第35回 SAGRA D’ AUTUNNO 2018

色々なキノコのフライ

バーニャカウダ

ガルガネッリの雷鳥ラグーソース

栗のリゾット

イノシシのプルーン煮込み

モンテビアンコ

モンブラン
深まる秋に、完熟の味
実りの秋がやってきました。
ラ ・ビスボッチャでは10月22日(月)〜11月3日(土)までの期間、秋の味覚を集めたフェアを開催します。
季節限定メニューが7品登場。完熟した味と香りに、深まる秋を感じてお楽しみください。

モンブランの試作を吟味する料理長・井上裕基(右)と副料理長・露詰まみ(左)
解説/料理長 井上裕基・副料理長 露詰まみ
写真・文/ライター 織田城司
Commentary by Yuuki Inoue & Mami Tsuyuzume
Photo・Text by George Oda
1.色々なキノコのフライ

色々なキノコのフライ
メニューについて

フィレンツェの街並み

フィレンツェの市場に見るポルチーニタケ
◆香りで感じる秋
あらゆる食材が年中食べられる現代ですが、旬の食材を一番美味しい時にたっぷり食べるのがイタリア流です。
特にキノコ類は人口で栽培できないものが多く、なおさらです。
そんなキノコを集め、豊かな香りを高める揚げ物で提供します。

フライに使うキノコ6種

ヒラタケとトキイロヒラタケは、小麦粉を炭酸水と白ワイン酢で溶き、塩を加えた衣をつける

トランペットタケ、ダイコクホンシメジ、ジロールタケ、ポルチーニタケは卵とパルメザンチーズを混ぜた衣をつける

サラダ油でサッと揚げる

塩を軽くふる

塩は旨味がたっぷりして、マイルドな辛さのシチリア産自然海塩「エガディ」の細粒を使用
お召し上がり

色々なキノコのフライ
◆キノコそのものの味と香りをより強く
揚げたてのフライから色々なキノコの香りが強く漂い、秋らしさを感じます。
あえて薄くつけた衣は、キノコそのものの味を引き立てます。
ポルチーニタケの濃厚な旨味、トキイロヒラタケの爽やかな酸味、トランペットタケの苦味とコク、ジロールタケのマイルドな旨味、ヒラタケの淡白な旨味、ダイコクホンシメジのシャキッとした歯ごたえなど、
それぞれのキノコの味くらべをお楽しみください。

色々なキノコのフライ
2.バーニャカウダ

バーニャカウダ
メニューについて

フィレンツェの市場に見る野菜

フィレンツェの市場に見る野菜
◆熱いソースで暖まる
バーニャカウダの名称は、イタリア語の熱いソースに由来します。
アンチョビとニンニクをオリーブオイルで混ぜ合わせたソースを卓上で温め、生野菜を浸して食べます。
秋から冷え込みが厳しくなる、イタリア北部・ピエモンテ州の暮らしの中で親しまれた、暖まる料理です。
秋の夜長を、熱いソースでお楽しみください。

バーニャカウダに使う野菜6種。全て国産
お召し上がり

バーニャカウダ
◆素材を生かすシンプルなソース
温かいソースのニンニクの香りが食欲をそそります。
アンチョビの塩味とコクが、それぞれの野菜が持つ甘味や酸味を引き立てます。
シンプルなソースゆえに、パンもよく合います。野菜とちがう味わいもお楽しみください。

バーニャカウダ
3.栗のリゾット

栗のリゾット
メニューについて

イタリア産の栗
◆秋らしいリゾット
日本人は、稲作を始める前の縄文時代、狩猟と採集生活を営み、栗も大切な栄養源として食べていました。お米より栗を食べた歴史が長く、親しみを感じます。
イタリアでも同じく、古来から栗の栄養価を本能で体感しながら、主要な食材として扱いました。
イタリア最大の米どころ、北イタリアのピエモンテ州では、栗を入れるリゾットも生まれました。
寒冷地らしく、温かみと栄養を加えた味わいを、秋のリゾットとしてお楽しみください。

リゾットはイタリア米を使い、自家製鶏のダシ汁で炊く

イタリア米はイタリア最大の米どころ、北イタリア・ピエモンテ州のヴェルチェッリ産。煮崩れしにくくリゾットに最適なカルナローリ種を使用

栗のリゾットは牛乳で風味とトロみを加え、温かみを増す
お召し上がり

栗のリゾット
◆アツアツの甘味
ソースのパルメザンチーズと牛乳から香ばしさと甘い香りが漂います。
パルメザンチーズの塩味と旨み、コクが栗の自然な甘味を引き立てます。
牛乳で増したリゾットのアツアツ感と栗の栄養は、体をじんわり暖めてくれます。

栗のリゾット
4.ガルガネッリの雷鳥ラグーソース

ガルガネッリの雷鳥ラグーソース
メニューについて

ガルガネッリは自家製生パスタで作る。正方形のパスタ生地を専用器具の上で対角線で丸めながら溝をつける
◆野鳥のパスタ
ショートパスタの一種、ガルガネッリの名称は、イタリア語のガルガネッロ(小鴨の意味)に由来します。
文字通り、小鴨など、野鳥の煮込みソースに合わせるパスタとして、イタリア北部、エミリア・ロマーニャ州で発祥しました。
野鳥の野性味を緩和するため、野菜と煮込み、ほぐれた肉の繊維質に合うパスタを生み出す知恵に、狩猟がスポーツとして栄えたヨーロッパの伝統とイタリアらしさを感じます。
今回は野鳥に英国のスコットランド地方から仕入れた雷鳥を使い、「狩猟の秋」を味わいます。

雷鳥の肉をほぐし、香味野菜と煮込んだラグーソース

雷鳥は毛をむしり、肉を開き、焼いてから煮込む

雷鳥は英国のスコットランド地方産

茹で上がったガルガネッリとソースを和える

パルメザンチーズをふりかける

パルメザンチーズは希少な赤牛の濃いミルクを熟成させた、香りと味が際立つ最高級品を使用

イタリアンパセリとエキストラヴァージン・オリーブオイルをふりかけ、盛りつける

エキストラヴァージン・オリーブオイルは特産地の南イタリア・プーリア州にある「ディサンティ」社製。青々しい香りと爽やかな辛味が特徴
お召し上がり

ガルガネッリの雷鳥ラグーソース
◆森の香りとまろやかな味わい
ラグーソースの雷鳥は森の育ちらしく、野性的かつ官能的な芳香が漂います。よく煮込まれ、肉質や香味野菜はとろける柔らかさです。
ガルガネッリの薄い生地がもたらす控えめなモッチリ感と軽めの歯ごたえは、雷鳥の細長い繊維質と絶妙に絡み、このパスタが生まれた必然性を感じます。
ソースの味わいは甘みと旨みがまろやかに溶け合い、ガルガネッリの生地に使われている卵と小麦の風味がアクセントになります。

ガルガネッリの雷鳥ラグーソース
お飲物

白ワイン「ガイア・エ・レイ・シャルドネ」
銘柄/ガイア・エ・レイ・シャルドネ
ワイナリー/ガヤ
生産地/イタリア北部ピエモンテ州
ぶどう種/シャルドネ100%
生産年/2015年
◆重厚でドライな果実味
雷鳥のラグーソースの野生味には、果実味のしっかりした白ワインをおすすめします。
こちらの白ワインの香りは、フレッシュなレモンやグレープフルーツなどの柑橘系にトーストやアーモンド、オークなどのニュアンスが混ざり、ふくよかな印象です。
味わいは爽やかな酸味と重厚でドライな果実味があり、長い余韻を感じます。

白ワイン「ガイア・エ・レイ・シャルドネ」とガルガネッリの雷鳥ラグーソース
5.イノシシのプルーン煮込み

イノシシのプルーン煮込み
メニューについて

イノシシの肉はマリネして、小麦粉をつけて焼いた後に煮込む
◆果実味豊かな煮込み料理
秋になると、美味しく感じる煮込み料理。
その中でも、イノシシのプルーン煮込みはソースにワインやプルーンをたっぷり使い、完熟した果実味が豊かに香る、秋らしい煮込み料理です。

イノシシの肉は国産のホホ肉やスネ肉を使用。香味野菜やニンニクとともに赤ワインに漬け、冷蔵庫で24時間寝かせる

マリネに使った赤ワインと野菜を炒め、煮込み汁のベースにする

自家製トマトソースを加えて2時間ほど煮込む

イノシシを煮込んだ汁にかくし味のローズマリーとチョコレート、下茹でしたプルーンを加え、さらに煮込む

プルーンは青森県産を使用

チョコレートはフランスで1842年に創業した老舗製菓用食材メーカー、カカオバリー社の「ミアメーレ」ブランドを使用。アフリカ産カカオを58%含み、控えめな甘さとすっきりした苦味、やわらかい酸味が特徴
お召し上がり

イノシシのプルーン煮込み
◆熟した酸味と滋味豊かな旨味
イノシシの野性的な風味はワインやプルーン、トマトなどの酸味で緩和され、甘酸っぱい香りが漂います。
煮込んだイノシシの肉質は柔らかく、繊維がサクッとほぐれ、滋味豊かな旨みとコクがあります。ゼラチン状になった脂身の甘みがアクセントになります。
プルーンの果肉は煮崩れる寸前で、トロリとした食感があり、自然の甘味と酸味が濃厚です。
プルーンをソースの中からから見つけ出し、フォークとナイフの先で小分けにして、イノシシの肉に巻きつけるように絡めて食べると、より美味しくいただけます。

イノシシのプルーン煮込み
お飲物

赤ワイン「ガッティナーラ・アンツィヴィーノ」
銘柄/ガッティナーラ・アンツィヴィーノ
ワイナリー/アンツィヴィーノ
生産地/イタリア北部ピエモンテ州
ぶどう種/ネッピオーロ100%
生産年/2009年
◆スパイシーで骨太な辛口
煮込みソースのワインやプルーンの甘酸っぱい香りに包まれるうちに、類は友を呼ぶ作用で赤ワインが飲みたくなります。
しかし、果実味が豊かな赤ワインを合わせると味が似ています。そこで、スパイシーな辛口赤ワインをおすすめします。
こちらの赤ワインの香りは、ドライフルーツなどの熟した果実香に針葉樹やレザー、シガー、オークなどのニュアンスが複雑に混ざり、煮込みソースよりもスパイシーで重めの印象です。
味わいはシャープな酸味と骨太な辛口が際立ちます。イノシシなど、ジビエ料理の野性味に合う力強さです。

赤ワイン「ガッティナーラ・アンツィヴィーノ」とイノシシのプルーン煮込み
6.モンテビアンコ

モンテビアンコ
メニューについて
◆ヨーロッパの雪山讃歌
イタリアとフランスの国境にまたがるヨーロッパアルプスの最高峰は「白い山」と呼ばれ、イタリア語ではモンテ・ビアンコ、フランス語ではモン・ブランで表されます。
どちらの国にも「白い山」に見たてたお菓子があります。材料は栗を中心にして、ほとんど同じながら、国によって造形のアプローチがちがいます。
イタリア式は「白い山」の見え方に近く、フランス式は「栗ソバ」を積み上げ、高い山を象徴します。

ケーキの台座にするメレンゲをオーブンで焼く
お召し上がり

モンテビアンコ
◆栗の甘さも最高峰
イタリア式の「モンテビアンコ」はメレンゲの台座にスポンジケーキを乗せ、その上に栗の甘煮を置き、栗のペーストをソバ状にしたもので包み、生クリームを乗せて仕上げます。
下の茶色が土、上の白が山頂の雪を表します。
栗の甘煮と栗のペーストはイタリア製のものを使用します。
そのままだと甘すぎるので、栗のペーストはココアパウダーとラム酒で深みとコクを加えています。生クリームはあえて砂糖を入れず、全体のバランスを取ります。
それぞれの材料をフォークで混ぜ合わせ、栗の甘味と舌ざわりを楽しみます。

モンテビアンコ
7.モンブラン

モンブラン
メニューについて
◆日本でお馴染みの形
フランス式の「モンブラン」は、戦後の日本で発達した欧風菓子店とともに広がり、昭和から平成を通して、多くの人々に愛されてきました。
純粋なイタリアンではありませんが、今回の秋の収穫祭ではレジェンドにリスペクトして、特別に登場します。
材料と味はモンテビアンコと同じで、山の積み方を変えたものです。見た目のお好みで選び分け、秋らしいデザートとしてお楽しみください。

モンテビアンコとモンブラン
いつもご利用いただき、誠にありがとうございます。
今宵も、ラ・ビスボッチャのディナーで、楽しいひと時をお過ごしください。
