第24回 EARLY SUMMER FAIR 2018
爽やかな美味しさを集めて
新緑がとても美しく目に映る初夏。
爽やかで若々しい食材が美味しい季節です。
そんな季節の旬を味わう「初夏の旬菜フェア」を
4月28日(土)から5月12日(土)の期間、開催します。
季節限定メニュー6品が登場。
1.前菜/仔牛の香味野菜煮込み、ツナマヨネーズ添え
2.前菜/カツオのカルパッチョ
3.パスタ/イチゴのリゾット
4.パスタ/桜エビとグリーンアスパラのスパゲッティー
5.メイン/仔牛のロースト、サマートリュフがけ
6.デザート/ズッパ・イングレーゼ
ゴールデンウイークの思い出をより鮮やかにする初夏の旬菜。この機会をぜひお楽しみください。
【ゴールデンウイークの営業】
営業日:4月28日(土)、4月30日(月)〜5月5日(土)
休業日:4月29日(日)、5月6日(日)
解説/料理長 井上裕基・副料理長 露詰まみ
写真・文・エッセイ/ライター織田城司
Commentary by Yuuki Inoue & Mami Tsuyuzume
Photo・Text・Essay by George Oda
メニューについて
自転車の爽快感
初夏は過ごしやすい気候を背景に、スポーツが盛んになる季節です。
そこで、今年の初夏の旬菜フェアは、スポーツの爽快感をメニューに取り入れました。
毎年5月にイタリアで開催される自転車ロードレース『ジロ・ディ・イタリア』に注目。
優勝者に贈られるピンク色のユニフォームにちなんで、どのメニューもピンク色のアイコンが入っています。
見た目も華やかで若々しく、旬の美味しさを楽しませてくれます。
1. 仔牛の香味野菜煮込み、ツナマヨネーズ添え
イタリア北部ピエモンテ州の郷土料理。日本でも、サンドウィッチで人気の食材を合わせたメニューです。夜のワインと楽しむために、仔牛の肉を贅沢に使って濃厚な味に仕上げました。
調理
◆ツナマヨネーズを作る
◆仔牛を煮込む
◆仕上げる
お召し上がり
◆さっぱりした肉の旨味と濃厚ソース
仔牛の肉は、長時間の仕込みで脂肪分と余分な風味が抜け落ち、さっぱりした味わい。柔らかい噛みごたえの中に、ほのかな旨味を感じます。
合わせるツナマヨネーズは粘りが強く、新鮮な卵と酢の香りが食欲をそそります。旨味とコクが充実した味わいは仔牛のあっさりした味と良く合います。パンなど、いろんな食材に付けて食べたい美味しさです。
ケッパーベリーの爽やかな酸味と塩味が全体を引き締め、ワインがすすみます。
2. カツオのカルパッチョ
カツオはイタリアでも初夏を代表する旬菜です。薬味の合わせ方は和食と一味違います。この機会に、日伊の食べ比べをお楽しみください。
調理
お召し上がり
◆青葉の薬味でいただく旬の旨味
ミントとルッコラの鮮やかな緑が季節感を強調します。爽やかな香りと味は、ドレッシングのレモンやオリーブオイルと相乗効果になって、カツオの薬味となります。
炭火で炙ったカツオは燻製のような香ばしさとほろ苦さがあり、あっさりした旨味にコクを加えています。口の中でミックスする味の妙は、厚切りが丁度良いと感じます。
3. イチゴのリゾット
旬のイチゴをリゾットまで広げて食べ尽くす。食を楽しむイタリア人に教わったメニューです。イチゴ好きな方におすすめです。
調理
お召し上がり
◆甘味と酸味にあふれて
ほとんどイチゴの味。イチゴの爽やかな香りと甘味、酸味にあふれています。
リゾットの中に感じるイタリア米のしっかりした粒感と淡白な旨味が違和感なく溶け合い、バターやチーズの風味を余韻で感じます。
お菓子のような料理。不思議な体験です。
4. 桜エビとグリーンアスパラのスパゲッティー
大好きなスパゲッティーで四季を味わう。初夏は桜エビとグリーンアスパラをのせて。しっかり火を通すことで、豊かな香りと甘みを引き出します。
調理
お召し上がり
◆きわだつ香ばしさ
桜エビは小さな甲羅がこんがり焼け、香ばしさが強く漂い、食欲をそそります。中身は柔らかさと甘みがしっかり残っています。
イタリア産のグリーンアスパラは、ほとんど繊維質を感じない柔らかさで、青々しい風味、まろやかな甘みと旨味が充実して、桜エビとバランスを取ります。
合わせる太めのスパゲッティーは強いコシとモッチリした噛みごたえで、小麦の香ばしい風味を豪快に感じます。
5. 仔牛のロースト、サマートリュフがけ
食べごたえのある牛肉を爽やかにいただくメニューです。サマートリュフのコクが名脇役で活躍します。
調理
お召し上がり
◆ミルク香る甘さと、さっぱりした旨味
カリッとキツネ色に焼けた仔牛の肉から香ばしさが漂います。澄みきってサラッとした肉汁の香りはクリアで軽め。若々しさが初夏の季節感と重なります。
中身は柔らかく、キメ細かい繊維の歯ごたえがあります。噛みしめると、まだ草をあまり食べていない仔牛ゆえ、ミルクが香る甘さと、さっぱりした旨味が充実しています。
香りを控えたサマートリュフのコクは、若手を支えるベテラン脇役のようで、程よいアクセントになっています。
骨に残った肉は旨味やコクが最も凝縮した部分です。忘れずに、ナイフでそぎ落としながらいただくと、二度目の美味しさが楽しめます。
6. ズッパ・イングレーゼ
ズッパ・イングレーゼを直訳すると英国人の汁物。バカンスでフィレンツェを訪れる英国貴族をもてなすため作られた、シロップがたっぷり染みたお菓子が名称の由来。ティラミスの製法をベースに、甘めのアレンジでまとめたお菓子です。
調理
お召し上がり
◆とろける甘さ
フォークで口に運ぶと、クリーミーな食材が溶け合い、最初にメレンゲとカスタードの甘さを感じます。
余韻で感じるアルケルメスの爽やかな酸味と、チョコレートクリームの苦味が程よいアクセントになっています。
濃厚でコクのあるティラミスよりも爽やかな印象で、初夏にふさわしい甘さを感じます。
お飲物
ブラッドオレンジのミモザ
シャンパンをオレンジジュースで割った伝統のカクテル、ミモザ。
オレンジジュースにブラッドオレンジを使うことで、爽やかであっさりした酸味に。
初夏におすすめの食前酒です。
ロゼワイン
銘柄/アリアニコ・デル・タブルノ・DOCG・ロザート
ワイナリー/ファットリア・ラ・リヴォルタ
生産地/イタリア南部カンパーニャ州
ぶどう種/アリアニコ
生産年/2015年
◆初夏にロゼを選ぶ粋
初夏の若々しい旬菜には、ロゼワインが良く合います。
カンパーニャ州を代表するぶどう種のアリアニコから作るロゼは、赤味が強いロゼ色で、気分やテーブルが華やぎます。
味わいは見た目よりも力強い印象。1812年に創業した老舗ワイナリー熟練の技で、ぶどうの個性が豊かに出て、香りと味の構成がしっかりしている辛口。初夏のお食事を爽快に仕上げます。
エッセイ:食のこぼれ話『カツオの季節』
美しい景色と美味しい料理。イタリア旅行の醍醐味です。
映画『イタリアは呼んでいる』(2014年作)は、そんなイタリアのグルメツアーに出かける英国人中年男ふたりの物語です。
ふたりの年齢は50歳ぐらい。旅は6日間。新聞社から依頼されたグルメ記事の取材でした。ゲイではなく、不仲な奥さんから同行を断られた男が急遽友人を誘った設定です。
ふたりはイタリア北部のピエモンテ州から入国。車で南下しながら各地のレストランをめぐり、最終目的地はイタリア南部のカプリ島でした。
旅の終わりが近づく頃、ふたりはレストランで旬のカツオを食べながらイタリアの感想を語ります。
「イタリアは良いな。若い女が、俺たちのことをエッチな中年男と思っていない」
イタリアの若い女性はフレンドリーで、いつロマンスが生まれてもおかしくないというのです。
でも、そんな夢もつかの間。週明けからロンドンで妻子ある生活に戻ります。
そこで、ふたりはイタリアを舞台にした名作映画『ローマの休日』を引用しながら、ロマンスは成就しないほうが良い、と強がるのでした。
この場面は、カツオが見事な効果になっていました。これがバーベキューだと雰囲気に合いません。
もはや冒険できない中年男のはかない夢は、短い初夏に輝くカツオと重なり、思い出に刻まれました。
いつもご利用いただき、誠にありがとうございます。
今宵も、ラ・ビスボッチャのディナーで、楽しいひとときをお過ごしください。