季節のおすすめメニュー7月

RECOMMENDED SEASONAL MENU 2021 JULY

コラム『味と技』第92回

夏を先どり

7月は、例年末頃に梅雨が明け、夏本番を迎えます。

食材は早くも夏の旬菜がそろいぶみです。

そんな旬菜をたっぷりつかい、夏を先どりするメニューを14品集めておすすめします。

スパゲットーニを袋から取り出す料理人・高部孝太

メニュー編集・調理/料理人・高部孝太

監修・調理/料理長・井上裕基 副料理長・露詰まみ

写真・文/ライター 織田城司
Menu editing・Cooking by Kouta Takabe 
Supervised by Yuuki Inoue  Mami Tsuyuzume  
Photo・Text  by George Oda

⚫︎前菜

1.ブラータチーズとシャインマスカットのサラダ

ブラータチーズとシャインマスカットのサラダ

メニューについて

ブラータチーズのサラダでめぐる旬菜の歳時記シリーズ。

7月は、シャインマスカットと合わせます。

シャインマスカットは山梨県産を使用

◆ブラータチーズとは

ブラータチーズは、モッツアレッラチーズと同じフレッシュチーズの仲間です。

袋状にしたモッツアレッラチーズの中に、とろ〜りとした「ストラッチャテッラ」というチーズを詰めて封をする、手の込んだものです。

ブラータとはイタリア語で「バターのような」という意味です。バターのような風味と、ミルキーな甘みがあることが由来です。

「ディ・ステファノ」のブラータチーズ

◆「ディ・ステファノ」のブラータチーズ

「ディ・ステファノ」社は、イタリア南部プーリア州の親子2代のチーズ職人がアメリカに渡り、カリフォルニア州で生産するチーズメーカーです。

同地の乳牛「ハッピー・カウ」のミルクを使用。干草や穀類、フルーツなど、バランスのとれたエサを与えられ、自由に放牧されて育った牛で、ミルクは濃厚な味わいです。

ひとくちにブラータチーズといっても、質感や味は一種類ではなく、豆腐のように、メーカーによって千差万別です。

「ディ・ステファノ」社のブラータチーズは、しっかりした質感と濃厚な味わいが特徴です。

外側の皮は薄くて柔らかく、なかのとろ〜りとした「ストラッチャテッラ」と呼ばれるチーズは、クリーミーでありながら、水っぽくなく、もっちりとして、しっかりした粘りがあります。

皮と中身の質感に差はほとんどなく、一体感があります。味わいはバターのような風味とミルキーな甘みが濃厚です。

「ディ・ステファノ」のブラータチーズが購入できる通販サイトのリンクはこちら→「THE FOODS」

お召し上がり

ブラータチーズとシャインマスカットのサラダ

◆きわだつ爽やかな甘み

シャインマスカットは薄い皮のパリパリした食感と、みずみずしい果肉のシャキシャキした食感が心地よい。

フルーティな香りが高く、味わいは爽やかな甘みが凝縮しています。

ブラータチーズのクリーミーな味わいと相性がよく、振りかけたエキストラヴァージン・オリーブオイルと黒コショウが、味にアクセントをつけて引き締めます。

ブラータチーズとシャインマスカットのサラダ

ブラータチーズとシャインマスカットのサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

2.ブラータチーズと焼きパイナップルのサラダ

ブラータチーズと焼きパイナップルのサラダ

メニューについて

ブラータチーズのサラダでめぐる旬菜の歳時記シリーズ。

7月のもうひとつの旬菜はパイナップル。炭火で焼いて甘みを凝縮します。

調理

パイナップルは台湾産を使用

パイナップルの上下を切り落とし、半分に切り、まな板に立て、回しながら皮を切り落としていく

パイナップルの果肉を炭火で焼く

反対側からも焼く

炭は火持がよく、灰が少ないオガ炭の「五香備長炭」を使用

食べやすい大きさにカットする

盛り付けたブラータチーズにエキストラヴァージン・オリーブオイルと黒コショウを振りかけて仕上げる

お召し上がり

ブラータチーズと焼きパイナップルのサラダ

◆甘香ばしさをまろやかに

炭火で焼いたパイナップルは、虎目がワイルドで、甘香ばしさが濃厚です。

ブラータチーズと一緒に食べると、ブラータチーズのミルキーな風味とクリーミーな旨みが、パイナップルの濃厚な味をまろやかに包み、思いがけないバランスにワインがすすみます。

ブラータチーズと焼きパイナップルのサラダ

ブラータチーズと焼きパイナップルのサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

3.稚鮎とヤリイカのフリット

稚鮎とヤリイカのフリット

メニューについて

◆人気定番の夏味

1993年の創業以来続ける人気定番「ヤリイカのフライ」。

7月は旬の稚鮎を加え、美味しさを広げておすすめします。

調理

稚鮎は千葉県産を使用

稚鮎にセモリナ粉をつける

稚鮎を揚げる

ヤリイカは福岡県産を使用

ヤリイカに薄力粉をつける

ヤリイカを氷水にくぐらせる。水と油の反発を利用して、衣を薄く、カリッと揚げる。その一方で、具を冷やすことで、加熱をおさえ、柔らかさを残す

ヤリイカを揚げる。揚げる量は少ないが、泡がフライヤーいっぱいに広がる

ザルでフリットを集める

ザルについた油を断ち切るため、フリットを空中で別のザルに放り、さらに油を切る。軽く塩を振って味をつける

キッチンペーパーでフリットの余分な油を吸収してカラッと仕上げる

お召し上がり

稚鮎とヤリイカのフリット

◆魚介味のグラデーションが広がる

ヤリイカは独特の揚げ方で、外はカリッと、なかはしっとり柔らかい。

イカの香ばしさや旨みが繊細に広がります。

稚鮎とヤリイカのフリット

稚鮎は皮がサクッと香ばしく、若々しい旨みがあり、内臓のほろ苦さがアクセントになります。

ヤリイカの美味しさを、同じ魚介系の味のなかで広げて楽しみます。

稚鮎とヤリイカのフリット

ラ・ビスボッチャ店内

4.ズッキーニのフリット

ズッキーニのフリット

メニューについて

◆食前酒に合うおつまみ

ビールやスパークリングワインなど、夏は泡もの系の食前酒が、特に美味しく感じます。

そんな食前酒に合うおつまみとして、ナポリの郷土料理、ズッキーニのフリットをおすすめします。

調理

ズッキーニは千葉県産を使用

ズッキーニを縦方向から薄切りにする

薄切りにしたズッキーニを千切りにする

ズッキーニに薄力粉をつける。衣をしっかりつけるため、しばらく置いてズッキーニの水分を薄力粉に浸透させる

ズッキーニを揚げる

ザルでフリットを集める

ザルについた油を断ち切るため、フリットを空中で別のザルに放り、さらに油を切る。軽く塩を振って味をつける

キッチンペーパーでフリットの余分な油を吸収してカラッと仕上げる

お召し上がり

ズッキーニのフリット

◆軽くて繊細な味わい

ズッキーニのフリットは軽くて繊細な味わい。

白っぽいスティックは、ほのかな甘みと旨みがあり、グリーンのスティックは、皮のほろ苦さがあり、繊細さのなかに飽きない奥ゆきがあります。

食前酒に合わせるほか、メインの料理を待つ間の、軽めのおつまみとしてもおすすめです。

ズッキーニのフリット

ズッキーニのフリット

ラ・ビスボッチャ店内

5.万願寺とうがらしの炭火焼き

万願寺とうがらしの炭火焼き

メニューについて

◆和の旬菜をシンプルなイタリアンで

5月から9月が旬になる万願寺とうがらし。

その美味しさを、塩とオリーブオイルをつけて炭火で焼く、シンプルなイタリアンできわ立たせた前菜です。

調理

万願寺とうがらしは長野県産を使用

万願寺とうがらしに塩とオリーブオイルを振りかけて下味をつける

万願寺とうがらしを炭火で焼く

反対側からも焼く

焼き上がった万願寺とうがらしを皿に盛り付け、エキストラヴァージン・オリーブオイルを振りかけて仕上げる

お召し上がり

万願寺とうがらしの炭火焼き

◆炭火で格別の美味しさに

炭火でしっかり焼いた万願寺とうがらしは、焼き目が香ばしく、厚い果肉は柔らかくなり、甘みや旨みが凝縮。辛みはほとんどなく、ほろ苦さはマイルドです。

食前酒に合うのはもちろん、味の広さから、メインの魚料理や肉料理の付け合わせにもおすすめです。

万願寺とうがらしの炭火焼き

万願寺とうがらしの炭火焼き

ラ・ビスボッチャ店内

6.クラテッロ

クラテッロ

メニューについて

◆霧が育む、濃厚な味わいの生ハム

イタリアの生ハムのなかでもクラテッロは、奥ゆかしい香りと、複雑で変化に富む味わいから、「幻の生ハム」や「生ハムの王様」とよばれ、古くから美食家を魅了してきました。

希少なクラテッロをイタリアから取り寄せ、注文をいただいてからスライス。本場の極上の味を再現します。

イタリアから取り寄せたクラテッロ。本場の味と風味にこだわり、スライスではなく、熟成された塊肉のままで仕入れ、注文をいただいてからスライス。クラテッロづくりの名手とされる「アンティカ・コルテ・パラヴィナ」社製を使用

◆クラテッロとは

クラテッロは、豚のお尻の肉を熟成させてつくる、イタリアの伝統的な生ハムのひとつです。

◆クラテッロの産地

クラテッロは、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州パルマ県郊外のポー川流域のジベッロ周辺8村のみでつくられます。

◆クラテッロの生産

豚のモモ肉のなかでも一番柔らかくて美味しい希少な尻部だけを取り出します。皮がない部位ゆえに、豚の膀胱の皮に包み、紐で縛って吊るし、熟成させます。

霧深いポー川流域の湿気が育むカビが、皮の表面に付着して、なかの肉の味を深めます。

熟成期間は平均14ヶ月ほどで、冬の霧と夏の蒸し暑さを受けて熟成が極まります。

◆アンティカ・コルテ・パラヴィナ社のクラテッロ

アンティカ・コルテ・パラヴィナ社は、パルマから車で1時間ほどの郊外にあります。1320年に建築された領主の館をリノベーションしたオーベルジュ(郊外や地方にある宿泊施設を備えたレストラン)です。

敷地内にクラテッロを生産するための養豚場や貯蔵庫を併設。レストランには、世界中からクラテッロ目当ての美食家が集います。

調理

クラテッロ表面のカビを取り除くため、布で包み、白ワインを注ぐ

クラテッロをラップで包み、冷蔵庫で24時間保存し、カビにワインを浸透させる

外側の紐を取り除く

スライスしやすいように半分にカットしたクラテッロの断面。色の濃い部分と淡い部分はテクスチャーや味がちがい、複雑で深い味わいを生む

表面のかたい部分は取り除く

注文をいただいてからミートスライサーでスライス。風味が高く、柔らかい状態でテーブルにお届け。バターを添えるのが地元の食べ方でおすすめ

お召し上がり

クラテッロ

◆奥深いコクが広がる

スライスしたてのクラテッロは、色の淡い中心部はしっとりと柔らかかく、塩気はマイルドで、甘みや旨みが広がります。

色の濃い部分はややドライで、しっかりした旨みとコクが広がります。

クラテッロ

総合的には、パルマ産のモモ肉を使った生ハムよりも、コクが深い印象です。

複雑に絡み合う、豊かな味わいの余韻を堪能します。

クラテッロ

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎パスタ

7.海の幸ソースのロリギッタス

海の幸ソースのロリギッタス

メニューについて

◆サルデーニャ島の郷土パスタ

夏に美味しく感じる南イタリアのパスタ。

7月は、サルデーニャ島の郷土パスタ、ロリギッタスをおすすめします。

汁気が多いソースと相性がいいことから、海の幸を集めて合わせます。

調理

◆ロリギッタスを製麺する

ロリギッタス用の生地を練り、素材を馴染ませるためビニール袋に入れて30分ほど休ませる。材料は卵白、小麦粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩

生地を細長くカットする

生地を紐状に細長く伸ばす

紐状に伸ばした生地を指先に巻き、二重リングをつくる。巻き終わりをちぎってつなげる

二重リングをひねり、縄目をつくる

出来上がったロリギッタスにセモリナ粉を振りかけ、くっつき防止の打ち粉にする

◆ソースをつくる

海の幸ソースに使う海鮮。左から北海道産ホタテ、愛知県産アサリ、ニュージーランド産手長エビ、三重県産ムール貝、千葉県産ハマグリ、福岡県産ヤリイカ

フライパンにオリーブオイル、ニンニクのみじん切り、赤唐辛子、手長エビを入れてから加熱。オイルに味と香りをつける

ヤリイカとホタテを入れる

白ワインを入れ、アルコールをとばし、味と香りをつける

自家製野菜のダシ汁を入れる。貝類から濃厚なダシが出るため、ダシ汁はあえてさっぱりした野菜のダシ汁を使う

自家製トマトソースを入れる

貝類を入れる

蒸し焼きにする

蒸し焼きで貝が開いたらソースの出来上がり

貝類と手長エビはフライパンから取り除き、パスタを皿に盛り付けてからのせる

◆仕上げる

ロリギッタスを茹でる。茹で時間3分

茹で上がったロリギッタスをソースのフライパンに投入

ロリギッタスをソースと和える

イタリアンパセリのみじん切りとエキストラヴァージン・オリーブオイルを加えて仕上げる

お召し上がり

海の幸ソースのロリギッタス

◆海の幸の旨みをたっぷり味わう

ロリギッタスはモッチリとした歯ごたえで、縄目の溝にはソースがたっぷり絡んでいます。

ソースは海鮮から出る濃厚なエキスを意識し、トマトソースと野菜のダシ汁をベースにさっぱりと仕上がり、夏らしい味わいです。

海の幸ソースのロリギッタス

手長エビは香ばしい旨み、ムール貝はクリーミーな旨み、ホタテはコク深い旨み、ハマグリはまろやかな旨み、アサリは濃い旨みがあります。

海の幸の豊かな味わいに、サルデーニャ島のバカンス気分を楽しみます。

海の幸ソースのロリギッタス

ラ・ビスボッチャ店内

8.花ズッキーニとラルドのスパゲットーニ

花ズッキーニとラルドのスパゲットーニ

メニューについて

◆太麺好きの心をつかむシンプルパスタ

主に南イタリアで一般的な極太麺、スパゲットーニ。

ラルドとローズマリーをソースに合わせるシンプルパスタが定番メニューです。

夏向けに、花が大きくなるズッキーニを加え、爽やかさを増しておすすめします。

調理

◆下ごしらえ

花ズッキーニは千葉県産を使用

ローズマリーは長野県産を使用

花ズッキーニは花と茎を切り分け、茎は縦長の薄切りにする。ローズマリーはみじん切りにする

ラルドは豚の背脂を塩漬けにして熟成させた食肉加工品。イタリア中部トスカーナ州の「サヴィーニ」社製を使用。高級ブランド豚「チンタセネーゼ」を使い、柔らかさと深い味わいに優れる

スライス用に形を整えたラルドの断面

ミートスライサーで薄くスライスしたラルド

◆ソースをつくる

フライパンにオリーブオイル、ニンニクのみじん切り、赤唐辛子を入れて加熱。オイルに味と香りをつける

ズッキーニとローズマリーを入れ、炒める

自家製鶏のダシ汁を入れる

ラルドを入れる

ラルドをゴムベラで押しつぶし、しみ出すクリーミーな油をソースに加える

出来上がったソース

◆仕上げる

スパゲットーニはイタリア南部の乾麺の特産地、カンパニア州で1812年に創業した「ヴィチドーミニ」社製を使用。昔ながらの低温長時間乾燥で小麦の風味がたっぷり。吊り下げ乾燥のU字型を残す素朴さがイタリアらしい。通常のスパゲッティの4倍の長さがあるため、好みの長さに折って茹でる

スパゲットーニを折る

スパゲットーニを茹でる。茹で時間18分

茹で上がったスパゲットーニをソースのフライパンに投入

スパゲットーニをソースと和える

スパゲットーニを皿に盛り付けてからズッキーニの花をのせ、ペコリーノロマーノチーズを振りかけて仕上げる

お召し上がり

花ズッキーニとラルドのスパゲットーニ

◆太麺の美味しさをシンプルに味わう

太麺に、強い味のソースやゴロゴロした具材を合わせる場合もあるが、今回は、太麺そのものの美味しさをシンプルにじっくり味わいます。

長時間ゆでたスパゲットーニは乾麺ながら、モチモチの食感がしっかりして、小麦の風味が濃厚で、パスタ本来の味わいをたっぷり堪能します。

花ズッキーニとラルドのスパゲットーニ

ラルドやペコリーノチーズに含まれる、最低限の旨みや塩味、とろみが、太麺の味わいをシンプルにすすめます。

花ズッキーニのシャキシャキした食感や、ローズマリーの爽やかな風味が、太麺一本勝負の邪魔をしない、夏らしいアクセントです。

花ズッキーニとラルドのスパゲットーニ

ラ・ビスボッチャ店内

9.サマートリュフのタヤリン

サマートリュフのタヤリン

メニューについて

◆芳醇な香りを堪能

イタリア北部ピエモンテ州が発祥とされる極細麺、タヤリン。

濃厚な卵の風味と、とろ〜りとバターソースになじむ食感は、トリュフと相性抜群です。

ソースに加えた生ハムの細切りの塩味と旨みがダシになります。

サマートリュフは8月末頃まで出回り、芳醇な香りを堪能します。

調理

タヤリンは柔らかさと風味の豊さにこだわり、自家製生パスタでつくる。材料は卵黄、水、オリーブオイル、小麦粉、セモリナ粉、塩

フライパンに無塩バター、生ハムのスライスの細切り、自家製トリュフペースト、自家製野菜のダシ汁を入れ、加熱してソースをつくる

茹で上がったタヤリンをソースのフライパンに投入

タヤリンをソースと和え、パルミザンチーズを入れ、風味ととろみを加える

皿に盛り付け、サマートリュフを振りかけて仕上げる

お召し上がり

サマートリュフのタヤリン

◆マイルドなトリュフに感じる夏

サマートリュフの香りは、秋冬ものに比べるとおだやかです。

その分、極細麺、タヤリンの卵の風味や、バターソースの旨みとバランスがよく、とろける調和をじっくり味わうことができます。

「これもひとつの夏味」と思う余韻に浸ります。

サマートリュフのタヤリン

サマートリュフのタヤリン

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎メイン

10.ウナギの炭火焼き

ウナギの炭火焼き

メニューについて

◆イタリア味で仕上げる白焼き

夏になると食べたくなるウナギ。

豊かな山河に恵まれたイタリアでもウナギがたくさんとれ、さまざまな料理があります。

なかでも、もっともシンプルな、塩とオリーブオイルのみで焼く炭火焼きです。

日本人の舌に合うように、関東風の蒸しを入れ、ふっくらと仕上げます。

調理

◆炭火で焼く

ウナギ一尾を炭火で焼く。関東風に蒸しを入れるが、蒸す前に一度焼きを入れることで、平らな見た目のきれいさを固定し、ウナギの臭みを軽減する

反対側も焼く

焼き具合をチェックしながら再度皮目を焼く

天板に水をはり、網を置き、ウナギをのせ、オーブンで蒸す

蒸したウナギを半分にカットする

蒸したウナギを皮目から炭火で焼く

反転させて身を焼く

反転させて身の焼き加減を確認する

再度反転させ、焼き加減を調節する

お召し上がり

ウナギの炭火焼き

◆香ばしく、心地よい塩味

ウナギの表面は、脂分が炭火の効果で程よく沸騰し、揚げ物のようにカリッと焼き上がり、しっかり馴染んだ塩味がシャープに効いて、心地よく感じます。

身はふっくらと柔らかく、オリーブオイルがヌメリとした舌触りを増し、まろやかな旨みを感じます。

ウナギの炭火焼き

日本のウナギの白焼きと比べると、オリーブオイルを使っている分、洋風の焼き魚のような風味の仕上がりです。

イタリアンパセリの青々しさが爽やかなアクセントです。

ラ・ビスボッチャ店内

11.ウナギの炭火焼き バルサミコソース

ウナギの炭火焼き バルサミコソース

メニューについて

◆甘辛タレをつけて焼くウナギ

古代ローマでは、ウナギに甘辛ソースを合わせるレシピがあったそうです。

イタリアと日本で、ウナギの食べ方に時空を超えた共通点があることに興味がわきます。

そんな古代ローマ風の甘辛タレをイメージしてバルサミコソースをつくり、ウナギにつけて焼く炭火焼きです。

調理

◆バルサミコソースをつくる

ソースの甘みに使う蜂蜜を鍋底で加熱

バルサミコ酢や魚醤を入れる

蜂蜜に加える調味料。(左)「レオナルディ」社のバルサミコ酢。イタリア北部エミリア・ロマーニャ州の酢の産地、モデナで1871年に創業。ドロッとして甘みが強い。(中)「グルッポ・フィーニ」社のバルサミコ酢。同じくモデナで1912年に創業。サラッとして酸味が強い。(右)塩辛さと魚の風味が特徴の魚醤。イタリア南部カンパニア州アマルフィ海岸の漁村チェターラの特産品

ソースの材料を煮詰める

ティムールペッパーを入れ、スパイシーな香りをつけてソースの出来上がり。ティムールペッパーは、世界の珍しいスパイスを発掘するフランスの「テール・エグゾチック」社製を使用

「テール・エクゾチック」社の「世界のスパイス10種セット」のボックスセット

◆「テール・エグゾチック」社について

「テール・エグゾチック」社はフランスのスパイス専門店で、世界中を旅しながら、その地でしか味わえなかった珍しい調味料を発掘して紹介。

希少なスパイスを使った料理の味と香りの新体験に感じる、地球の豊さや世界を旅する気分を提案している。

ボックスセット内部。厳選された世界の希少なコショウやサンショウ、木の実10種とすり鉢を内蔵する

◆ティムールペッパーとは

ティムールペッパーは、ネパールのヒマラヤ山脈の標高2500m付近で収穫される希少なサンショウの実を乾燥させたスパイスです。

サンショウは「ミカン科サンショウ属」の木の実で、世界中に250種ほどあるとされています。

ティムールペッパーは、柑橘系のフルーティーな香りが高く、木材系の香りもあり、深みが広がり、辛さは控えめです。

日本で自生するサンショウとはひと味ちがい、異国情緒を感じます。

「テール・エグゾチック」社のティムールペッパー

◆ソースをつけて炭火で焼く

白焼きと同じく、焼き→蒸しを加えたウナギを炭火焼きの焼き網にのせ、ソースを塗って焼く

炭火の上に滴り落ちたソースが炭火で燃え、立ち登る煙が燻製効果になってウナギに香ばしい香りをつける

ウナギを反転させ、皮目もソースを塗って焼く

反転させ、身の焼き加減を見る

再度反転を加え、焼き加減を調整して仕上げる

お召し上がり

ウナギの炭火焼き バルサミコソース

◆さっぱりとした甘辛味

見た目は日本の蒲焼に似た濃い茶色ですが、味わいはさっぱりとした甘辛です。

煮詰めたソースは、程よく酸味が飛んだバルサミコ酢の効果でサラッと仕上がり、甘さも控えめです。

ウナギの炭火焼き バルサミコソース

日本の蒲焼のタレのように、甘さが重たくなる濃厚さはなく、軽めで繊細な印象です。

イタリアやネパールの調味料に感じる、異国情緒に旅情を感じて楽しみます。

ウナギの炭火焼き バルサミコソース

ラ・ビスボッチャ店内

⚫︎ドルチェ

12.ヨーグルトとマスカルポーネチーズのジェラート

ヨーグルトとマスカルポーネチーズのジェラート

メニューについて

◆夏味のジェラート

ジェラート王国イタリア。

エレガントなスーツ姿のビジネスマンも、ランチの後はジェラートをペロペロ舐めながら歩くのが習慣です。

大人を魅了する、イタリアらしい濃厚なジェラートの夏味です。

マスカルポーネチーズは生クリームからつくるクリーム状のチーズ。濃厚なミルクの風味とコク、粘りのある舌ざわりにこだわり、イタリア北部ロンバルディア州で1900年に創業した乳製品メーカー「ザネッティ」社製を使用

お召し上がり

ヨーグルトとマスカルポーネチーズのジェラート

◆爽やかで濃厚なハーモニー

ジェラートを口に入れると、ヨーグルトの風味がふんわりと香り、爽やかな涼感があります。

その後に、マスカルポーネチーズの濃厚なミルクの風味と重い舌ざわりがガツンときます。

乳製品のハーモニーに、冷たいだけではない、奥深い余韻を感じます。

ヨーグルトとマスカルポーネチーズのジェラート

ヨーグルトとマスカルポーネチーズのジェラート

ラ・ビスボッチャ店内

13.バナナのタルト

バナナのタルト

メニューについて

タルトでめぐる旬菜の歳時記シリーズ。

7月はバナナをトッピングします。

調理

タルト生地の上にアーモンド味の生地を重ねる

バナナをカットする

バナナは赤道付近のエクアドル産を使用。糖度が高く果肉は程よくねっとり。

カットしたバナナをラム酒に浸して香りをつける

ラム酒は香りが高いフランス産の「ネグリタ」ブランドを使用

ラム酒で香りをつけたバナナをタルト生地にのせる

オーブンで30分焼く

焼き上がったタルトを冷ます

カスタードクリームを重ねる

バナナを重ねる

溶かしたチョコレートを重ねる

バナナの房に見立てた生クリームを重ねる

ピスタチオのフレークを振りかけて完成

お召し上がり

バナナのタルト

◆バナナの多彩な美味しさを満喫

生のバナナ、焼いたバナナ、クリームと合わせたバナナ、チョコレートと合わせたバナナ。

バナナの多彩な美味しさを一度に味わう贅沢なタルトです。

たっぷりと盛り上がったクリーム、バナナの重層、タルト生地のボリューム感のバランスも絶妙で、バナナの甘みと香りを満喫します。

バナナのタルト

バナナのタルト

ラ・ビスボッチャ店内

14.ブルーベリーのタルト

ブルーベリーのタルト

メニューについて

タルトでめぐる旬菜の歳時記シリーズ。

7月の、もうひとつのフルーツはブルーベリーです。

ブルーベリーは長野県産を使用

お召し上がり

ブルーベリーのタルト

◆奥深い甘酸っぱさ

ブルーベリーを噛みしめると、薄い皮がパチンと弾け、なかから柔らかい果肉がトロッと出てきます。

味わいは酸味が濃い甘酸っぱさで、ほのかな渋みも感じます。

奥深い甘酸っぱさを甘いクリームが引き立て、夏に美味しいスッキリした後味です。

ブルーベリーのタルト

ブルーベリーのタルト

7月のディナーは、

「ラ・ビスボッチャ」の季節のおすすめメニューで、

夏の先どりをお楽しみください。