真夏の炭火焼きフェア

MIDSUMMER BBQ FAIR

コラム『味と技』第70回

バーベキュー気分を楽しむ

真夏に食べたくなる炭火焼き料理を集めて、8月17日(月)〜29日(土)までフェアを開催。期間限定メニューが5品登場します。

炭の香りを満喫して、バーベキュー気分を楽しみましょう!

料理を仕上げる料理長・井上裕基(左)と副料理長・露詰まみ

監修/料理長・井上裕基 副料理長・露詰まみ 

写真・文/ライター 織田城司
Food Direction by Yuuki Inoue & Mami Tsuyuzume 
Photo・Text  by George Oda

1.トマホークの炭火焼き

トマホークの炭火焼き

メニューについて

撮影に使用したトマホークの塊肉。肉の種類はキングアイランドビーフ

◆トマホークとは

トマホークの語源はアメリカの先住民が使っていた斧のことです。

牛肉の骨付きリブロースの形が斧に似ていることから、ステーキの名に転用されるようになりました。

斧のイメージが豪快なステーキとよく合い、骨についた肉までワイルドに食べる気分を盛り上げます。

キングアイランドビーフとキングアイランドの地図(公式写真より)

◆キングアイランドビーフを使用

今回のトマホーク(骨付きリブロース)は、キングアイランドビーフを使います。

オーストラリアの南に位置するキングアイランド島は、年間を通じて温暖で雨量が多く、栄養価が高い土壌が良質な牧草を育てます。

この地でストレスなく放牧された牛の赤身肉は柔らかく、旨みに深い味わいがあります。

その魅力を、ぜひ厚切りでお楽しみください。

トマホークの炭火焼き

調理

トマホークを塊肉から切り出す

切り出したトマホーク。斧の形に似ているのがわかる

トマホークの両面に塩コショウで下味をつける

側面も塩コショウで下味をつける

トマホークを炭火焼きグリルで焼く

炭を焼き網に乗せ、側面を焼く

反対側を焼く。滴り落ちた肉汁が炭火で燃える煙が燻製効果になり、肉に香りをつける

焼き上がったトマホークを骨から外す

肉を切り分ける。豪快な噛みごたえを楽しむために厚切り

トマホークを皿に盛り付け、エキストラヴァージン・オリーブオイルを振りかけて仕上げる

お召し上がり

トマホークの炭火焼き

◆豪快な見た目、繊細な味わい

肉質は、弾力がしっかりしているが、無理なく噛み切れる柔らかさ。

厚切りのなかで、細かい繊維がジャキジャキと噛み切れる歯ごたえが小気味よい。

肉汁は粘性があり、しっとりして、牛肉の風味が濃厚。

噛みしめると、甘みから旨み、苦みまでの幅が広く、飽きがこない繊細な味わいがあります。

トマホークの炭火焼き

外側の焼き目はパリッとして、ほのかに感じる塩味と苦みがアクセントになります。

脂身はプルンとした柔らかさで、口のなかでトロけ、甘みと旨みが際立つ。

骨についた肉はコクがあり、ナイフで延々と削ぎ落としながらチビチビ食べる。満腹で会話が盛り上がり、飲み足りないと感じる赤ワインに丁度いい肴です。

トマホークの炭火焼き

おすすめのワイン

赤ワイン「イル・カルボナイオーネ」

◆力強さと優雅さを兼ね備えた辛口

銘柄/イル・カルボナイオーネ
ワイナリー/ポッジョ・スカレッテ
生産地/イタリア中部トスカーナ州
ぶどう種/サンジョベーゼ100%
生産年/1999年

香りはチェリーやブラックベリーなど、凝縮感のある果実の香りに、アーモンドやレザーのニュアンスが加わり、気品のある印象。

味わいはパワフルな辛口ながら、濃すぎず、優雅さを兼ね備えています。

トマホークの、豪快でありながら繊細な味わいによく合い、印象を深めます。

トマホークの炭火焼きに赤ワイン「イル・カルボナイオーネ」を合わせて

2.夏鹿とポルチーニのサルシッチャの炭火焼き

夏鹿とポルチーニのサルシッチャの炭火焼き

メニューについて

◆夏の美味しさをサルシッチャに詰めて

夏鹿は脂肪分が少なく、赤身が充実して、夏になると美味しくなる肉として、近年注目されています。

そんな夏鹿を、香り豊かなポルチーニ茸や香草、スパイスとともにサルシッチャに詰め、炭火で焼きます。

調理

◆挽肉をつくる

鹿肉をミンチマシーンに入れやすくするために小さくカットする。部位は内モモとシンタマ。良質なジビエ肉の供給に取り組む和歌山県古座川町産。調理を担当した料理人は老田裕樹

脂分を補うため豚バラ肉をブレンドする

肉をミンチマシーンで挽く

挽肉は大粒の粗挽き

◆挽肉に調味料とポルチーニ茸を混ぜる

挽肉に塩を加える

黒コショウを加える

タイムのみじん切りを加える

オリーブオイルに漬けたニンニクのみじん切りを加える

挽肉と調味料を混ぜ合わせる

炒めたポルチーニ茸を加える

再度挽肉を混ぜ合わせる

挽肉を調味料を馴染ませるため、しばらく休ませる

◆腸詰めする

腸詰機の先に豚腸を取り付ける。豚腸は天然の豚の小腸で、直径35㎜の極太タイプを使用

ジューシーでふっくらとした食感を実現するため、一本づつ丁寧に手詰めする

◆炭火で焼く

サルシッチャを炭火焼きグリルで焼く。いきなり火力が強い中心部に乗せると豚腸が裂けることがあるため、最初は端で加熱

徐々に火力が強い中心部に移動

反対側を焼く

サルシッチャの表面から汗のように染み出した肉汁が滴り落ち、炭火で燃えることで発生する煙が燻製効果になって香りをつける

お召し上がり

夏鹿とポルチーニのサルシッチャの炭火焼き

◆夏らしい力強い味わい

サルシッチャの皮はパリッと焼け、香ばしさがあります。

なかに詰まった夏鹿は柔らかく、キメが細かい。

味わいは、旨みとコク、苦みまでの幅が広く、濃厚に感じます。

夏鹿とポルチーニのサルシッチャの炭火焼き

ポルチーニ茸やタイムの香りが程よいアクセントで絡みます。

力強い後味は、いかにも夏のパワーアップに効きそうで、頼もしい印象です。

3.魚介の炭火焼き

魚介の炭火焼き。左から国産ヤリイカ、浜名湖産ウナギ、国産岩牡蠣

メニューについて

◆香ばしさと旨みを引き立てて

旬の魚介を炭火で焼き、香ばしさと旨みを引き立てます。

ヤリイカとウナギはイタリア流に、オリーブオイルをたっぷりと振りかけて焼きます。

岩牡蠣は殻付きのまま炭火で蒸し焼きにします。

調理

ヤリイカとウナギに塩コショウで下味をつける。調理を担当した料理人は高部孝太

ヤリイカとウナギにオリーブオイルを振りかける

炭火焼きグリルでヤリイカとウナギ、岩牡蠣を焼く

反対側を焼く

岩牡蠣は中身が沸騰して泡を吹き、殻が開いたら焼き上がり

お召し上がり

魚介の炭火焼き

◆柔らかさのなかに感じる豊かな旨み

魚介はそれぞれ時間差をつけて焼いているので、どれも絶妙の柔らかさです。

ヤリイカはトロンとした柔らかさで、ヌメリとした舌ざわりがあり、サクッと噛み切れ、甘みから旨みまでの広がりを豊かに感じます。

魚介の炭火焼き

ウナギはしっとりと柔らかく、黒コショウとオリーブオイルが効いて、香ばしさが増しています。口に入れると脂がのった身の奥から旨みが出てきます。

岩牡蠣は真んなかのプクッとふくれた部分が、トロける柔らかさで、まろやかな塩味と旨みをバランス良く感じます。

魚介の炭火焼き

4.夏野菜の炭火焼き チンタセネーゼのラルド添え

夏野菜の炭火焼き チンタセネーゼのラルド添え

メニューについて

ラルドとその断面。イタリア中部トスカーナ州の「サヴィーニ」社が手がける高級ブランド豚「チンタセネーゼ」のラルドを使用

◆ラルドとは

ラルドはイタリアで生産されている豚の背脂を塩漬けにして熟成させた食肉加工品です。

イタリアでは、薄くスライスして、バターのようにパンや野菜の上にのせて食べたりします。

このような食材に、イタリアの食文化の奥深さを感じます。

今回のラルドは、イタリア中部トスカーナ州で飼育されている高級ブランド豚「チンタセネーゼ」のラルドを使い、風味や味わいがより豊かになっています。

この機会に、ぜひご賞味ください。

炭火焼きに使う夏野菜。これにパプリカが加わる

調理

カットした野菜に塩コショウ、オリーブオイルで下味をつける

野菜を炭火焼きグリルで焼く

反対側を焼く

盛り付けた野菜にスライスしたチンタセネーゼのラルドをのせる

お召し上がり

夏野菜の炭火焼き チンタセネーゼのラルド添え

◆多彩な味と食感

焼き上がった野菜は、炭火の効果で柔らかくなり、香ばしさと味わいが増しています。

フルーツトマトはドロリと柔らかくなり、甘酸っぱさが濃厚。トウモロコシは甘みがあり、香ばしい焼き目が美味しい。パプリカは甘みが際立ちます。

夏野菜の炭火焼き チンタセネーゼのラルド添え

万願寺とうがらしは、ほのかな苦味を味わいます。ナスと丸ズッキーニは旨みを堪能。ウイキョウは爽やかな風味を楽しみます。トレヴィスはシャリシャリとした食感が心地よい。

アツアツの野菜の上にのせたチンタセネーゼのラルドはフワリと溶け、熟成香と塩味を加え、野菜をより美味しくしています。

夏野菜の炭火焼き チンタセネーゼのラルド添え

5.デリツィア・アル・リモーネ

デリツィア ・アル・リモーネ

メニューについて

◆バカンスのお菓子

イタリア語で「レモンの喜び」という意味のデリツィア ・アル・リモーネは、夏のリゾートとして有名なカンパーニャ州のソレントで、特産物のレモンを生かしたお菓子として開発されました。

バカンスでソレントに集まる観光客に絶賛された爽やかな甘さを、真夏のドルチェにおすすめします。

レモンピールを飾って仕上げる

お召し上がり

デリツィア・アル・リモーネの断面。レモンの味がついたクリームとスポンジが重なる

◆レモンづくしを味わう

濃厚なクリームとスポンジがふんわりととろけ、甘さのなかに、レモンの味と香りを豊かに感じます。

レモンの皮やレモン汁、レモンのリキュールなど、さまざまなレモンの素材を随所に散りばめた、いわばレモンづくし。

レモンに込めた郷土愛が、ソレントの爽やかな風を運んでくれます。

デリツィア ・アル・リモーネ

ゆく夏を惜しむディナーは、

ラ・ビスボッチャの「真夏の炭火焼きフェア」でお楽しみください。