CHRISTMAS MENU 2022
コラム「味と技」第119回
イタリアンで楽しむクリスマス
素朴で贅沢。そんなイタリア流の「クリスマスメニュー」を、期間限定メニューと定番メニューから9品セレクトして、12月19日(月)〜12月25日(日)の期間おすすめします。
親しい人と、ワインを飲みながら語るディナーに、ぴったりのメニューです。
ご注文はコースでなく、アラカルトで承ります。定番メニューとともに、お好みでお選びください。
監修/料理長・井上裕基
写真・文/ライター 織田城司
Food Direction by Yuuki Inoue
Photo・Text by George Oda
⚫︎前菜
1.クリスマスカラーの前菜4種のプレート
メニューについて
冬の味覚を集めて、クリスマスカラーで彩りました。
クリスマス気分が盛り上がる、冷前菜の盛り合わせです。
①ブラータチーズのカプレーゼ
緑、白、赤。イタリア国旗の色であり、クリスマスカラーでもあるカプレーゼです。
白いチーズに、ミルキーな風味と甘みが濃厚なブラータチーズを合わせました。
フレッシュでひと味ちがうカプレーゼをお楽しみください。
②焼き野菜のマリネ
火入れした野菜をマリネし、自然の甘みや酸味を凝縮したサラダです。
火入れは、野菜の素材感に合わせ、パプリカは炭火焼き、ズッキーニは網焼き、ブロッコリーは茹で、とろける食感や美味しさを引き出しました。
③鮮魚のカルパッチョ
オリーブオイルでマリネした鮮魚のカルパッチョです。
ツルッ、トロッとした食感とともに、旨みがきわだちます。
クリスマスカラーで彩る薬味が、爽やかなアクセントです。
④生ハムと柿
生ハムに、旬のフルーツ、柿を合わせました。
生ハムの塩気や旨み、柿の甘みがお互いに引き立て合います。
2.ホタテ貝とホウレンソウのグラタン
メニューについて
ホタテ貝柱を入れた、アツアツのグラタンです。
ソースにホウレンソウを加え、フィレンツェ風に仕立てました。
調理
お召し上がり
◆クリーミーな甘み
焼き上がったグラタンは、2種のチーズが重なり、香ばしさがきわだちます。
貝柱の歯ごたえは柔らかく、噛みしめると繊維がサクサクほどけ、クリーミーな甘み、まろやかな旨みをたっぷり味わいます。
ソースに混ぜたホウレンソウは柔らかく、貝柱やソースと一体になり、美味しさを深めます。
⚫︎パスタ&リゾット
3.黒トリュフと生ハムのタヤリン
メニューについて
黒トリュフは、12月から翌年の2月頃までが旬で、クリスマスの時期に香りが高くなります。
そんな黒トリュフの香りを、相性がよい極細麺、タヤリンとバターソースで高めたパスタです。
ソースに生ハムを入れ、熟成香と塩味を加え、味わいを深めました。
調理
◆ソースをつくる
お召し上がり
◆森を感じる香りが濃厚
黒トリュフの香りは、ヒノキやスギ、木の実、枯葉など、森を感じる芳香が広がります。
黒トリュフそのものに味はほとんどありませんが、わずかに感じる、ほろ苦いような、複雑なコクが料理の味を深めます。
生ハムの熟成香や塩味、旨みでコクが増したバターソースと、タヤリンの卵の風味が、黒トリュフの香りとよく合います。
5.ワタリガニのパッケリ
メニューについて
日本の冬の味覚、ワタリガニを贅沢に丸ごと一匹使ったパスタです。
ソースはカニ味噌で濃厚なコクをつけ、大きな筒型パスタ、パッケリにしっかり絡めて仕上げました。
調理
お召し上がり
◆冬の贅沢を丸ごと一匹
出来上がったパッケリから、カニの香ばしさが濃厚に漂います。
パッケリはモッチリした歯ごたえで、ワタリガニのソースの香ばしさや甘み、旨み、コクがたっぷり染みこんでいます。
一緒に盛り付けたワタリガニのハサミや足のなかの身も食べられ、繊細な甘みや旨みが凝縮しています。
ズッキーニの青々しさが、爽やかなアクセントです。
5.和牛と和栗のパッパルデッレ
メニューについて
和牛のまろやかな旨みをたっぷり味わう、具だくさんのパスタです。
合わせるパスタは、濃いソースと相性がよい幅広のパッパルデッレ。
和栗の甘みがアクセントです。
調理
◆ソースをつくる
⚫︎「薩摩牛」とは
「薩摩牛」は、鹿児島県産の黒毛和牛のなかから、国内の和牛等級5段階の4級以上の肉質で構成する高級ブランド牛です。
そのなかでも、今回使用する牛ヒモ肉は、牛ネックに付随するヒモ状の細長い部位です。
赤身が中心で、肉質は柔らかく、ほどよい噛みごたえがあり、肉そのものの味を濃く感じます。
◆仕上げる
お召し上がり
◆まろやかな旨み
具材の和牛は、柔らかさのなかに弾力があり、ほどよい歯ごたえ。噛みしめると、牛肉の風味と、まろやかな旨みをたっぷり感じます。
パッパルデッレには、濃厚なソースがしっかりし絡み、小麦の風味が、和牛の美味しさを引き立てます。
和栗のホクホクした食感と甘みが、ほっこりするアクセントです。
7.パルミジャーノ・レッジャーノのリゾット
メニューについて
クリスマスメニューの食べ合わせとして、年間定番からおすすめするのは、パルミジャーノ・レッジャーノのリゾットです。
イタリアらしさを象徴する素朴な味わいは、さまざまな料理によく合い、ディナーの流れに欠かせない一品です。
調理
お召し上がり
◆米もチーズも本場の味
リゾットに使うイタリア米は、日本の米に比べると大粒で、歯ごたえに弾力があります。味わいは、香ばしさや旨みが広がり、甘みは上品です。
パルミジャーノ・レッジャーノの熟成香や塩味、ミルキーなとろみは、イタリア米と相性抜群で、飽きない味わいがあり、ワインやパンとよく合います。
⚫︎メイン
7.牛ホホ肉の赤ワインとバルサミコ酢煮込み
メニューについて
煮込んで美味しい牛ホホ肉を、赤ワインとバルサミコ酢で贅沢に煮込んだ一品です。
牛ホホ肉は、マリネやソテーで味を深めてから煮込みました。
調理
◆牛ホホ肉をマリネする
◆煮込む
◆仕上げる
お召し上がり
◆深いコク
煮汁は牛ホホ肉からしみ出た脂と野菜のまろやかさに、赤ワインとバルサミコ酢の熟成味が重なり、コクが深く広がります。
煮込んだ牛ホホ肉は、ホロホロほどける柔らかさで、煮汁がしっかりしみ、噛みしめると牛肉らしい風味と旨みを感じます。
琥珀色の脂身はぷるんと柔らかく、甘みがアクセントです。
8.キングアイランド牛リブロースの炭火焼き
メニューについて
クリスマス用の炭火焼きの肉は、柔らかくて美味しく、赤身好きから注目されている、オーストラリアの高級ブランド牛「キングアイランド牛」のリブロースをおすすめします。
◆キングアイランド牛とは
キングアイランド牛は、オーストラリアの南にある小さな島、キングアイランドで育った牛の牛肉です。
◆キングアイランド牛の特徴
キングアイランドは、年間を通じて温暖な気候で、雨量が多く、牧草の生育に適した環境です。
キングアイランド牛はこの島で放牧され、パスチャーフェッドという、栄養価の高い牧草のみを食べさせる飼育管理により、肉質の高い牛肉に仕上げられています。
広い草原を自由に歩き回り、適度な運動をすることで、脂肪が少なく、赤身が多い肉ができます。
ストレスの少ない環境で育つことで、肉質がとても柔らかくなります。
栄養価の高い牧草を食べることで、牛肉の風味や旨みが濃くなります。
そんなキングアイランド牛の極上の美味しさを、炭火焼きで高めます。
調理
お召し上がり
◆牛肉の醍醐味を堪能
焼き上がったキングアイランド牛は、炭火香と牛肉の香りが豊かに香ります。
肉質は柔らかく、噛みしめると、繊維がサクサク切れる歯ごたえが小気味よく、肉汁はしっとりしています。
味わいは、赤身の強い旨みとコクが中心です。脂身のとろける甘みや焼き目の香ばしさ、塩気などがアクセントです。
多彩な味と迫力で、牛肉の醍醐味を堪能します。
⚫︎ドルチェ
9.パネトーネ
メニューについて
◆開運を祈願する縁起物
イタリアでパネトーネは、歳末に食べることで翌年の開運につながるとされている、縁起物の菓子パンです。
パネトーネは中世の頃、ミラノを統治していたスフォルツェスコ城の公爵から銘菓として認められ、献上した青年菓子職人が恋愛成就した伝説が縁起物の由来です。
パン生地の断面に見える黄色とドライフルーツが、金貨や宝石のように見えるイメージも金運につながるとされています。
さらに、パネトーネは、イタリア北部でしかとれない特殊な天然酵母の働きで、防腐剤を使わなくても日持ちする利便性もあります。
このため、クリスマスから新年にかけて忙しくなる家庭では、ロングランで食べられるお菓子として重宝されています。
そんなパネトーネに、クリームやピスタチオでアレンジを加えて仕上げました。
調理
お召し上がり
◆年越し菓子に、新しい年を思う
パネトーネの生地はしっかりした歯ごたえがあり、菓子パンとしては新鮮な印象です。
生地のほのかな甘みは、クリームと混ぜ、潤いを加えながら食べると美味しさが増します。
焼き色の苦味、ドライフルーツの甘酸っぱさ、ピスタチオの香ばしさがアクセントになります。
そんなアクセントに、「今年もいろんなことがあった…」と思いながら、新しい年の開運を祈願します。
特別な日のディナーは、
ラ・ビスボッチャの「クリスマス・メニュー」で、
思い出に残るひとときを、お過ごしください。