

よつぼしは、大粒でサクサクと心地よい食感があり、甘みは強く、すっきりした酸味が加わります。

ブラータチーズのミルキーな風味が、よつぼしの美味しさを引き立てます。

ブラータチーズとよつぼしのサラダ

ブラータチーズとよつぼしのサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

2.炙りサワラのカルパッチョ

炙りサワラのカルパッチョ

メニューについて

4月のカルパッチョは、魚へんに春と書く「鰆(サワラ)」をおすすめします。

皮目を炭火で炙り、香ばしさを加えて仕上げました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・水谷結

サワラは一匹丸ごと仕入れ、自店でさばく。今回は三重県産を使用

サワラの頭を落とし、骨と身の間に切り込みを入れる

サワラの向きを変え、反対側からも切り込みを入れ、半身を骨から外す

小分けにした身から、小骨を取り除く

皮目を炭火で軽く炙り、香ばしさをつける

冷やした身を食べやすい大きさにカットし、自家製レモンドレッシングや香草とともに盛り付ける

お召し上がり

炙りサワラのカルパッチョ

脂がのったサワラは、オリーブオイルとよくなじみ、もっちりした歯ごたえ。

見た目の淡いピンク色のとおり、旨みは繊細で、春らしさを感じます。

炭火で炙った皮の香ばしさや、香草の爽やかな香り、ピンクペッパーのカリッとした食感がアクセントです。

炙りサワラのカルパッチョ

炙りサワラのカルパッチョ

ラ・ビスボッチャ店内

3.ヤリイカとタラの芽のフリット

ヤリイカとタラの芽のフリット

メニューについて

衣がうすいイタリア式の揚げ物、フリット。

4月は、定番のヤリイカに、タラの芽を合わせておすすめします。

調理

メニュー提案・撮影調理 副料理長・高部孝太

タラの芽はタラの木の新芽。今回は生産量日本一の山形県産を使用

タラの芽は、揚げる前に根元のかたい部分を取り除く

タラの芽の衣をつくる。小麦粉、炭酸水、白ワイン酢を混ぜる

炭酸水は、イタリア北部ロンバルディア州のアルプスの麓にある炭酸泉と温泉街、サンペレグリノテルメで、地下400mから湧く炭酸泉から直接ボトリングしてつくる微炭酸のミネラル・ウォーター。同地で1899年に創業したサンペレグリノ社製

白ワイン酢は、酢の特産地、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州モデナ県で、1891年に創業した老舗メーカー「アドリアーノ・グロソリ」社の「グロソリ・リゼルヴァ」ブランドを使用。ワインを木樽でゆっくり酢酸発酵させる伝統的な製法を用い、発酵後も木樽でじっくり熟成させたリゼルヴァタイプ。豊かな香りと、まろやかな味わいがある

タラの芽に衣をつける。全面を衣で覆うのではなく、あえて生身の部分を少し残す

タラの芽を揚げる

ヤリイカに薄力粉をつける

ヤリイカを氷水にくぐらせる

ヤリイカは、水と油の反発力を最大限に生かしてカラッと揚げる。なかのヤリイカは、氷水のつけた効果で温度が上がりすぎず、柔らかさとしっとり感が残る

約2分間でさっと揚げる

油を切るためのザルに移し、塩をふって味をつける

さらにキッチンペーパーで余分な油を吸収し、サクサクに仕上げる

お召し上がり

ヤリイカとタラの芽のフリット

香ばしいヤリイカの衣は薄く、カリッとしながら、しっかりくっつき、柔らかいヤリイカの美味しさを引き立てます。

タラの芽は、ホクホクした食感で、粘りがあるような舌ざわりもあり、かすかな苦みが、ほどよいアクセントです。

ヤリイカとタラの芽のフリット

ヤリイカとタラの芽のフリット

ラ・ビスボッチャ店内

4.ホワイトアスパラガスのビスマルク風 カラスミパウダーかけ

ホワイトアスパラガスのビスマルク風 カラスミパウダーかけ

メニューについて

ヨーロッパの春野菜、ホワイトアスパラガス。ヨーロッパの人々はシーズンになるとホワイトアスパラガスを買い込み、毎日さまざまな料理で味わいます。

4月は、そんな気分をイメージして、イタリア産のホワイトアスパラガスを茹で、ビスマルク風と呼ばれる目玉焼きとバターソースと合わせ、さらにトッピング2種、カラスミと生ハムのバリエーションを加えておすすめします。

メニュー提案・撮影調理 料理人・村澤大

お召し上がり

ホワイトアスパラガスのビスマルク風 カラスミパウダーかけ

ホワイトアスパラガスそのものの味わいは、繊細です。

ワインと合わせるおつまみ感がもっと欲しいと感じる方には、カラスミの塩気やコクがちょうどいいトッピングになります。

ホワイトアスパラガスのビスマルク風 カラスミパウダーかけ

5.ホワイトアスパラガスのビスマルク風 生ハムのせ

ホワイトアスパラガスのビスマルク風 生ハムのせ

お召し上がり

ホワイトアスパラガスのビスマルク風 生ハムのせ

生ハムと目玉焼きを合わせると、生ハムの脂分と、卵黄に含まれる脂質がよくなじみ、思わぬ好相性に驚きます。

そのなかから、シャキシャキしたホワイトアスパラガスが出てくると、至福を感じます。

ホワイトアスパラガスのビスマルク風 生ハムのせ

ラ・ビスボッチャ店内

6.ミックス・キャベツのバターソテー

ミックス・キャベツのバターソテー

メニューについて

4月の焼き野菜は、さまざまなキャベツを集めてバターで炒めます。

前菜のおつまみや、メインの付け合わせにおすすめします。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・金田健太郎

ミックス・キャベツに使う野菜。左からイタリア産黒キャベツ、静岡県産芽キャベツ、静岡県産プチヴェール

◆キャベツの下ごしらえ

黒キャベツを手でちぎって小分けにし、洗う

黒キャベツを蒸し煮にする

芽キャベツを下茹でする

下茹でした芽キャベツを半分にカットする

プチヴェールを下茹でする

プチヴェールをザルに移し、水分を切る

◆仕上げる

フライパンで無塩バターを加熱する

下ごしらえした野菜をバターで炒め、パルミジャーノ・レッジャーノをふりかけて仕上げる

お召し上がり

ミックス・キャベツのバターソテー

バターで炒めたキャベツは、独特の香ばしさがきわだちます。

ミックス・キャベツの食感は、色の淡→濃の順に、剛→軟になり、味は色の淡→濃の順に、甘みから旨み、コク、苦みが広がり、バラエティー豊かな味わいが楽しめます。

ミックス・キャベツのバターソテー

ミックス・キャベツのバターソテー

ラ・ビスボッチャ店内

パスタ&リゾット

7.アサリとチーマディラーパのオレキエッテ バターソース

アサリとチーマディラーパのオレキエッテ バターソース

メニューについて

アサリとバターの好相性を、耳たぶ型のショートパスタ、オレキエッテに合わせました。

バターはイタリア産を使い、同じくイタリア産のパルミジャーノ・レッジャーノや、春野菜のチーマディラーパを合わせ、繊細で深い味に仕上げました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・江川智香

◆ソースをつくる

アサリは国産を使用

フライパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切り、無塩バターを入れ、加熱する

バターはイタリア北部ピエモンテ州の「ベッピーノ・オッチェリ」ブランド。バター職人、ベッピーノ・オッチェリ氏が1976年から手がけるブランドで、昔ながらの手しごとでつくる発酵無塩バター。クリーミーで舌にのせるとサッと溶け、ミルクの風味が濃厚で、エレガントな甘みとコクがある。後味は軽めで、あっさりしている。英国王室御用達にも選ばれている

自家製野菜の出汁を入れる

アサリを入れ、フタをして蒸し焼きにし、開いたらフタを外す

時間差でチーマディラーパを入れ、ソースの出来上がり

チーマディラーパはイタリア産の春野菜。地中海沿岸が原産のアブラナ科の野菜。日本でよく見る菜の花は、同じアブラナ科の植物でもナタネの菜の花。チーマディラーパはかぶの菜の花

◆仕上げる

オレキエッテを茹でる。茹で時間は浮き上がってきたのが目安

オレキエッテは自家製生パスタでつくり、卵白や小麦粉、セモリナ粉、オリーブオイル、水、塩を混ぜる

アサリは、オレキエッテに傷をつけないように、ソースのフライパンから取り除き、盛り付けで合わせる

茹で上がったオレキエッテをソースのフライパンに投入

オレキエッテをソースと和え、パルミジャーノ・レッジャーノを加え、味と香り、とろみをつける

パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州で1877年に創業した乳製品メーカーの老舗「アウリッキオ」社製。一年中干草のみを与えた牛の濃いミルクからつくるチーズは甘みと熟成感のバランスがよい。側面の認証刻印の2042のナンバリングはハイグレードの証。塊で仕入れ、自店で粉に挽く

無塩バターをトッピングし、香りをつけて仕上げる

お召し上がり

アサリとチーマディラーパのオレキエッテ バターソース

ソースはサラッとなめらかながら、バターやチーズのミルキーな風味とニンニクの香りがほどよく調和し、アサリの旨みや塩気を引き立てます。

チーマディラーパは柔らかく、マイルドな苦みがアクセントです。すべての合わせは繊細で、あっさりした塩味ながら、深い余韻があります。

アサリとチーマディラーパのオレキエッテ バターソース

アサリとチーマディラーパのオレキエッテ バターソース

ラ・ビスボッチャ店内

8.ホタルイカとタケノコのフェットチーネ 山椒のソース

ホタルイカとタケノコのフェットチーネ 山椒のソース

メニューについて

3〜5月に最漁期をむかえるホタルイカを平麺、フェットチーネに合わせました。

山椒風味のソースとタケノコがアクセントです。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・水谷結

◆タケノコの下ごしらえ

タケノコは京都府産を使用

タケノコを丸ごと炭のなかで焼く

皮をむく

食べやすい大きさにカットしてソースに入れる

◆山椒のペーストをつくる

ソースに混ぜる山椒ペーストをつくる。山椒の新芽、山椒の実(ドライ)、ケッパーの実(塩漬け)、エキストラヴァージン・オリーブオイルをミキサーで混ぜる

山椒の新芽は埼玉県産を使用

出来上がった山椒のペースト

◆ソースをつくる

フライパンにオリーブオイル、ニンニクのみじん切り、赤唐辛子を入れ、加熱する

あらかじめ下ごしらえしたホタルイカとタケノコを入れる

ホタルイカは特産地の兵庫県産を使用

自家製の出汁を入れる。出汁は魚の頭や骨、イカの肝、アンチョビ、トマトペーストなどからつくる

山椒ペーストを入れ、煮詰めてソースの出来上がり

◆仕上げる

フェットチーネを茹でる。茹で時間4分。フェットチーネは自家製生パスタでつくり、全卵や卵黄、強力粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩を混ぜる

茹で上がったフェットチーネをソースのフライパンに投入

フェットチーネをソースと和え、イタリアンパセリのみじん切りを混ぜて仕上げる

お召し上がり

ホタルイカとタケノコのフェットチーネ 山椒のソース

ホタルイカも束になると、味が濃くなってきます。

そんなとき、ソースの山椒の風味や、タケノコのサクサクした歯ごたえ、平たいパスタがちょうどいいコントラストになり、飽きない味わいです。

ホタルイカとタケノコのフェットチーネ 山椒のソース

ホタルイカとタケノコのフェットチーネ 山椒のソース

ラ・ビスボッチャ店内

9.トマトとモッツアレッラのタヤリン

トマトとモッツァレッラのタヤリン

メニューについて

春らしく細麺で味わうシンプルパスタです。

イタリアンの王道バランスの美味しさを、あらためて感じる一皿です。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理長・井上裕基

フライパンに自家製トマトソース、バジル、バターを入れ、加熱する

自家製野菜の出汁を入れ、煮詰めてソースの出来上がり

タヤリンを茹でる。茹で時間1分30秒

タヤリンは自家製生パスタで、卵黄や小麦粉、セモリナ粉、オリーオリーブオイル、塩を混ぜてつくる。

茹で上げたタヤリンをソースのフライパンに投入

タヤリンをソースと和え、エキストラヴァージン・オリーブオイルを入れ、味と香り、とろみをつける

エキストラヴァージン・オリーブオイルは、フルーティーな香りと辛みが豊かなシチリア島のテッラリーヴァ社の「ケルビーノ」ブランドを使用。欧州のオーガニックとDOPの認定を受けている。DOPは原産地名称保護制度のことで、風通しのよい丘陵地帯でオリーブオイルの特産地であるモンティ・イブレイ(イブレイ山地)が対象

モッツァレッラチーズを入れる

モッツァレッラチーズはイタリア南部の特産地、カンパーニア州産。水牛乳100%で味と香りが濃厚。イタリア語でボッコンチーノとよばれる、ひとくちサイズを半分にカットして使用。カンパーニア州の一流ホテルなどで愛用されているサルバトーレ・コルソ社の「デッラ・ローゼ」ブランド

タヤリンとソースの熱でモッツァレッラチーズをなじませて仕上げる

お召し上がり

トマトとモッツァレッラのタヤリン

ソースのなかから、パスタをスルスル引っ張り出して食べるというより、ソースとパスタが毛糸玉のように一体になり、その塊を少しずつほおばる新食感です。

イタリア産のモッツァレッラやオリーブオイルの豊かな風味がきわだちます。

トマトとモッツァレッラのタヤリン

トマトとモッツァレッラのタヤリン

ラ・ビスボッチャ店内

10.ワカサギのリゾット

ワカサギのリゾット

メニューについて

4月のリゾットは、ワカサギ味をおすすめします。

盛り付けは、水中のワカサギが、水面の水草の裏に産みつけられた卵を見上げる場面をイメージしました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理長・井上裕基

◆ワカサギのコンフィをつくる

ワカサギは北海道産を使用

塩で下味をつける

バットに入れ、オリーブオイルを注ぐ

オーブンの低温で長時間加熱し、ワカサギを柔らかくする

◆ワカサギ風味のリゾットをつくる

リゾット米を自家製鶏の出汁や野菜の出汁で煮込む

リゾット米は、大粒で煮崩れしにくいイタリア産のリゾット用品種を使用。イタリア北部ピエモンテ州の米処ヴェルチェッリ県で1935年からリゾット用の米をつくり続ける「ロンドリーノ」社のブランド米「アクエレッロ」

無塩バターを入れ、味と香り、とろみをつける

パルミジャーノ・レッジャーノを入れ、味と香り、とろみをつける

ワカサギのコンフィに使ったオリーブオイルを入れ、ワカサギの風味をつける

エキストラヴァージン・オリーブオイルを入れ、味と香り、とろみをつける

鍋の余熱で調味料を混ぜ合わせる

◆仕上げる

フライパンにオリーブオイルを入れ、ワカサギのコンフィの表面をさっと焼き、香ばしさとサクッとした食感をつけて仕上げ、ナスタチウムやフレンチキャビアと盛り付ける

ナスタチウムは金蓮花(きんれんか)の葉。千葉県産を使用

フレンチキャビアは、マスの卵をフランスで塩漬けにしたもの

お召し上がり

ワカサギのリゾット

ワカサギの表面はサクサクして香ばしく、中身は柔らかく、ほのかな旨みとほろ苦さがあり、小さいながら、味わいがしっかり楽しめ、リゾット米がすすみます。

フレンチキャビアのプチプチした食感や旨み、ナスタチウムの爽やかな辛みがアクセントです。

ワカサギのリゾット

ワカサギのリゾット

ラ・ビスボッチャ店内

メイン

11.魚介とホワイトアスパラガスのアクアパッツァ

魚介とホワイトアスパラガスのアクアパッツァ

メニューについて

イタリアの代表的な煮魚料理、アクアパッツア。

一般的には、トマトを合わせますが、4月は、ホワイトアスパラガスを合わせ、春らしい味わいで仕上げました。

メニュー提案・撮影調理 料理人・村澤大

調理

撮影用の鮮魚は真鯛を使用。塩で下味をつける。反りを防ぐ切り込みを入れる。煮汁の味も染み込む

表面に小麦粉をまぶす

オリーブオイルで表面に焼き色をつける。表面を焼くことで旨みを封じ込め、煮汁にとろみをつける効果がある

アサリを入れる

フタをして蒸し焼きにする

フタを開け、アサリが開いたことを確認

魚を煮込み続けると、アサリに火が入りすぎるので、一度外す

魚が煮上がるタイミングで、アサリと、下茹でしたホワイトアスパラガスを煮汁になじませる。エキストラヴァージン・オリーブオイルやイタリアンパセリのみじん切りをふりかけ、香りをつけて仕上げる

お召し上がり

魚介とホワイトアスパラガスのアクアパッツァ

真鯛の身はしっかりした歯ごたえで、アサリの出汁が効いたスープを絡めると、より食べやすく、美味しくなります。

ホワイトアスパラを入れた白濁スープは、まろやかなコクで、春らしい味わいです。

魚介とホワイトアスパラガスのアクアパッツァ

魚介とホワイトアスパラガスのアクアパッツァ

ラ・ビスボッチャ店内

12.乳飲み仔羊のロースト

乳飲み仔羊のロースト

メニューについて

イタリアでは、イースターのごちそうに仔羊を食べる習慣があります。

そんな仔羊の肉をイタリアから取り寄せ、骨付きロースとモモ肉を香ばしく焼いて盛り合わせました。

ミルキーで若々しい旨みを、春の肉料理におすすめします。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・横田達也

◆仔羊を精肉する

乳飲み仔羊は半身で仕入れ、自店でさばく。「アバッキオ・ロマーノ」と呼ばれる、ローマを州都とするイタリア中部ラツィオ州産。生後1ヶ月で、まだ牧草を食べていない乳飲み仔羊の肉

仔羊の肉を部位ごとに解体する

余分な筋や脂を取り除く

◆下味をつける

骨付きロースはオリーブオイルやニンニク、タイムなどでマリネし、肉を柔らかくしながら味と香りをつける

モモ肉はウデ肉などを入れて丸め込み、焼きやすいようにヒモでしばる

◆仔羊を焼く

フライパンにオリーブオイルを入れ、加熱し、モモ肉の表面に焼き色をつける。骨の付け根など、フライパンの熱が当たらない部分は、オリーブオイルを何度もかけて加熱する

ニンニクで香りをつける

方向を変えながら表面全体に焼き色をつける

表面を焼き上げたモモ肉は、ニンニクやタイムとともにアルミホイルに包む

オーブンで加熱する

骨付きロースの曲面は、オリーブオイルを何度もかけて加熱する

骨付きロースの側面は、トングでフライパンに押し付けながら加熱する

アルミホイルに包み、オーブンで加熱する

◆仕上げる

モモからヒモを外す

モモを切り分ける。中身は仔羊らしく若々しいピンク色

切り分けたモモは片面をさっと焼き、香ばしさとカリッとした食感をつける

2本分の骨付きで焼いたロースは、半分に分割して盛り付ける

ソースは、仔羊を解体したときの骨からとる出汁に無塩バターや自家製仔牛のブイヨンを混ぜ、煮詰めてつくる

お召し上がり

乳飲み仔羊のロースト

骨付きロースは、柔らかく、肉が骨からスルッとほどけ、ミルキーな風味と旨みがあります。

モモ肉は、ロースよりもやや歯ごたえがあり、旨みやコクも濃くなります。

若々しく、繊細な味わいのなかで、味くらべを楽しみます。

乳飲み仔羊のロースト

乳飲み仔羊のロースト

ラ・ビスボッチャ店内

ドルチェ

13.卵型のババ ホイップクリーム添え

卵型のババ ホイップクリーム添え

メニューについて

香ばしいスポンジ生地に、甘いシロップが、したたるほど、たっぷりしみた伝統菓子、ババ。

4月は、イースターの縁起物の卵をイメージした卵型のババに、ホイップクリームを添えておすすめします。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・水谷結

◆ババの生地をつくる

ババの生地の材料をミキサーで混ぜる。混ぜる時間を確認するために、タイマーをセットする。材料は、強力粉とイースト、水、牛乳、砂糖、塩

混ぜ合わせた生地を発酵させるため、ラップで覆う

発酵して膨らんだ生地

生地のガス抜きをし、再度ミキサーで練る

卵とバターを加えて生地の出来上がり

◆ババを焼いて仕上げる

卵型焼き菓子用鉄板に、焦げ付き防止のバターを塗り、小麦粉をふりかける

生地を絞り袋に入れ、卵型に注入する

卵型のなかで発酵し、膨らんだ生地

生地をオーブンで焼く

◆仕上げる

焼き上げた生地にシロップを染み込ませてババの出来上がり。右側がシロップを染み込ませた生地で、膨張しているのがわかる

シロップは砂糖と水、ラム酒を混ぜてつくる

ラム酒は、フランスのリモージュで1857年に創業したバーディネー社の「ネグリタ」ブランドを使用。西インド諸島でサトウキビを原料に蒸留した原酒を、フランスのボルドーでブレンド、熟成させたもの

お召し上がり

卵型のババ ホイップクリーム添え

卵型のババの見た目は、焼き色がひび割れ、いまにもヒナが生まれてきそうな迫力があります。

ラムシロップがたっぷりしみ、ずっしり重く、しっとりスポンジが好きな方には、たまらない一皿です。

卵型のババ ホイップクリーム添え

卵型のババ ホイップクリーム添え

そよ風が爽やかに感じる4月のディナーは、

ラ・ビスボッチャの季節のおすすめメニューで、

お楽しみください。