ワインや食材の生産者さんをお招きして、ディナーに来店されるお客さまと交流していただくイベント、メーカーズ・ディナー。
2025年11月13日(木)は、イタリア北部ピエモンテ州のワインメーカー「ダンテ・リヴェッティ」社の輸出担当、カティア・リヴェッティさんをお招きしました。イベントの模様とインタビューをお伝えします。
監修/料理長・井上裕基 写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue
Photo・Text by George Oda
1.イベントの概要

ビスボッチャの店内で語るカティアさん
ビスボッチャの通常営業のなかで、各テーブルに提供するグラス、ボトルのワインを、ダンテ・リヴェッティ社のワインに特化しておすすめし、ワイナリーを知っていただく機会を強化。
なおかつ、カティアさんが通訳とともに、各テーブルをまわり、ご挨拶やワインの解説、記念撮影などを通してお客さまと交流し、ワイナリーの認知度を高めた。
カティアさんは接客しながら、アテンドした日本の輸入代理店、有限会社クリオ・インターナショナルの社員と関係者、筆者を含めた計8名でテーブルを囲み、自社ワインとビスボッチャの料理とのマリアージュを楽しみました。
2.ダンテ・リヴェッティ社の歴史

ダンテ・リヴェッティ社公式ページより。同社が所有する2カ所のブドウ畑と醸造所
ダンテ・リヴェッティ社は、リヴェッティ家が1900年代初頭に、イタリア北部ピエモンテ州クーネオ県ネイヴェ地区で創業。
4代目の現当主ダンテ・リヴェッティ氏が1970年代に家業を継ぎ、1980年代に社名をダンテ・リベッティに改名。
現在はダンテ氏の長女カティア、長男イヴァン、次女マーラの3兄妹が同社を運営。
同地の「保証つき統制原産地呼称ワイン」に認定されている赤ワイン「バルバレスコ」を主力商品とし、「バルバレスコ」のなかでも、淡麗な口あたりで、雑味がなく、きれいな味わいのワインの生産を特徴にしている。

ダンテ・リヴェッティ社公式ページより。現在同社を運営する長女カティアさん(左)長男イヴァンさん(中)次女マーラさん(右)
3.カティアさんのマリアージュ

ビスボッチャのスタッフに料理の盛り付け量を確認するカティアさん(左)
お料理
◆冷前菜盛り合わせ

左からブラータチーズと黒イチジク、生ハムとサラミの盛り合わせ、ヒラメのカルパッチョ
◆パスタ

キャビアとウニの冷製カペッリーニ

バターソースのフェットチーネ 卵黄のせ 白トリュフかけ
◆メイン

アイルランド産グラスフェッドビーフと和牛フィレの炭火焼き プンタレッラのサラダ
◆ドルチェ
柿のタルト
ワイン
料理に合わせたワインの順番

白ワイン「ランゲ・アルネイス “ブリッコ ドーロ”」2023
白ワイン「ランゲ・アルネイス “ブリッコ ドーロ”」2023
ブドウ種:アルネイス100%
青リンゴのような香り、清涼感と適度な酸味が心地よい。白い花の芳香の滑らかな口当たり。ふっくらとした蜜の味わいが厚みを与えてくれます。

白ワイン「ラ・ヴァッレッタ シャルドネ」2021
白ワイン「ラ・ヴァッレッタ シャルドネ」2021
ブドウ種:シャルドネ100%
ボリューミーで酸とミネラルのバランスも素晴らしいフルボディ。フルバリックでありながらしつこさがなく、飲み疲れなくスムースに飲める事も魅力。

赤ワイン「バルバレスコ・ブリッコ・リゼルヴァ」2017
赤ワイン「バルバレスコ・ブリッコ・リゼルヴァ」2017
ブドウ種:ネッビオーロ100%
樹齢の古いネッビオーロを栽培。スミレやアロマの凝縮した香り。初めは柔らかく徐々に骨格のある心地よいタンニンに支えられたドライで豊満な味わいに。

赤ワイン「バローロ “レリーゼ”」とともにビスボッチャの井上裕基料理長と記念撮影するカティアさん(左)
赤ワイン「バローロ “レリーゼ”」2018
ブドウ種:ネッビオーロ100%
芳醇で柔らかいアタックと心地よいタンニンのストラクチャー、またビロードのような柔らかい余韻が続く。良年のみ生産のクラシカルなバローロ。

会食のテーブルを自撮りしてSNSに投稿するカティアさん
ダンテ・リヴェッティ社があるピエモンテ州は白トリュフの本場。カティアさんは、地元で白トリュフを楽しむ時は、極細パスタ、タヤリンと合わせることが多いため、ビスボッチャでは、あえてフェットチーネに合わせたそうです。
また、カティアさんは、ピエモンテ州の白トリュフの楽しみ方として、白トリュフをスライスした小片のみを口に入れ、香りをストレートに楽しんだ後、赤ワイン「バローロ」を飲むマリアージュも紹介しました。
当日は、カティアさんの誕生日の数日後に当たり、カティアさんが注文したドルチェは、事前に関係者がビスボッチャに依頼したバースデープレートでサプライズ提供され、お祝い気分を盛り上げました。

バースデープレートとともにカティアさんの誕生祝いをする関係者

カティアさんのバースデープレート
4.カティアさんへのインタビュー

バースデープレートをSNSに投稿するカティアさん
ビスボッチャ「ダンテ・リヴェッティ社のビジネスの概況は?」
カティアさん「60%がイタリア国内の販売で、40%が輸出です。輸出は、アメリカはなく、フランス、スペイン、ドイツ、オランダ、ブラジル、日本、中国、マレーシア、タイなど。シャルドネのほとんどは日本」
ビスボッチャ「世界的に若者のワイン離れがトレンドになっているが、イタリアのワインの需要は増えていますか?」
カティアさん「イタリアでは、ワインのみならず、アルコール飲料全体の需要が減っています。若者の酒離れなど、さまざまな要因はあるけれど、ニュージーランドやオーストラリアなど、今までワインをたくさん生産していなかった国がワインの生産量を増やしていることも、イタリアワインの需要減につながっています。
また、イタリア国内でも、ピエモンテやトスカーナのような伝統的なワイン産地以外の地域でもワイナリーができて、競合が増えている。ワイナリーだけでなく、クラフトビールの工場もたくさんできている。こうした工場は、投資目的で建てている一面もあります」
ビスボッチャ「そのような市場背景のなかで、ダンテ・リベッティ社の打開策は?」
カティアさん「秘策はなく、我々としてやるべきことをやるしかないと思っています。自分たちがやってきたことを、しっかりやる。これしかない」
ビスボッチャ「日本の印象は?」
カティアさん「初来日は1998年。今回はコロナ禍をはさんで6年ぶりの来日になります。お世辞でなく、イタリア以外の国では日本が一番好きです。とにかく素晴らしい。治安はいいし、寿司、刺身、ワサビなど、食べ物も美味しい。
私の日本のイメージは、大阪はローマのように古風でゴチャゴチャして、東京はミラノのように洗練されている。
日本は大好きで、父もぜひ連れて来たいけれど、なかなか都合が合わなくて実現していません」
ビスボッチャ「ビスボッチャの印象は?」
カティアさん「ファンタスティコ!(素晴らしい)スーペル!(最高)お料理も素晴らしいけれど、ホールスタッフも素晴らしい。総合的に素晴らしいお店です」
5.まとめ

ダンテ・リヴェッティ社のワインを持ち、有限会社クリオ・インターナショナルの社員と関係者、ビスボッチャのスタッフと記念撮影するカティアさん(前列左から4人目)
カティアさんは、イタリア人らしくフレンドリーで、積極的にテーブルをまわり、日本人のお客さまにご挨拶。
たまたまイタリア人女性客のグループもいて名刺交換していました。聞くとAURORA(アウロラ)社という1919年にイタリア最初の万年筆メーカーとして、ダンテ・リヴェッティ社と同じピエモンテ州で創業した会社のコマーシャル・ディレクターの人たちでした。
カティアさんは「彼女らと話すと、当社のワイナリーから6kmの立地にあるご近所さんだった」と語り、ご当地ワインをすすめる。その光景は、まるでイタリアのレストランにいるようでした。
その一方で、カティアさんは市場を冷静に、理路整然と分析。フレンドリーなノリだけではなく、クールな一面もあるのがイタリア北部らしい気質と思い、ワインの味との共通点を感じました。