ワインや食材の生産者さんをお招きして、ディナーに来店されるお客さまと交流していただくイベント、メーカーズディナー。
2026年2月6日(金)は、イタリア中部トスカーナ州のワインメーカー「サッソ・ディ・ソーレ」社の現当主、ロベルト・テルツォーリさんをお招きしました。イベントの模様とインタビューをお伝えします。
監修/料理長・井上裕基 写真・文/ライター 織田城司
Supervised by Yuuki Inoue
Photo・Text by George Oda
1.イベントの概要

イベント当日店内に装飾されたサッソ・ディ・ソーレ社のワイン

ビスボッチャの店内で語るロベルトさん
ビスボッチャの通常営業のなかで、各テーブルに提供するグラス、ボトルのワインを、サッソ・ディ・ソーレ社のワインに特化しておすすめし、ワイナリーを知っていただく機会を強化。
ロベルトさんは通訳とともに、ボトルワインを注文したテーブルをまわり、ご挨拶やワインの解説、記念撮影などを通してお客さまと交流し、ワイナリーの認知度を高める。
ロベルトさんは接客しながら、アテンドした日本の輸入代理店、株式会社MONACA取締役・バイヤーの青山倫子さんと関係者、筆者を含めた計5名でテーブルを囲み、自社ワインとビスボッチャの料理とのマリアージュを楽しみました。
2.サッソ・ディ・ソーレ社の歴史

サッソ・ディ・ソーレ社の内観(公式写真より)
ロベルトさんの家系は、イタリア有数のワイン産地、中部のトスカーナ州シエーナ県モンタルチーノ区で、18世紀から農家を営んできました。
ロベルトさんの祖父は、1970年代半ばから同地でブドウ栽培をはじめ、近隣ワイナリーの提携農家としてブドウを供給したり、自家用ワインの製造をする会社を創業。ロベルトさんの父が2代目になります。
ロベルトさんは1974年生まれ。高校を卒業すると1992年から2005年まで、他社のワイナリーで醸造の修行を積み、家業にもどる。
ロベルトさんは3代目になると、販売用のワインの製造をはじめました。
現在では、世界的に有名なワイン評価誌「ガンベロロッソ」や「ジェームズ・サックリング」などで高評価されるワインを手がけています。

ロベルトさんがスマフォで紹介した家族3代の写真
3.ロベルトさんのマリアージュ

注文用の食材ワゴンに自社ワインをディスプレイするロベルトさん
お料理
◆冷前菜

左からヤリイカとカラスミのサラダ、生ハムとサラミ、ブラータチーズとイチゴ
◆温前菜

ヤリイカと白子、ズッキーニのフリット
◆パスタ

手長海老のパッパルデッレ
◆メイン

キアニーナ牛Tボーンとホワイトアスパラガスの炭火焼き
ワイン

グラスを傾け、ワインをチェックするロベルトさん。指のシワの見え具合で透明度を確認するという

赤ワイン「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」2023
赤ワイン「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」2023
ブドウ種:サンジョヴェーゼ100%
色は、紫がかったルビー色。香りは、ベリージャムやプラム、カカオなどのニュアンス。味わいは、凝縮感ある果実味としっかりした骨格を持ちながら、伝統的製法によって生まれるエレガントさを持つ。

赤ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」2019
赤ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」2019
ブドウ種:サンジョヴェーゼ・グロッソ100%
色は、艶やかなルビー色。香りは、芳醇で複雑性を持つ。味わいは、しなやかな酸、香ばしくシルキーな密度のあるタンニン。バランスが良く、口に含むたびに表情が変わる、力強さと魅力がある。

赤ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ サッソ・ディ・ルーナ」2020
赤ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ サッソ・ディ・ルーナ」2020
ブドウ種:サンジョヴェーゼ・グロッソ100%
ラベルのデザインは、ロベルトさんの息子がテラスの猫を撮影した写真を図案化。
滑らかな口当たりながら、しっかりした果実の凝縮感もあり、上品かつ力強い味わい。こなれたタンニンが綺麗に溶け込む心地よさが美味しい。アロマティックで、メントールの長い余韻が印象的。
4.ロベルトさんへのインタビュー

ビスボッチャの店内で語るロベルトさん
ビスボッチャ 今回の来日の訪問地は?
ロベルトさん 東京と大阪のプロモーションで、品川のホテルに泊まっています。
品川は大阪や羽田へのアクセスが便利。高輪ゲートウエイ駅前にできた新しい商業施設との回遊性もある。
ホテルの窓から東京の夜景を見ることも好きです。トスカーナは山の中で、夜は真っ暗で、夜景がないから。
大阪では、たこ焼きが、とても美味しかった。
ビスボッチャ ワインの供給のイタリア国内と輸出の比率は?
ロベルトさん 半々ですね。主な輸出国は、日本、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、ノルウェー、ベルギー、デンマーク、ホンコンなどです。
ビスボッチャ 売上の伸び率は?
ロベルトさん 微増です。前年発注が多かった国は、翌年発注が減るため、前年発注が少なかった国にプッシュして、バランスを保っています。
ビスボッチャ 毎日の食生活のなかで、ワインとの付き合い方は?
ロベルトさん 品質チェックの試飲のほかに、晩酌で毎晩自社ワインを飲んでいます。夏はロゼを冷やして飲むことが多くなります。
ビスボッチャ ワインづくりのこだわりは?
ロベルトさん ブドウです。当たり前の答えのようだけれど、ブドウを几帳面に管理することが大切だと考えています。
感覚や勘のみに頼るのではなく、畑や樽を几帳面に管理することで、美味しいワインが生まれます。私の父は、私より几帳面。日本人のように几帳面です。
ビスボッチャ 日本の印象は?
ロベルトさん 大好きです。
今から十数年前、日本の株式会社MONACAの青山倫子さんから連絡があり、日本に輸出をはじめたのが、当社の輸出第一号になりました。
そのとき、青山さんは、イタリアのワインのラベルをつくる業者から当社の存在を知り、興味を持ち、アプローチしたそうです。
日本人はすごく研究熱心。工程にどんなストーリーがあるのか、理解しようとしてワインを飲んでくれる。生産者とシンクロがあるのが素晴らしい。他の国ではないことです。
その一方で、性格はすごくシャイ。
イタリア式のスキンシップの挨拶には慣れていなくて、戸惑う人が多いから、ハグは男性だけにしています。
息子はまだ学生だけれど、将来、ぜひ連れて来たい国です。
ビスボッチャ ビスボッチャの印象は?
ロベルトさん ビスボッチャに来たのははじめて。入口の緑がいっぱいある所がいいね。本当にここでいいのか?入っていいのか?というワクワク、ドキドキ感がある。
店内の天井のアーチ状のディティールもよくできている。
料理はもちろん「ボニッシモ!(とても美味しい)」炭火を使い、本場の味です。
地元に帰ったような気分になれます。
5.まとめ

井上料理長からビスボッチャのティラミス靴下を贈られ、その場で履いて見せるロベルトさん
井上料理長は「ロベルトさんにビスボッチャのティラミス靴下を差し上げると、日本人的でイタリア人のアイデアにはないグッズだ!と言いながら履いてくれました。お土産に差し上げ、その場で履いた人は、ロベルトさんがはじめて」と語りました。
ロベルトさんは、靴下を履いて記念写真の撮影をリクエストする、イタリア人的な陽気さを見せる一方で、次のように語りました。
「日本の電車のなかで、携帯電話を通話に使った。後で携帯電話の通話が禁止されていることを知った。郷に行っては、郷に従え、が信条なので、日本の車内のマナーを知らず、周りの人に迷惑をかけたことを後悔した」
ロベルトさんは、陽気だけでなく、デリケートな一面もあることが、ワインの味の奥深さに通じると感じた。
イベントの当日、イタリアで、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開会。
ロベルトさんに「イタリアで冬季五輪がはじまります。前回の北京大会でイタリアの金メダルは2個でした。今回は開催国として、金メダルは何個と予想しますか?」と質問。
ロベルトさんは「希望は10個だけれど、現実的には、5個は欲しいね」と答えました。
オリンピックが閉会すると、イタリアの金メダルは、ロベルトさんの希望通り10個でした。

株式会社MONACAの青山倫子さん(左から二人目)と関係者、ビスボッチャのスタッフと記念撮影するロベルトさん