季節のおすすめメニュー4月 2024

RECOMMENDED SEASONAL MENU APRIL 2024

コラム『味と技』第137回

そよ風にさそわれ

4月は、新緑のなかで、新生活をはじめた人々が街にあふれ、そよ風がフレッシュに感じます。

そんな季節に美味しく感じるメニューを、16品おすすめします。

監修/料理長・井上裕基

写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue    
Photo・Text  by George Oda

前菜

1.ブラータチーズと甘夏

ブラータチーズと甘夏

メニューについて

ブラータチーズと味わう、季節の食材シリーズです。

4月の一品目は、甘夏を合わせておすすめします。

メニュー提案・撮影調理 料理人・村澤大

甘夏は熊本県産を使用

ブラータチーズは、イタリア南部プーリア州出身のチーズ職人が、アメリカ・カリフォルニア州でつくる「ディ・ステファノ」社製を使用。放牧牛のミルクを使い、とろりとした食感で、ミルキーな風味と甘み、旨みが濃厚

お召し上がり

ブラータチーズと甘夏

甘夏のジューシーな果汁はサラッとして、爽やかな酸味は、4月の陽気に心地よく感じます。

ブラータチーズのミルキーな甘みが、甘夏の美味しさを引き立てます。

ブラータチーズと甘夏

ブラータチーズと甘夏

ラ・ビスボッチャ店内

2.ブラータチーズとマンゴー

ブラータチーズとマンゴー

メニューについて

ブラータチーズと味わう、季節の食材シリーズです。

4月の二品目は、マンゴーを合わせておすすめします。

メニュー提案・撮影調理 料理人・石川凌

マンゴーは南米ペルー産を使用

お召し上がり

ブラータチーズとマンゴー

マンゴーは、フルーティな香りが高く、甘みが強く、ほどよい酸味があります。

ブラータチーズのミルキーな甘みが、マンゴーの美味しさを引き立てます。

ブラータチーズとマンゴー

ブラータチーズとマンゴ

ラ・ビスボッチャ店内

3.ウサギのテリーヌ

ウサギのテリーヌ

メニューについて

柔らかく、さっぱりしたウサギの肉の美味しさを、春の前菜におすすめします。

テリーヌに仕立て、味わいを深めました。

調理

メニュー提案・撮影調理 副料理長・高部孝太

ウサギの肉はイタリア産のモモ肉を使用

ウサギに合わせる肉は、国産の豚ネック。豚の頬から首にかけての希少な部位で、脂肪の霜降りが美しいことからトントロとも呼ばれている

ウサギのモモ肉を骨から外し、細かくカットする。豚ネックも細かくカットする

カットしたウサギのモモ肉と豚ネックをボウルに入れる。ウサギからとった出汁、トリュフペースト、黒コショウで味をつけ、テリーヌ型に入れる

テリーヌ型は、焦げつき防止のアルミホイルを挟み、フタをする。テリーヌ型はオーブンの湯煎で加熱する

オーブンで加熱する

加熱後、冷やし固めたテリーヌをカットする。黒トリュフやマイクロハーブと盛り付けて仕上げる

黒トリュフはイタリア産を使用

マイクロハーブは東京都大田区の「江戸前ハーブ」社製を使用

お召し上がり

ウサギのテリーヌ

テリーヌのウサギや豚の肉質は、ほろっと崩れる柔らかさです。味わいは、旨みとコクが落ち着いています。

冷えてゼリー状に固まった煮汁は、肉の出汁が効いて、味わいが凝縮しています。

おつまみ感が強く、ワインやパンがすすみます。

ウサギのテリーヌ

ラ・ビスボッチャ店内

4.初ガツオの炙りカルパッチョ

初ガツオの炙りカルパッチョ

メニューについて

4月のカルパッチョは、春から初夏にかけて美味しくなる、初ガツオをおすすめします。

表面を軽く炙って、香ばしさをアクセントにしました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・上田諒

初ガツオの切身に、塩とオリーブオイルで下味をつける。初ガツオは愛媛県産を使用

初ガツオの表面を炭火で炙り、炭火香をつける

炙った初ガツオを冷やし、カットする。味をつけた赤玉ネギ、マイクロハーブ、ビーツのパウダーと盛り付ける

赤玉ネギは神奈川県産を使用

ビーツのパウダーは1967年にスペインのカタルーニャ地方で創業した、料理や製菓用の素材メーカー「ソサ」社製

お召し上がり

初ガツオの炙りカルパッチョ

初ガツオの食感は、ふっくら、もっちりして、食べごたえがあります。

身の脂はさっぱりして、旨みは繊細。炙った炭火香がアクセントです。

春から初夏にかけて、ちょうど美味しく感じる、上品な味わいです。

初ガツオの炙りカルパッチョ

初ガツオの炙りカルパッチョ

ラ・ビスボッチャ店内

5.マダコと菜の花のフリット

マダコと菜の花のフリット

メニューについて

イタリア式のカラッと軽い揚げ物、フリット。

4月は、マダコと菜の花を合わせておすすめします。マダコの衣に混ぜた青のりの香りが食欲をそそります。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・村澤大

マダコは茨城県産を使用

マダコを茹で、食べやすい大きさにカットする

マダコ用の衣をつくる。生地は小麦粉、イースト、水、塩、砂糖に、静岡県産の青のりを加え、混ぜ合わせる

タコに衣をつける

タコをサラダ油で揚げる

菜の花に小麦粉をつける。菜の花は千葉県産を使用

小麦粉をつけた菜の花を氷水に浸け、引き上げる

菜の花をサラダ油で揚げる。水と油の反発による発泡性を利用して軽めに揚げる。揚げた具材は余分な油を落とし、塩で味をつけて仕上げる

お召し上がり

マダコと菜の花のフリット

マダコは弾力ある食感を楽しみます。揚げたタコと青のりの香りが合わさり、磯の香ばしさが極まります。

サクサクに揚がった菜の花の青々しさがコントラストになります。

マダコと菜の花のフリット

マダコと菜の花のフリット

ラ・ビスボッチャ店内

6.ホワイトアスパラガスのビスマルク風

ホワイトアスパラガスのビスマルク風

メニューについて

中世の頃から、ヨーロッパの春の風物詩とされてきたホワイトアスパラガス。

シンプルに茹で、美味しさを引き出し、相性のいいバターや卵と合わせておすすめします。

イタリア料理で目玉焼きをのせるとビスマルク風と表現するのは、19世紀、ドイツを統一するために、富国強兵を推進する「鉄血政策」を提唱した首相、ビスマルクの名に由来します。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・勝又脩

◆ホワイトアスパラガスの下ごしらえ

ホワイトアスパラガスはフレッシュタイプを使用。豊かな川と森が広がるフランス中部の特産地、ロワール地方産。中世の王族が好んで住み、世界遺産の古城が多く残る観光地としても有名。写真は10kg。最盛期は毎週30〜40kg仕入れる

ホワイトアスパラガスの皮をむく。茎が湾曲しているため、皿などで台座をつくり、回しながら皮をむく

皮をむいたホワイトアスパラガスの集積

ホワイトアスパラガスの皮で出汁をつくる。

出汁をとった皮を取り除く

出汁にホワイトアスパラガスを投入

ホワイトアスパラガスを出汁で茹で、岩塩を入れながら下味をつける。食べる直前に再度茹でて仕上げるため、この段階では完全に茹でない。出汁にホワイトアスパラガスの味がついているので、茹でる本体の味の流失を防ぐことができる

下茹でしたホワイトアスパラガスを、保存するために冷ます

冷ましたホワイトアスパラガスを出汁に浸し、さらに味をなじませる

◆目玉焼きをつくる

フライパンにオリーブオイルを広げ卵を焼き、塩を振りかけて味をつける

卵は神奈川県産の「長寿卵」。卵黄がオレンジ色で味に深みとコクがあり、イタリアの卵の質に似ていることから使用

自家製鶏の出汁を入れ、フタをして蒸し焼きにし、味と風味をつける

◆仕上げる

注文をいただくと、下茹でしたホワイトアスパラガスを出汁で再度茹でる

温めた澄ましバターを敷き、茹でたホワイトアスパラガスを盛り付ける

澄ましバターは香りが高く、味があっさりしてホワイトアスパラガスとよく合う。澄ましバターはボウルの底を加熱してバターを溶かし、タンパク質を分離し、上澄みの乳脂肪だけを取り出してつくる

目玉焼きをトッピングし、パルメザンチーズを振りかけて仕上げる

お召し上がり

ホワイトアスパラガスのビスマルク風

茹で上がったホワイトアスパラガスは、半透明の乳白色が美しく、香りは青々しさと土のニュアンスがまろやかに漂います。

小さな穂先はとろける柔らかさで甘みがあり、太い茎はサクッとした食感で旨みがあり、やさしい味わいに春を感じて楽しみます。

ホワイトアスパラガスのビスマルク風

ホワイトアスパラガスの炭火焼き。ホワイトアスパラガスを塩味で下茹でし、炭火で焼き、エキストラヴァージン・オリーブオイルを振りかけて仕上げる。前菜や付け合わせなどに、お好みでお選びください

ラ・ビスボッチャ店内

●パスタ&リゾット

7.スパゲッティ・カルボナーラ うちゅうの夜明け卵

スパゲッティ・カルボナーラ うちゅうの夜明け卵

メニューについて

スパゲッティの定番、カルボナーラ。

4月は、京都産の高級ブランド卵「うちゅうの夜明け」と、ヨーロッパ産のチーズや豚肉熟成品を使い、濃厚な味わいに仕上げました。

京都産の高級ブランド卵「うちゅうの夜明け」

◆うちゅうの夜明け卵とは

「うちゅうの夜明け」は、2002年に京都府南丹波市で創業した株式会社バイタルフォース研究所が生産する高級ブランド卵です。

家族に食べさせたい、安心安全な卵がコンセプトです。京野菜や、遺伝子組み換え作物不使用の飼料、良質な湧水を与えた鶏を、メス100羽に対し、オス5羽以上を共に平飼いし、生産する有精卵です。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理長・井上裕基

◆卵液をつくる

ボウルに「うちゅうの夜明け」卵の全卵と卵黄を入れる

パルミジャーノ・レッジャーノを入れる

パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア北部エミリア・ロマーニャ州で1877年に創業した乳製品メーカーの老舗「アウリッキオ」社製。一年中干草のみを与えた牛の濃いミルクからつくるチーズは甘みと熟成感のバランスがよい。側面の認証刻印の2042のナンバリングはハイグレードの証。塊で仕入れ、自店で粉に挽く

黒コショウを加え、混ぜ合わせて卵液の出来上がり

◆仕上げる

グアンチャーレ(左:スペイン産)とパンチェッタ(右:フランス産)をカットする

フライパンにカットしたグアンチャーレ、パンチェッタ、オリーブオイルを入れて加熱する

グアンチャーレやパンチェッタから出る油をオリーブオイルと混ぜ出汁にする

自家製野菜の出汁を入れ、煮詰めてソースにする

スパゲッティを茹でる

スパゲッティはイタリア南部の乾麺の特産地、カンパニア州で1912年に創業した「ディ・マルティーノ」社製を使用。イタリア産小麦を100%使い、低温で長時間乾燥させた麺は小麦の風味が濃厚。直径は1.8㎜。太めで食べごたえがある

茹で上がったスパゲッティをソースのフライパンに投入

卵液を混ぜ合わせ、皿に盛る。ペコリーノチーズや黒コショウを振りかけて仕上げる

ペコリーノチーズは、羊乳からつくるチーズ。塩味とコクが豊かで、風味はすっきりしている。イタリアで牧羊が盛んな特産地、サルディーニャ島産。側面にペコリーノの認証刻印が見える

お召し上がり

スパゲッティ・カルボナーラ うちゅうの夜明け卵

カルボナーラの風味は、ヨーロッパのチーズや豚肉加工食品特有の強い熟成香が複雑に混ざり、奥深く広がります。

ソースは、「うちゅうの夜明け」卵が効いて、しっかりした質感とコクが極まり、濃厚な味わいです。

スパゲッティの小麦の風味との合わせが美味しく、飽きない味わいです。

スパゲッティ・カルボナーラ うちゅうの夜明け卵

スパゲッティ・カルボナーラ うちゅうの夜明け卵

ラ・ビスボッチャ店内

8.サザエとタケノコのフェットチーネ

サザエとタケノコのフェットチーネ

メニューについて

フェットチーネは、平麺を噛みしめると染み出す、ソースの出汁の美味しさが格別です。

4月は、サザエの味わいを効かせておすすめします。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・石川凌

◆ソースをつくる

サザエは長崎県産を使用

サザエを茹でる

サザエを殻から取り出し、肝を取り除き、身をカットする

サザエの肝を裏ごしして、ペースト状にする

フライパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切り、赤唐辛子を入れ、加熱する。サザエのペーストやアンチョビのペーストを入れ、味をつける

サザエの身、あらかじめ茹でたタケノコ、白ワイン、自家製魚の出汁を入れ、煮込んでソースの出来上がり

◆仕上げる

フェットチーネを茹でる。フェットチーネは自家製生パスタで製麺する。生地は全卵、卵黄、強力粉、セモリナ粉、オリーブオイル、塩を混ぜてつくる

茹で上がったフェットチーネをソースのフライパンに投入

イタリアンパセリにみじん切り、黒コショウを混ぜて仕上げる

お召し上がり

サザエとタケノコのフェットチーネ

サザエの身は、しっかりした食感で、噛みしめると、旨みや塩気が染み出してきます。

フェットチーネは、サザエの肝の出汁が効いたソースがしっかり染みています。

ザザエの美味しさを丸ごと楽しむ味わいを、タケノコが引き立てます。

サザエとタケノコのフェットチーネ

サザエとタケノコのフェットチーネ

ラ・ビスボッチャ店内

9.ソラ豆とシラスのスパゲッティ 春キャベツのソース

ソラ豆とシラスのスパゲッティ 春キャベツのソース

メニューについて

春の野菜をメインにした、優しい味わいのスパゲッティです。

釜揚げシラスの、ほのかな塩気をアクセントにしました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・萩原大揮

◆ソースをつくる

鹿児島県産のソラ豆を下茹でする

春キャベツは神奈川県産を使用

春キャベツを鍋に入れ、加熱し、蒸し焼きにする

蒸し焼きにした春キャベツをフードプロセッサーで撹拌し、ピューレ状にする

フライパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切り、赤唐辛子を入れて加熱。愛知県産の釜揚げシラスを加える

茹でたソラ豆とソラ豆の茹で汁、自家製魚の出汁を入れる

春キャベツのピューレを入れ、煮詰めてソースの出来上がり

◆仕上げる

スパゲッティを茹でる

茹で上がったスパゲッティをソースのフライパンに投入

イタリアンパセリのみじん切り、エキストラヴァージン・オリーブオイルを混ぜ合わせて仕上げる

お召し上がり

ソラ豆とシラスのスパゲッティ 春キャベツのソース

ソースのソラ豆や春キャベツは、しっかり火が入り、自然の甘みや旨みが繊細に広がり、優しい味わいです。

釜揚げシラスのほのかな塩気がアクセントになる、春味のパスタです。

ソラ豆とシラスのスパゲッティ 春キャベツのソース

ソラ豆とシラスのスパゲッティ 春キャベツのソース

ラ・ビスボッチャ店内

10.和牛ラグーと新ゴボウのストラッシナーティ スパイス風味

和牛ラグーと新ゴボウのストラッシナーティ スパイス風味

メニューについて

ストラッシナーティは、イタリア南部の郷土パスタが発祥です。

ストラッシナーレ(引きずる)が名称の由来。文字通り、生地をナイフで引きずりながら製麺します。

4月は、和牛の肉がゴロっと入ったソースを合わせ、スパイシーな風味で仕上げました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・上田諒

◆和牛ラグーをつくる

フライパンにオリーブオイルを広げ、カットした和牛の表面に焼き色をつけ、旨みを封じ込める。和牛は鹿児島県のブランド和牛「薩摩牛」のヒモ肉を使用

赤ワインを入れて加熱した和牛を、炒めた香味野菜を入れた鍋に入れる

鍋に自家製トマトソース、鶏の出汁、コショウを入れて煮込み、ラグーの出来上がり

◆ソースをつくる

フライパンに和牛のラグー、自家製トマトソースを入れ、加熱する

スライスした新ゴボウの表面にフライパンで焼き色をつける。新ゴボウは熊本県産を使用

焼き色をつけた新ゴボウを入れる。スパイスとして、シルティムールペッパーを入れ、香りをつける。煮詰めてソースの出来上がり

シルティムールペッパーは、フランスのテール・エグゾッチック社製を使用。ネパール高地の山林で収穫される実が材料で、フレッシュな酸味を感じる香りがある

◆仕上げる

ストラッシナーティは自家製生パスタで製麺する。生地は卵白、小麦粉、全粒粉、オリーブオイル、水、塩を混ぜてつくる。棒状の生地を短くカットし、ナイフで手前に引きずりながら成形する

製麺したストラッシナーティは、セモリナ粉を振りかけ、くっつき防止の打ち粉にする

ストラッシナーティを茹でる

茹で上がったストラッシナーティをソースのフライパンに投入

パルミジャーノ・レッジャーノ、イタリアンパセリのみじん切り、エキストラヴァージン・オリーブオイルを混ぜ合わせて仕上げる

お召し上がり

和牛ラグーと新ゴボウのストラッシナーティ スパイス風味

ストラッシナーティは、もっちりした食感で、引きずるときにできたくぼみと、ザラザラした表面に、ソースかしっかり絡んでいます。

ソースに入った和牛は、赤身中心で旨みが濃く、ゴロっと大きく、うれしい食べごえです。

合わせた新ゴボウや、パスタ生地の全粒粉の素朴な味わい、スパイスの爽やかな風味が、和牛の美味しさを引き立てます。

和牛ラグーと新ゴボウのストラッシナーティ スパイス風味

和牛ラグーと新ゴボウのストラッシナーティ スパイス風味

ラ・ビスボッチャ店内

11.ナッツのリゾット うちゅうの夜明け卵のせ 黒トリュフかけ

ナッツのリゾット うちゅうの夜明け卵のせ 黒トリュフかけ

メニューについて

黒トリュフの香りをリゾットで楽しみます。卵やナッツなど、好相性の食材を合わせました。

卵は、京都産の高級ブランド卵「うちゅうの夜明け」を使い、味わい豊かに仕上げました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理長・井上裕基

ヘーゼルナッツをミートハンマーで細かく砕く

アーモンドを包丁で細かくカットする

リゾット米を自家製鶏の出汁で煮込み、ナッツを入れる

リゾット米は、大粒で煮崩れしにくいイタリア産のリゾット用品種を使用。イタリア北部ピエモンテ州の米処ヴェルチェッリ県で1935年からリゾット用の米をつくり続ける「ロンドリーノ」社のブランド米「アクエレッロ」

無塩バターを入れ、味と香り、とろみをつける

栗の葉熟成チーズをカットして入れ、味と香り、とろみをつける。栗の葉熟成チーズはハードチーズを栗の葉に包んで追熟したもの。イタリア北部ピエモンテ州で1976年に創業したベッピーノ・オッチェリ社製を使用

パルミジャーノ・レッジャーノを入れ、味と香り、とろみをつけて仕上げ、盛り付ける。卵黄と黒トリュフをトッピングして仕上げる

トッピングの卵黄は、京都産の高級ブランド卵「うちゅうの夜明け」を使用

黒トリュフはイタリア産を使用

お召し上がり

ナッツのリゾット うちゅうの夜明け卵のせ 黒トリュフかけ

黒トリュフは、リゾットに使うバターやチーズと好相性で、香りが引き立ちます。

なおかつ、黒トリュフと同じ、森の仲間のヘーゼルナッツやアーモンドが加わる相乗効果で、香りの幅が広がります。

さらに、黒トリュフや米と好相性の卵が加わり、美味しさのリンクがつながります。

「うちゅうの夜明け」卵の質感はしっかりして、米にずっしりと絡み、深いコクがリゾットの味わいを豊かに仕上げています。

ナッツのリゾット うちゅうの夜明け卵のせ 黒トリュフかけ

ナッツのリゾット うちゅうの夜明け卵のせ 黒トリュフかけ

ラ・ビスボッチャ店内

●メイン

12.鮮魚のロースト ピゼッリのソース

鮮魚のロースト ピゼッリのソース

メニューについて

4月の鮮魚は、ふっくら、香ばしく焼いておすすめします。

春らしく、優しい味わいのソースを合わせました。

調理

メニュー提案・撮影調理 副料理長・高部孝太

◆魚のソースをつくる

フライパンで魚のアラを無塩バターで加熱。ニンニクやタイムで香りをつける

加熱した魚のアラをザルに入れ、余分な油を落とす

フライパンでエシャレットの表面に焼き色をつける

鍋に魚のアラ、エシャレット、自家製魚を出汁を入れ煮込む。濾過して魚のソースの出来上がり

◆ピゼッリのソースをつくる

ピゼッリはイタリア産のグリーンピース。強い甘みが特徴。春が旬で、みずみずしさを保つために、さや付きのフレッシュタイプを空輸する

ピゼッリをサヤから取り出し、茹で、冷やす

ミキサーでピゼッリ、ピゼッリの茹で汁、塩、コショウを撹拌し、ピゼッリのソースの出来上がり

◆鮮魚を焼いて仕上げる

撮影用の鮮魚はマダイを使用

フライパンにオリーブオイルを広げ、鮮魚を皮目から焼く。ニンニクやタイムで香りをつける

オーブンで加熱し、皿に盛り付ける。ピゼッリのソースと、魚のソースを添える

お召し上がり

鮮魚のロースト ピゼッリのソース

鮮魚のローストは、皮目はパリッと香ばしい。身はふっくら焼き上がり、歯ごたえはしっかりして、噛みしめると旨みが広がります。

ソースのしっとり感を絡めると、鮮魚の美味しさが引き立ちます。

鮮魚のロースト ピゼッリのソース

鮮魚のロースト ピゼッリのソース

ラ・ビスボッチャ店内

13.アイルランド産ラムチョップの炭火カツレツ 江戸前ハーブのベッド 

アイルランド産ラムチョップの炭火カツレツ 江戸前ハーブのベッド

メニューについて

柔らかく、赤身と脂身が美味しいアイルランド産のラムチョップ。

4月は、パン粉をつけ、炭火で焼き、香ばしく仕上げました。

◆アイルランド産ラムチョップについて

アイルランドで放牧されている仔羊(公式写真より)

アイルランド産ラムチョップは、アイルランドで飼育された仔羊の、骨付きロースの部位です。

アイルランドの仔羊はグラスフェッド(牧草飼育)です。豊かな自然の中で放牧され、自由にのびのびと歩きまわり、ミネラル豊富な牧草のみで飼育されています。

このため、肉質はとても柔らかく、美味しい赤身肉が充実しています。

◆江戸前ハーブについて

東京都大田区の「江戸前ハーブ」社製のマイクロハーブ

「江戸前ハーブ」社は2021年、日本の高度成長時代の工業を支えた町工場と、下町情緒が残り、羽田空港が国際的に知られる東京都大田区で創業。

「東京で消費されるなら東京で創る」をコンセプトに、東京23区内で室内垂直栽培を行う未来型農家です。世界有数の美食都市、東京のレストラン向けに、フレッシュハーブを最短距離で提供している。

江戸前ハーブのインスタグラムリンク→@edomaeherb

調理

メニュー提案・撮影調理 料理長・井上裕基

◆下ごしらえ

塊肉からラムチョップを切り出す

ロースを部分的に骨から外し、ミートハンマーで叩いて薄く伸ばす

塩コショウで味をつける

小麦粉をつける

卵をつける

自家製パン粉をつける。ホームメイドパンをブレンドして挽いた、イタリアンタイプの細粒

包丁のエッジで、格子目をつける。衣のつきや、火の通りがよくなる

◆炭火で焼く

オリーブオイルを振りかける

炭火で焼く。火が通りにくい骨の付け根は、炭を近づけて加熱する

ひっくり返し、反対側からも加熱する。表面のオリーブオイルは、ラムから染み出した脂と混ざり、泡立ちながら、衣を加熱する

無塩バターをのせ、江戸前ハーブと盛り付けて仕上げる

お召し上がり

アイルランド産ラムチョップの炭火カツレツ 江戸前ハーブのベッド

炭火カツレツという、珍しい食体験。とはいえ、ラムから染み出した脂や、振りかけたオリーブオイルの効果で、衣はフライパンで揚げ焼いたカツレツのように、サクサクとした焼き上がりです。

炭火で焼いた大きなちがいは、衣の一部に焼き色が強くつき、トーストのような香りがすることです。

中のラム肉は、余分な脂が落ち、赤身や脂身の美味しさが凝縮しています。

合わせた「江戸前ハーブ」は、ボリュームがありそうに見えるけれど、ふんわり盛り付けているので、食べた印象は見た目より少なめです。

食感も、サクサクと軽やかで、爽やかなアクセントになります。

アイルランド産ラムチョップの炭火カツレツ 江戸前ハーブのベッド

アイルランド産ラムチョップの炭火カツレツ 江戸前ハーブのベッド

ラ・ビスボッチャ店内

●付け合わせ

14.季節のミックスサラダ

季節のミックスサラダ

メニューについて

メインの料理に合わせておすすめしたい、季節の食材をミックスしたサラダです。

4月は、イタリア産の冬から春にかけての野菜、ラディッキオ・タルディーヴォやウイキョウ、ピゼッリに、国産のルッコラをミックスし、アンチョビのドレッシングを合わせました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・勝又脩

ラディッキオ・タルディーヴォは、特産地のイタリア北部ヴェネト州トレヴィーゾ県産を使用。冬から春にかけてがシーズンで、鮮やかな色から「冬の花」と呼ばれている

ウイキョウはイタリア産を使用

ラディッキオ・タルディーヴォとウイキョウをカットし、水につけ、アクをとる

野菜の水を切る

国産のルッコラを加え、自家製アンチョビドレッシングと和える。ドレッシングはアンチョビペースト、赤ワイン酢、ニンニクオイル、エキストラヴァージン・オリーブオイルを混ぜてつくる

茹で、冷やしたピゼッリをトッピングして仕上げる

お召し上がり

ラディッキオ・タルディーヴォは、サクサクした食感で繊細な旨みがあり、ウイキョウはシャキシャキした食感で爽やかなハーブ香があり、ピゼッリはホクホクした食感で甘みがあります。

イタリア野菜ならではの彩り、食感のバリエーション、繊細な味わいは、さっぱりしながら奥深く、メインの料理やワインによく合います。

季節のミックスサラダ

季節のミックスサラダ

季節のミックスサラダ

ラ・ビスボッチャ店内

●ドルチェ

15.マンゴーのメリンガータ

マンゴーのメリンガータ

メニューについて

ビスボッチャのメリンガータは、1993年の創業以来、30余年変わらぬ味で、バブル景気のリッチな甘さを今に伝える、人気の定番ドルチェです。

4月は、マンゴーを入れた、マンスリー限定味でおすすめします。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・萩原大揮

スポンジ生地にシロップを染み込ませ、味と香りをつける。シロップは、水、砂糖、コアントロー酒を混ぜてつくる

コアントローはフランスで1849年に創業したコアントロー家の蒸溜所が開発したオレンジリキュール。オレンジの皮を使い、オレンジの香りとまろやかな甘さが特徴。カクテルや製菓などで愛用されている

マンゴーピューレを塗る

マンゴーピューレは、フランスのフルーツ加工メーカー「レ・ヴェルジェ・ボワロン」社製を使用

カスタードクリームとホイップクリームを混ぜたクリームを重ねる

薄くカットしたマンゴーを重ねる

同じ要領で3層積み重ねる

スポンジ生地の屋根を重ねる

表面をメレンゲで装飾する。メレンゲは卵白、砂糖、バニラエッセンス、レモン汁を混ぜてつくる

トップはクリームを立てるように飾る

バーナーで焼き色をつけて仕上げる

お召し上がり

マンゴーのメリンガータ

食べた印象のほとんどは、濃厚なクリームです。そのなかから、しっとりしたスポンジや、フルーティなマンゴーが出てきてアクセントになります。

クリーム好きには、たまらない一皿です。

マンゴーのメリンガータ

マンゴーのメリンガータ

ラ・ビスボッチャ店内

16.イチゴと抹茶のミルフィーユ

イチゴと抹茶のミルフィーユ

メニューについて

4月は、一番茶の茶摘みがはじまる季節です。

そんな季節の気分から、新鮮なイチゴの甘酸っぱさを、抹茶クリームで引き立てるミルフィーユをつくりました。

調理

メニュー提案・撮影調理 料理人・萩原大揮

◆抹茶クリームをつくる

ホイップクリームと抹茶を混ぜる

抹茶は、1888年に愛知県西尾市で創業した株式会社あいや製を使用

ホイップクリームと抹茶を混ぜたクリームをカスタードクリームと混ぜ、抹茶クリームの出来上がり

◆ミルフィーユを組み立てる

パイ生地にイチゴと抹茶クリームをのせる

同じ要領で2層重ね、パイ生地の屋根をつける。屋上は抹茶クリームを塗り、イチゴを立てる

パイ生地を細かく砕いて振りかける

粉糖を振りかけて仕上げる

お召し上がり

イチゴと抹茶のミルフィーユ

イチゴのボリューム感をたっぷり感じる食べごこちです。

イチゴの甘酸っぱい美味しさを、抹茶クリームや、パリパリしたパイ生地で引き立てながら楽しみます。

イチゴと抹茶のミルフィーユ

イチゴと抹茶のミルフィーユ

4月のディナーは、

ラ・ビスボッチャの季節のおすすめメニューで、

お楽しみください。