イベントレポート:歓喜のクラタペッパーナイト

イタリアンで味わうコショウ

ビスボッチャでは、自主企画イベントに加え、貸切りイベントも承っております。

2023年5月5日(金)には、ビスボッチャが使用しているカンボジア産コショウのサプライヤー、クラタペッパー社主催の食事会が開かれました。

コショウを効かせたイタリアンのコースを参加者にご賞味いただき、クラタペッパーの魅力をご堪能いただきました。その模様を紹介します。

監修/料理長・井上裕基

写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue    
Photo・Text  by George Oda

開演前のイベント会場の一部。各席にコースメニューとお土産が置かれている

1.開催概要

イベントのタイトル:「歓喜のクラタペッパーナイト」

主催者:株式会社クラタペッパー

開催日時:2023年5月5日(金) こどもの日 

     18:00〜21:00

場所:東京広尾イタリアンレストラン「ラ・ビスボッチャ」 

   ヴァンケットルーム「サローネ」貸切り

参加者:主催者とビスボッチャが募集したお客さま約40名(会費制)

天候:東京都心 晴時々薄曇、 気温26.6℃(高)15.9℃(低)、湿度61%

内容:

コショウづくしのスペシャルディナーコースを通して、クラタペッパーの奥深さと魅力を堪能する会食。及び、クラタペッパー商品の即売。

イベント会場入口に設置されたクラタペッパー商品の即売コーナー

即売コーナーのポップ。2023年3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック第5回大会で話題になったラーズ・ヌートバー選手のペッパーミル・パフォーマンスにちなんだ商品紹介が見られる

2.イベントの内容

イベントは関係者の挨拶で開会しました。

その後、コースメニューが着席した参加者の各席に順次提供されました。

クラタペッパー関係者は料理の合間に、客席をまわり、コショウや関連グッズの解説を行いました。

商品の即売は、開会前と閉会後に行われました。

イベント開会の挨拶に登壇されたクラタペッパー関係者。創業者で商品開発と生産管理を手がける倉田浩伸さん

イベント開会の挨拶に登壇されたクラタペッパー関係者。倉田浩伸さんの夫人でブランドのプロディースを手がける倉田由紀さん

イベント開会の挨拶に登壇されたクラタペッパー関係者。東京オフィスの早川敦子さん

イベント開会の挨拶に登壇したビスボッチャの関係者。乾杯の音頭を担当した料理長・井上裕基

イベント開会の挨拶に登壇したビスボッチャの関係者。イベントのコースメニューを考案した料理人・江川智香

 

(1)コショウづくしのスペシャルディナーコース

 

◆アンティパスト

①完熟コショウを使ったブラータチーズのサラダ

完熟コショウを使ったブラータチーズのサラダ

イチゴは三重県産の高級ブランドイチゴ「完熟クラフト苺『BERRY』(ベリー)」で品種は「よつぼし」。完熟コショウをふりかけて仕上げている。

会場からは

「いい香り」「甘さのなかのペッパーのピリ辛が美味しい」

などの歓声が上がる。

倉田浩伸さんは、「完熟コショウの果肉には甘みと旨みがある。この旨みと、後からこみ上げてくる辛みは、フルーツの酸味を包み隠す効果があり、甘みがよりきわだつ」と解説しました。

クラタペッパーの完熟コショウ。赤く完熟したコショウの実を乾燥させた、赤茶色のコショウ。レーズンのようなフルーティーな香りと、甘みのある辛さが特徴

 

②カルパッチョの盛り合わせ 黒コショウでマリネした燻製カジキマグロと生コショウの塩水漬で仕上げたマッシュルーム

カルパッチョの盛り合わせ 黒コショウでマリネした燻製カジキマグロと生コショウ塩水漬で仕上げたマッシュルーム

カジキマグロは、塩と黒コショウで下味をつけてから燻製にしたもの。自家製レモンドレッシングと黒コショウをふりかけて仕上げています。

マッシュルームは、生コショウ塩水漬のみじん切りをふりかけて仕上げています。

生と乾燥、粒の形状のちがい、調理法のちがいなど、さまざまな角度から黒コショウの味と香りを堪能しました。

 

③三重県桑名産大ハマグリのスープ仕立て黒コショウ風味

三重県桑野産大ハマグリのスープ仕立て 黒コショウ風味

ハマグリの旨みと、白インゲン豆の甘みが溶け合うスープです。

黒コショウのスパイシーな香りと辛みが、味を引き締めています。

 

◆プリモピアッティ

④完熟コショウのカルボナーラ

完熟コショウのカルボナーラ

パスタは、スパゲッティより太いスパゲットーニが使われ、食べごたえがあります。

ソースは、イタリア産のグアンチャーレ(豚ほほ肉の熟成加工品)が使われ、香ばしい風味が濃厚です。

全体が濃い味になる一方で、完熟コショウのフルーティな香りがアクセントです。

 

⑤パルミジャーノ・レッジャーノのリゾット 白コショウ仕立て

パルミジャーノ・レッジャーノのリゾット 白コショウ仕立て

米はイタリア産のリゾットに適した大粒の品種を使用。パルミジャーノ・レッジャーノの塊の中で、チーズの味と香りをたっぷりつけて仕上げます。

仕上げのコショウは、チーズの香りとよくなじむ白コショウが使われました。黒っぽく見える粉末は白コショウの皮の色です。

パルミジャーノ・レッジャーノのリゾットの盛り付け

 

◆セコンドピアッティ

⑥アイルランド産ヘアフォード牛リブロースの炭火焼きとほうれん草のソテー

アイルランド産ヘアフォード牛のリブロースを炭火で焼き上げ、切り分け、黒コショウで仕上げ、テーブルの人数分盛り付けた状態。披露された後、厨房で個別に盛り付けて提供される

個別に盛り付けられたアイルランド産ヘアフォード牛リブロースの炭火焼きとほうれん草のソテー

ビスボッチャの炭火焼き肉の仕上げには、黒コショウが使われています。

肉に塩とコショウで味をつけてから焼くと、コショウが炭火で焦げてしまうため、コショウは肉を焼き上げた後から、挽きたての香りが高い粒をふりかけて仕上げています。

 

◆ドルチェ

⑦黒コショウで仕上げたティラミスと赤福

完熟コショウで仕上げたティラミスと赤福

赤福は、料理長・井上裕基が故郷の三重県に帰省した後、東京に戻る途中で購入したもの。

仕上げのコショウは、フルーティな香りの完熟コショウが使われました。

デザートを食べ終わったタイミングで、料理長が会場の参加者に「ティラミスと赤福に、コショウが合うと思う人!」と挙手を求めると、ほとんどの参加者が手を上げました。

 

(2)イベントのおみやげ

 

参加者に贈られたイベントのお土産は、クラタペッパーをより美味しく味わっていただきたい、という思いから選ばれたセットでした。

各席に名入りで置かれたお土産の布袋。ネームプレートはコショウの葉をイメージして切り抜いた緑の紙に手書き。デジタル全盛の時代に、手づくりのぬくもりが新鮮に映る

お土産の布袋の外観。ナチュラルな質感がコショウの印象を深める

布袋の中身。クラタペッパーオリジナルの木製グラインダーと黒コショウが入っている

クラタペッパーオリジナルの木製グラインダー

◆クラタペッパーオリジナルの木製グラインダーの開発背景

カンボジアには、砂糖がとれるサトウヤシという木があるそうです。砂糖がとれなくなった古木は、サラダボウルなど、キッチン雑貨の材料として使われています。

ある日、倉田浩伸さんはサラダボウルを見て、これをダウンサイジングして、小さなすり鉢をつくったら、コショウが潰せるのでは、とひらめいたそうです。

さっそく、業者に依頼して、小さなすり鉢とすりこぎのセットをつくってもらいました。

一般的なキッチン雑貨は、耐水性をもたせるために、ニスを塗って仕上げますが、シンナー臭い生産現場を見た倉田さんは、自分たちの食材や生産環境に合わないと思い、独自の仕上げ剤の模索をはじめました。

そこで目をつけたのが、コショウ畑の裏山にあった蜂の巣です。巣の中に付着している蜜蝋とヤシ油を混ぜ、社員が塗って仕上げることで、理想的なグラインダーができたそうです。

実際に使ってみると、すり鉢に対して、すりこぎが大きく、力がよく伝わり、コショウ粒を潰しやすい。食卓で料理の「追いコショウ」をふりかけるときに向くコンパクトなサイズです。

倉田浩伸さんは、食卓で「追いコショウ」を振りかける道具は、ペッパーミルより、このグラインダーの方が気に入っているそうです。

理由は、コショウを何粒使ったかわかりやすい、ペッパーミルが挽けない細かさまで粉砕できる、潰しているときの香りが高い、などの点だそうです。

独特の木目とマットな仕上げは、ナチュラルかつエスニックなイメージで、インテリアとしても楽しめます。

◆木製グラインダーの使い方

すりこぎを回したときに、コショウ粒が飛び出さないように、最初にコショウ粒をすりこぎで強く叩き、砕いておく(撮影は黒コショウ1粒使用)

砕いた黒コショウをすりこぎですり潰しながら粗挽きにした状態

粗挽きにした黒コショウをさらにすり潰して粉にした状態。ペッパーミルではできない細かさまで粉砕することができる。スープなど、コショウ粒を目立たせたくない料理に向く

3.まとめ

イベント会場で語る倉田浩伸さん

コロナ禍を乗り越えた歓喜

コショウの販促には、コショウを使った料理の食事会がわかりやすく、効果的です。

ビスボッチャでの食事会の1回目は、2018年6月28日に開催されました。

その後、クラタペッパーの活躍はメディアに紹介される機会が増え、2019年12月には、大手出版社の小学館から「ザ・クラタペッパー」という本も出版され、順調な推移を遂げました。

しかし、翌年の2020年春にコロナ禍が発生。国民の行動は制限され、日本に一時帰国していた倉田浩伸さんは、コショウ畑があるカンボジアへ戻ることができなくなりました。

そのころ、カンボジアの従業員は、まだコロナ禍の危機感がなく、風邪程度にしか思っていなかったそうです。畑に戻ってこない倉田浩伸さんへの不信感から退社する社員も少なくなかったという。

やがて、カンボジアもコロナの感染が拡大。2021年4月には、首都プノンペンなどでロックダウン(都市封鎖)を実施するほどの猛威になりました。カンボジアに近づけないまま、畑は荒れました。

コロナ禍の鎮静化が見えてきた2022年、倉田浩伸さんは立て直しの年と考え、畑の修繕や契約農家の手配に奔走しました。休業補償のないカンボジアでは、復興の経費はすべて自己負担になりました。

倉田浩伸さんは、コロナ禍の受難を回想しながら「2023年の春から、リスタートした、という感じです」と語りました。

今回のイベントのタイトルは「歓喜のクラタペッパー・ナイト」。頭に「歓喜の」と付けた思いは、コロナ禍を乗り越え、再びファンとリアルなイベントを開催できたことだと感じました。

クラタペッパーの本『ザ・クラタペッパー』(小学館 2019年発行)

コショウ屋

このイベントは、コショウの魅力をさまざまな角度から検証する貴重な機会です。美味しいコショウの香りは、スパイシーだけではなく、フルーティなニュアンスもあり、合わせる料理の幅が広がることがわかりました。

倉田浩伸さんが熱く語るコショウの説明は、説得力があります。商品の売り込みが先に見えるのではなく、商品の魅力が先に見えてきます。

倉田浩伸さんのコショウに賭ける情熱には、いつも感心します。「こだわり」や「天職」などの形容を超越した、神がかった境地です。一芸に秀でた人に感じる境地で、倉田浩伸さんには「コショウの神様が乗り移っているのでは」と感じる瞬間があリます。

そのモチベーションを倉田浩伸さんは、「皆さんに美味しいものを食べていただきたい」という思いや、「この香りを、より多くに人に伝えたい」という思いが、行動に駆り立てると語りました。

参加者からは、

「こんないい香りは、市販のコショウで感じたことはなかった」

「普通に生きていると、ここまでコショウのこと考えない。今日のイベントは衝撃的なことが多い」

などの声がありました。

倉田浩伸さん夫人の倉田由紀さんは、参加者から「よくそこまで、コショウのことを、いろいろ考えられますね」と話しかけられると、「ウチ、コショウ屋ですから」と笑顔でこたえました。