季節のおすすめメニュー9月

RECOMMENDED SEASONAL MENU 2020 September

コラム『味と技』第72回

夏から秋へ

ビスボッチャでは、年間定番のグランドメニューに加え、季節のおすすめメニューも展開しています。

9月は残暑が厳しいながら、少しずつ秋めいてきたと感じるメニューをおすすめします。

監修/料理長・井上裕基 副料理長・露詰まみ 

写真・文/ライター 織田城司
Food Direction by Yuuki Inoue & Mami Tsuyuzume 
Photo・Text  by George Oda

前菜

1.ブラータチーズと季節のフルーツサラダ

ブラータチーズと季節のフルーツのサラダ ②キウイ

メニューについて

ブラータチーズは、外はフワッと、中はトロリとした袋状のフレッシュチーズです。

ミルクの風味や甘みが濃厚で、ジューシーなフルーツと相性抜群。

晩夏に美味しくなるフルーツ4種とともに、お楽しみください。

ブラータチーズはアメリカの「ディ・ステファノ」社製を使用。イタリア南部プーリア州出身のチーズ職人が、カリフォルニア酪農協会が認めた良質なミルクを使ってつくるチーズ

①ブラータチーズと巨峰のサラダ

ブラータチーズと巨峰のサラダ

巨峰は山梨県産を使用

お召し上がり

ブラータチーズと巨峰のサラダ

皮をむいた巨峰の果肉はトロリと柔らかく、ブラータチーズと絡めると、どこへ行ったのか思うほどなじみ、不思議な食感に驚きます。

その溶け合いに、ふと感じる巨峰の甘い果実味は、ブラータチーズのミルキーな味とよく合います。

②ブラータチーズとキウイのサラダ

ブラータチーズとキウイのサラダ

左は果肉がグリーンのキウイ。右は果肉が黄色いゴールデンキウイ。どちらもニュージーランド産

お召し上がり

ブラータチーズとキウイのサラダ

グリーンのキウイは、軽い酸味があり、黄色いゴールデンキウイは、甘さが際立ちます。

ブラータチーズのミルキーな味と合わせながら、食べくらべを楽しみます。

どちらも、キウイ特有のヌメリとした食感がブラータチーズとよく合い、種のプチプチとした食感がアクセントになります。

③ブラータチーズとネクタリンのサラダ

ブラータチーズとネクタリンのサラダ

ネクタリンは福島県産を使用

お召し上がり

ブラータチーズとネクタリンのサラダ

ネクタリンは黄桃の一種です。

黄色い果肉は爽やかな酸味が強く、ブラータチーズのミルキーな味とよく合います。

④ブラータチーズとナシのサラダ

ブラータチーズとナシのサラダ

ナシは千葉県産を使用

お召し上がり

ブラータチーズとナシのサラダ

ナシはシャリシャリとした歯ごたえを感じたと思ったら、サラッと消えるような柔らかさで、ブラータチーズとなじみます。

ジューシーな果汁は爽やかな甘さで、ブラータチーズのミルキーな味によく合います。

2.ブラータチーズと季節の焼き野菜サラダ

ブラータチーズと季節の焼き野菜サラダ

メニューについて

ブラータチーズに季節の焼き野菜を合わせるシリーズ。

9月はヨーロッパのキノコ類が加わります。

調理

野菜に塩をふり、下味をつける。9月の旬菜は、北海道産鈴南瓜、茨城県産ナス、宮崎県産ズッキーニ、北海道産フルーツトマト、フランス産ジロール茸、イタリア産ポルチーニ茸

さらにオリーブオイルで下味をつける。撮影担当・料理長・井上裕基

野菜を炭火で焼く

反対側も焼いてブラータチーズと盛り付ける

お召し上がり

ブラータチーズと季節の焼き野菜サラダ

炭火で焼いた晩夏の野菜は香ばしさや旨み、苦みが増しています。

ブラータチーズのミルキーな味わいは、野菜の味の強さをマイルドに包み、引き立てます。

3.秋刀魚のコンフィ

秋刀魚のコンフィ

メニューについて

秋の訪れを感じたら食べたくなる秋刀魚を、イタリアンで堪能します。

コンフィは食材をオイルに浸し、低い温度でゆっくり加熱して柔らかくする調理法です。

調理

秋刀魚をバットでオイルに浸し、オーブンに入れ、90℃で約4時間かけてじっくり加熱する

秋刀魚は北海道産を使用

コンフィで調理した秋刀魚の表面をパリッと仕上げるため、弱火で軽く炒める

秋刀魚のコンフィを茨城県産長ナスと広島県産クレージーピーとともに盛り付け、徳島県産スダチを擦り下ろす。

スダチドレッシング(スダチ汁+エキストラヴァージン・オリーブオイル+塩)を振りかける

黒コショウを振りかけて完成

お召し上がり

秋刀魚のコンフィ

◆繊細な旨みと、まろやかな苦み

出来あがった秋刀魚のコンフィは、脂が乗った身にオイルがよくなじみ、トロリと柔らかく、繊細な旨みと、まろやかな苦みを感じます。

底に敷いた長ナスは直火で焼き、黒コゲになった皮をむいたもので、香ばしさが残りながら、トロトロに柔らかく、旨みが凝縮。秋刀魚のコンフィと相性が絶妙です。

秋刀魚のコンフィ

4.カツオのカルパッチョ

カツオのカルパッチョ

メニューについて

旬の鮮魚でつくるカルパッチョのシリーズ。

秋の「戻りがつお」は、初夏の「初がつお」に比べて脂が多めで、濃厚な味わいが楽しめます。

調理

カツオは千葉県産を使用

カツオは一匹仕入れ、自店でさばく。撮影担当料理人・赤峰壮介

切り出したカツオのブロックに塩コショウで下味をつける

オリーブオイルを振りかける

カツオのブロックを炭火で炙り、表面をパリッと焼く。滴り落ちたオリーブオイルが炭火で燃え、煙が燻製効果になって香ばしい香りをつける

別の側面から炙る

さらに別の側面から炙る

焼き上がったカツオを切り分け、野菜とともに盛り付けて完成

お召し上がり

カツオのカルパッチョ

◆強い旨みと薬味のバランスを楽しむ

カツオの外側はパリッと焼け、香ばしく、中は柔らかく、脂が乗り、強い旨みを感じます。

カツオばかり食べ進むと、味が濃厚な印象になりますが、そんな時は、薬味のように盛り付けたミニトマトやベビーリーフ、黒オリーブ、ケッパーが程よいアクセントになり、双方の味を引き立てます。

カツオのカルパッチョ

パスタ

6.アワビのスパゲッティ

アワビのスパゲッティ

メニューについて

スパゲッティの具材にアワビ使い、アワビの肝でつくるソースを合わせます。

アワビの味をストレートに感じるシンプルなスパゲッティです。

調理

フライパンに用意した具材とソース。具材のアワビは白ワインで蒸してスライスしたもの。ソースは自家製魚のダシ汁にニンニクのみじん切りと赤トウガラシを加える

アワビはオーストラリア産を使用

茹で上がったスパゲッティをソースのフライパンに投入

スパゲッティとソースを和える

アワビの肝とバターを混ぜたソースを加える

エキストラヴァージン・オリーブオイルを加え、混ぜ合わせる。盛り付けてからシブレットのみじん切りを振りかけて完成

お召し上がり

アワビのスパゲッティ

◆アワビの美味しさを丸ごと感じて

具材のアワビは柔らかく、シコシコとした歯ごたえがあり、噛みしめると磯の香りや旨み、塩味を繊細に感じます。

追いかけるように絡む肝のソースは濃厚でコクがあり、スパゲッティにたっぷり染みて、味わいを深めます。

アワビ一匹を丸ごとスパゲッティで味わう、ユニークな食体験をお楽しみください。

アワビのスパゲッティ

7.サツマイモのラヴィオリ ゴルゴンゾーラソース

サツマイモのラヴィオリ ゴルゴンゾーラソース

メニューについて

サツマイモの甘みに舌鼓を打つのは秋の楽しみのひとつ。

ラヴィオリで包み、ゴルゴンゾーラチーズのソースでいただきます。

調理

ラヴィオリ用の自家製生地にサツマイモのペーストを絞り出す

サツマイモからつくるペーストは、リコッタチーズやパルメザンチーズを混ぜてつくる

サツマイモは千葉県産を使用

リコッタチーズはイタリア製を使用

生地を折り、包み込んだサツマイモのペーストを金型で抜く

ラヴィオリを茹でる。茹で時間は4分

茹で上がったラヴィオリをゴルゴンゾーラソースのフライパンに投入

ゴルゴンゾーラチーズはイタリア北部ロンバルディア州産

ラヴィオリをソースと和え、完成

お召し上がり

サツマイモのラヴィオリ ゴルゴンゾーラソース

◆チーズと感じるサツマイモの甘さ

クリーミーなゴルゴンゾーラソースはチーズの風味が濃厚で、コクがあります。

柔らかいラヴィオリは卵の風味が豊かで、中から出てくるサツマイモのペーストは、サツマイモらしい香ばしい甘みをしっかり感じます。

サツマイモのラヴィオリ ゴルゴンゾーラソース

8.牛肉ペーストのアニョロッティ フレッシュトマトソース

牛肉ペーストのアニョロッティ フレッシュトマトソース

メニューについて

イタリア北部ピエモンテ州の代表的なご当地パスタ、アニョロッティ。

牛肉のペーストを詰め、フレッシュトマトソースを合わせます。

お召し上がり

牛肉ペーストのアニョロッティ フレッシュトマトソース

◆小粒の中に肉の旨みたっぷり

アニョロッティに詰めた牛肉ペーストは、茹でた熱で増した風味や旨みがギュッと封じ込まれ、小粒でありながら味わいは強く、満足度は高い。

トマトやバジル、タマネギをサッと炒めたソースは優しい味わいで、牛肉の旨みを引き立てます。

牛肉ペーストのアニョロッティ フレッシュトマトソース

メイン

9.牛タンのボイル サルサヴェルデ添え

牛タンのボイル サルサヴェルデ添え

メニューについて

厚切りでボリューム感ある牛タンをコトコトじっくり煮込みます。

イタリア語で「緑のソース」を意味するサルサヴェルデを添えます。

調理

牛タンはアメリカ産を使用。自家製鶏のダシ汁に1日漬けてから数時間煮る。食べる直前にサッと茹でて加熱

牛タンに添えるサルサヴェルデ。混ぜ合わせる食材はイタリアンパセリ、バジル、ケッパー、アンチョビ、卵、パン、牛乳、白ワインビネガー、エキストラヴァージン・オリーブオイル

お召し上がり

牛タンのボイル サルサヴェルデ添え

◆噛みしめるほどに旨みが出てくる厚切り牛タン

じっくり煮込まれた分厚い牛タンは柔らかく、細かい繊維質がジャキジャキ切れる歯ごたえが小気味よく、噛みしめるほどに旨みが出てきます。

牛タンの繊細な旨みに、サルサヴェルデの青々しい風味がよく合い、さっぱりとした後味です。

牛タンのボイル サルサヴェルデ添え

10.牛フィレ肉のグリル ポルチーニソース

牛フィレ肉のグリル ポルチーニソース

メニューについて

柔らかくて赤身が美味しい牛フィレ肉のグリル。

旬のポルチーニ茸のソースを合わせます。

トッピングに炭火で焼いたポルチーニ茸を加え、香りを高めます。

調理

焼き上げた牛フィレ肉をポルチーニソースと和える。牛フィレ肉は赤身が美味しいオーストラリア産を使用

トッピングのポルチーニ茸は塩とオリーブオイルで下味をつける

下味をつけたトッピング用ポルチーニ茸を炭火で香ばしく焼く

焼き上げたトッピング用ポルチーニ茸を牛フィレ肉の上に乗せ、エキストラヴァージン・オリーブオイルとイタリアンパセリのみじん切りを振りかけて仕上げる

お召し上がり

牛フィレ肉のグリル ポルチーニソース

◆ポルチーニソースで際立つ赤身の旨さ

牛フィレ肉はキノコ類と相性が良く、ポルチーニ茸やトリュフなど、季節のキノコのソースと合わせていただきます。

ポルチーニ茸のソースは香ばしく、濃厚で粘性があり、牛フィレ肉の柔らかい肉質によくなじみ、コクのある旨みを引き立てます。

牛フィレ肉のグリル ポルチーニソース

ドルチェ

11.巨峰とトンプソンのタルト

巨峰とトンプソンのタルト

メニューについて

季節のフルーツタルトのシリーズ。

9月は山梨県産の巨峰と、アメリカ産白ぶどうのトンプソンの2種をトッピングします。

お召し上がり

巨峰とトンプソンのタルト

◆ぶどうの食べくらべを楽しむ

皮をむいた巨峰の果肉はトロリと柔らかく、甘い果実味がしっかりしています。

トンプソンは薄い皮のシャリシャリとした食感がアクセントで、爽やかな甘酸っぱさがあります。

香ばしいパイ生地や甘いクリームとともに、2種のぶどうの食べくらべを楽しみます。

巨峰とトンプソンのタルト

12.マンゴーイングレーゼ

マンゴーイングレーゼ

メニューについて

イタリア語で「英国人の汁物」を意味する名がついたお菓子「ズッパ・イングレーゼ」。

バカンスでフィレンツェを訪れる英国貴族をもてなすためにつくられたとされ、フィレンツェ特産のリキュール「アルケルメス」が染みたスポンジとクリームを重ねてつくります。

この「ズッパ・イングレーゼ」に、マンゴーの甘酸っぱさを加え、味の広がりを持たせたビスボッチャ・オリジナルのお菓子がマンゴーイングレーゼです。

中世のフィレンツェを統治したメディチ家が開発したとされるリキュール「アルケルメス」。最初の製造所は修道院だったが、現在はパッリーニ社が手掛ける

マンゴーの味付けはフランスの「レ・ヴェルジェ・ボワロン」社のピューレを使用

お召し上がり

マンゴーイングレーゼ

◆マンゴーの甘酸っぱさで広がる味

スポンジがトロトロになるまで染みた赤いアルケルメスは、世界最古の薬局があるフィレンツェのリキュールらしく、薬草の香りがエキゾチックな印象で、白いクリームと絡みます。

この赤と白の組み合わせだけだと、甘みが強い印象になりますが、黄色いマンゴーピューレの甘酸っぱさが加わると、甘みが緩和され、味のバリエーションが広がります。

マンゴーイングレーゼは店頭販売でも取り扱いがございます。お近くにお越しの際は、ぜひご利用ください。

マンゴーイングレーゼ 店頭販売用プラ容器入り(蓋付)

9月のディナーは、

季節のおすすめメニューに、夏の終わりと秋の気配を感じて、

お楽しみください。