第54回 SAGRA DEL TARTUFO BIANCO 2019
イタリアの至宝で深まる秋
いよいよ白トリュフの最盛期!
香り豊かな料理を集め、
11月11日(月)から11月23日(土)まで、「白トリュフフェア」を開催します。
期間限定メニューが4品登場。
神秘の香りに、深まる秋を感じてお楽しみください。
解説/料理長 井上裕基、副料理長 露詰まみ
写真・文/ライター 織田城司
Commentary by Yuuki Inoue & Mami Tsuyuzume
Photo・Text by George Oda
トリュフの最高峰 “白トリュフ”
トリュフの種類はいくつかありますが、白トリュフは香りが最も高く、最高峰とされています。
白トリュフの神秘的な香りは多くの美食家たちを魅了し、最盛期の秋は、白トリュフ料理を食べることが風物詩になっています。
そんな白トリュフをイタリアから空輸し、香りを高める料理と提供します。
フォンデュータ、白トリュフがけ
◆アルプスの郷土料理
ヨーロッパの真ん中にそびえ立つアルプス山脈。麓の地域では、昔からチーズを溶かして食べる習慣があり、郷土料理になっています。
それゆえ、アルプス山脈を囲む多くの国で、チーズを溶かす料理が見られます。
イタリアのフォンデュータ(fonduta)もそのひとつです。フランスのチーズフォンデュの真似をしたというより、同じルーツから派生したと考えられています。
今回は北イタリアのチーズの中からランゲリーノ・チーズを選び、牛乳と卵で溶き、まろやかな味のフォンデュに仕上げました。
乳製品や卵と相性がよい白トリュフのトッピングで香りを高めます。
調理
◆チーズを溶かす
◆仕上げる
お召し上がり
◆ふわとろ、まろやか
溶けたチーズの質感は、ふわふわ、とろとろ。
舌ざわりはサラッとして、白トリュフがよくしみ、香りが高く漂います。
糸をひくような粘性はなく、あっさりして、重すぎない仕上がりです。
味わいはまろやか。チーズの風味や旨み、塩味を程よく感じ、つい食べ進んでしまいます。
スパゲッティー・カルボナーラ、白トリュフがけ
◆定番の秋味
卵と相性がよい白トリュフは、卵を材料に使うパスタとよく合います。
中でも、ソースに卵を使うカルボナーラは、白トリュフの香りを高める効果が増します。
定番パスタの秋味をお楽しみください。
調理
◆ベースのソースをつくる
◆ソースに加える卵液をつくる
◆スパゲッティーを茹で、ソースとあえる
◆仕上げる
お召し上がり
◆きわだつ風味
ソースの卵とグアンチャーレの風味が、白トリュフの香りと調和し、きわだちます。
スパゲッティーをフォークに巻きつけると、白トリュフがドロリとしたソースに巻き込まれ、しっとりとしみることで香りが持続します。
グアンチャーレを噛みしめると、中から旨みと塩味がきいた肉汁がしみだし、程よいアクセントになっています。
来年の秋も食べたいと思う、力強い後味です。
つくり手に聞く:イタリアの食肉加工品メーカー「トマッソーニ」社
◆昔ながらの製法を続ける
2019年3月、イタリアを訪ね、グアンチャーレをつくるトマッソーニ社の工場を見学しました。
こちらの食肉加工品は、昔ながらの製法にこだわり、化学添加物や保存料を使わず、塩のみで保存していました。
濃厚な風味があり、塩味がしっかりして、パスタのソースに使うとコクが出る背景を実感しました。
◆トマッソーニ社がビスボッチャに来店
2019年9月、トマッソーニ社の方々がビスボッチャに来店されました。
トマッソーニ社の社員は現在21名。イタリアらしい家族経営の小さな会社で、今回は社長のお母さんを伴っての来店でした。
◆日本ははじめて
三人とも来日ははじめてだそうです。
日本でやりたいことは?という質問に、
ファビオ社長談「和食をたくさん食べたい。寿司、天ぷら、すき焼き、しゃぶしゃぶ…。日程が足りないから、少しづつ食べてハシゴをしたい」
お母さん談「こけしをお土産に買って帰りたい」
シモーネさん談「日本の古いものをたくさん見たい。お寺とか」
◆ビスボッチャの印象
皆さん研究熱心で、自社のグアンチャーレをソースに使ったスパゲッティー・カルボナーラやブカティーニを注文。和牛の炭火焼きは「とても美味しい」と好評でした。
シモーネさんは「ビスボッチャは、パンやパスタ、ケーキをホームメイドで毎日つくっていることに、こだわりを感じる。もちろん美味しい」と語りました。
◆トマッソーニ社のこだわり
シモーネさん談「当社は最高の食肉加工品の提供を目指しています。当社が考える最高とは、ケミカル(化学添加物・保存料など)を使わないことです」
食材や料理について、お互いに理解を深めることができた交流でした。
牛フィレ肉のロッシーニ風
◆美食家の気分で味わう
牛フィレ肉の上にフォアグラを乗せ、白トリュフをふりかけたメニューです。
希少な食材を贅沢に組み合わせた料理は、素朴なイタリア料理とはタイプがちがいます。それは、美食家の発案がルーツだからです。
19世紀にオペラの作曲で成功をおさめたイタリア人作曲家ロッシーニは、生涯のうち何度かパリで暮らし、美食を堪能しました。
その時、ロッシーニが発案して、パリのレストランにつくらせたメニューのうちのひとつが、この牛フィレ肉のロッシーニ風だそうです。
このため、イタリア料理の食材ではあまり見られないフォアグラが大胆に使われています。
フォアグラは甘めのソースがよく合うことから、ポートワインを使ったソースでお届けします。ロッシーニの気分でお楽しみください。
◆下ごしらえ
◆牛フィレ肉を焼く
◆ソースをつくる
◆フォアグラを焼く
◆仕上げる
お召し上がり
◆とろける舌ざわりと濃いコク
サッと焼き上げた牛フィレ肉とフォアグラは、キメが細かく、とろける舌ざわりがあります。
旨みやコクが濃縮して、白トリュフの香りに負けない迫力があります。
大きさは小ぶりながら味わい深く、食べごたえがあります。
食後は体の中からパワーがみなぎり、元気が出てくることを実感します。
おすすめのワイン
北国のめぐみを感じて
銘柄/バローロ ピアンタ・ディ・カステリオーネ・ファレット
ワイナリー/カーサヴェッキョ社
生産地/イタリア北部ピエモンテ州
ぶどう種/ネッビオーロ100%
生産年/2006年
色はガーネットががった輝くようなルビーレッド。香りは熟した赤い果実に、スパイスやレザー、オークなどのニュアンスが重なり、濃厚な印象です。
味わいは、果実味が凝縮した力強い辛口ながら、タンニンは軽めで、繊細さを持ち合わせ、豊かな余韻が長く続きます。
北イタリアの大地が育む白トリュフ。その神秘的な香りには、同じく北イタリアで生まれた力強い赤ワインがよく合います。
白トリュフ風味のパンナコッタ
◆秋の香りのデザート
パンナコッタ(panna cotta)は、イタリアで生まれたお菓子です。
パンナは生クリーム、コッタは火の入った、という意味で、レシピがそのまま名前になっています。
一般的にはゼラチンで固めますが、今回は卵を使って固め、軽めにアレンジしています。
乳製品や卵と相性がよい白トリュフの風味を加えることで、秋らしい味に仕上げています。
◆キャラメル・シロップをつくる
◆パンナコッタの生地をつくる
◆パンナコッタを加熱する
◆仕上げる
お召し上がり
◆上品な余韻
イタリア料理のデザートらしく、素材そのものの風味が生きています。
白トリュフの香りが加わることで、生クリームや卵の風味をより深く感じます。
口あたりはふわっとして、なめらかな舌ざわりの中に甘さを感じます。
白トリュフ料理の締めくくりにふさわしい、上品な余韻です。
深まる秋は、
ラ・ビスボッチャの「白トリュフフェア」でお楽しみください。