アイルランド・ビーフ・キャンペーン

IRELAND BEEF Campaign

赤身肉の美味しさをより多くの人に

イタリアをはじめとするヨーロッパ諸国では、牛肉のステーキといえば、赤身肉を厚切りで焼くのが、古くからの習慣です。

ところが、牛肉料理の歴史が浅い日本では、赤身肉の美味しさを味わう機会は、まだ少ないと感じています。

そこで、赤身肉の美味しさを、より多くのお客さまに味わっていただくために、ヨーロッパから赤身肉のバランスが良いアイルランド・ビーフを取り寄せ、特別価格で提供する「アイルランド・ビーフ・キャンペーン」を3月22日(月)〜5月5日(水)の期間、実施します。

この機会に、赤身肉の厚切りステーキの美味しさを、ぜひご賞味ください。

監修/料理長・井上裕基

写真・文/ライター 織田城司 
Supervised・Cooking  by Yuuki Inoue 
Photo・Text  by George Oda

料理長ごあいさつ

炭火焼きグリルの前でアイルランド・ビーフのTボーンを切り分ける料理長・井上裕基

アイルランド・ビーフの魅力

◆フィレンツェのステーキに感動

東京のイタリアンレストランで料理人の修行を積んでいた頃、はじめてイタリアの牛肉の本場、フィレンツェのレストランで、名物のTボーン・ステーキを食べました。

厚切りの赤身肉を炭火で焼いた美味しさに驚き、日本で食べていたステーキとは明らかにちがい、感動の瞬間でした。

この味を日本のレストランでも再現したいと思いました。

フィレンツェの街並み

◆牧草牛に注目

しかし、フィレンツェ風の赤身肉のステーキの再現は、すぐにできませんでした。

さまざまな牛肉を取り寄せて炭火で焼いても味に迫力がなく、物足りなさを感じていました。

やがて、試食を重ねるうちに、牛肉の味のちがいは、原産国や品種のみでなく、飼育法に出ることが、わかるようになりました。

そこで、注目したのがグラスフェッド・ビーフ(牧草牛)です。

自然の環境のなかで放牧され、牧草のみで飼育された牛です。肉質は赤身が多く、牛肉本来の旨みを強く感じます。

フィレンツェで食べたステーキが、牧草牛の肉かわかりませんが、味の特徴が似てると思いました。

アイルランドで放牧され、牧草を食べて育つヘアフォード種の牛(アイルランド政府食糧庁日本事務局の公式写真より)

◆アイルランド・ビーフにたどり着く

牧草牛も種類がたくさんあります。なかにはパサつくものや、草の臭いが強いものもあります。

その点、アイルランドの牧草牛は肉質が柔らかく、肉汁はしっとりしています。味わいは、旨みがしっかりして、牧草の香ばしい風味が程よく効き、バランスが良く、品質も安定しています。

フィレンツェ通の肉好きのお客さまからも「うむ、フィレンツェの肉の味に似てる」という感想をいただいております。

◆牧草牛の旬とは

ここで、すこしマニアックな牛肉のお話を。牧草牛は冬場、新鮮な牧草が少なくなるため、干し草を与えられる機会が多くなります。

すると、肉に染み入る草の風味は、青々しさが減り、干し草特有の、乾燥した木材のような香ばしさが増し、肉のコクも深まります。

このため、牧草牛は「冬の干し草牛」が美味しさの狙い目です。

アイルランドがある北半球では、今度のキャンペーン期間にあたる、新緑が芽生える前までが、ちょうど「冬の干し草牛」の晩期になります。

考えてみると、放牧された牛を炭火で焼くことは、大昔からある素朴な技術ですが、そのスローライフが、いまはすごく尊い技術に思える、歴史の因果を感じます。

そんな、アイルランド・ビーフの美味しさを、ぜひ厚切りで、味わってください。

2021年3月吉日

ラ・ビスボッチャ 料理長 井上裕基

キャンペーンメニュー2種

 

①アイルランド・ビーフ Lボーンの炭火焼き

アイルランド・ビーフ Lボーンの炭火焼き

メニューについて

◆赤身の美味しさをバランスよく味わう

牛の背中にある部位で、赤身が柔らかいリブロースを、骨がL字型に残るようにカットしたもので、通称「Lボーン」と呼ばれています。

こちらを、骨が付いたまま炭火で焼き、骨から染み出した髄液を肉に浸透させながらコクを増します。

調理

アイルランド・ビーフ Lボーンの塊肉

Lボーンの塊肉を切り分ける。写真は800gのイメージ

切り分けた肉に塩コショウで下味をつける

塩はシチリア産自然海塩「エガディ」の細粒を使用。旨みがたっぷりして、マイルドな辛みがある

黒コショウは世界最高峰の産地、カンボジアで日本人が手がける「クラタペッパー」社製を使用。柑橘系や木材系などのリラックス感ある香りが高く、爽やかな辛みがある

切り分けた肉を炭火焼きグリルの焼き網の上にのせ、加熱する

炭は火持がよく灰が少ないオガ炭の「五香備長炭」を使用

トングを使って肉を反転させ、反対側から加熱する。炭火の炎でついた焦げ目がイタリアの炭火焼きのワイルドな雰囲気に似ている

滴り落ちた肉汁が炭火で燃え、立ちのぼる煙が燻製効果となり、肉に香ばしい香りをつける

焼き上がった肉を骨から外す

肉を食べやすい大きさに切り分け、皿に盛り付け、エキストラヴァージン・オリーブオイルをふりかけて仕上げる

エキストラヴァージン・オリーブオイルはイタリア南部の特産地、プーリア州にある「ディサンティ」社製を使用。青々しい香りが豊かで、マイルドな辛さがある

お召し上がり

アイルランド・ビーフ Lボーンの炭火焼き

◆香ばしい牛肉の美味しさ

焼き上がったLボーンの炭火焼きは、赤身の赤さが残る焼き加減です。

日本の焼肉を食べ慣れたお客さまは「え!まだ生じゃないの?」と思うかもしれません。でも、その焼き加減が、上質の赤身肉の美味しさを最大に引き出すポイントです。

ひとくち食べると、見た目以上に肉そのものの美味しさが広がり、「たしかに、これ以上焼かないほうがいい。」と感じます。

アイルランド・ビーフ Lボーンの炭火焼き

肉の真んなかの赤い部分は、柔らかく、肉汁はしっとりして、やや粗めの繊維質をサクサクと断ち切る歯ごたえが心地よく、牛肉そのものの旨みが濃く、香ばしい牧草の風味が程よくブレンドされています。

外側のコゲ茶色の部分は、カリッとした食感で、炭火香の香ばしさや塩コショウの味、焦げ目のほろ苦さが効いて、スパイシーなアクセントです。

肉の間に入るバター色の脂分は、プルンとした食感で、コクのある甘さを感じます。

見た目のボリューム感と、しっかりした歯ごたえから、たくさん食べたと思うけれども、赤身肉ゆえに脂肪分が少なく、重くもたれる感じはほとんどなく、後味は意外なほど軽やかです。

アイルランド・ビーフ Lボーンの炭火焼き

アイルランド・ビーフが選ばれる理由

アイルランドで放牧され、牧草を食べて育つヘアフォード種の牛(アイルランド政府食糧庁日本事務局の公式写真より)

①おいしい草をたっぷり

アイルランドはヨーロッパの西端に位置し、国土の85%が豊かな緑地です。温暖な気候や豊富な降水量に恵まれ、牧草が育つ季節が長く、それを食べて育つ牧草牛の肉らしい味や牧草の風味が安定しています。

アイルランドの土壌は石灰質で、そこで育つミネラルたっぷりの牧草を食べた牛の肉は、ビタミンや鉄、オメガ3脂肪酸、ベータカロチンなどを多く含み、栄養が豊富です。

②ステーキに適した品種

アイルランドで飼育されている食肉用の牛はヘアフォード種。イギリスが原産の世界3大肉用牛のひとつです。

肉質は赤身が多く、サシ(赤身の間にある脂肪)が少なく、厚切りステーキに向いています。

③伝統といま

アイルランドは、牧草牛の飼育で500余年の歴史があります。現在は生産される牛肉の90%に近い量を、グルメの歴史をリードしてきた英国、およびヨーロッパ諸国に輸出しています。

フランスでは、ミシュランの星つきシェフを中心に結成されたアイルランド・ビーフ・クラブがあります。

フランス料理界でもっとも権威があり、美食のワールドカップと呼ばれている「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」2013年大会で、アイルランド・ビーフはメイン食材に選ばれています。

2018年と2019年のワールド・ステーキ・チャレンジで、アイルランド・ビーフは他国を抑え、最も多くのメダルを獲得しています。

近年は、こうした評価が広まり、アメリカやアジア市場への輸出も急激に伸びています。

ラ・ビスボッチャ店内

②アイルランド・ビーフ Tボーンの炭火焼き

アイルランド・ビーフ Tボーンの炭火焼き

メニューについて

◆2種の肉が共存する希少部位

牛の腰にある部位で、T字型の骨をはさんでサーロインとフィレが向かい合う形でカットしたもので、通称「Tボーン」と呼ばれています。

フィレは、運動量が少ないため、筋はほとんどなく、柔らかく、繊細な旨みとコクがあり、最上級の部位とされているにもかかわらず、牛一頭からフランスパンほどの大きさしかとれない希少なものです。

Tボーンのなかでも、特にフィレの面積が大きい「ポーターハウス」という部位を選んでいます。

こちらを、骨が付いたまま炭火で焼き、骨から染み出した髄液を肉に浸透させながらコクを増します。

調理

アイルランド・ビーフ Tボーンの塊肉。特にフィレの面積が大きい「ポーターハウス」と呼ばれる部位

Tボーンの塊肉を切り分ける。写真は800gのイメージ

切り分けた肉を炭火焼きグリルの焼き網の上にのせ、加熱する

トングを使って肉を反転させ、反対側から加熱する

トングを使って肉を立たせ、骨の底辺から加熱する。骨から染み出した髄液が肉に染みわたり、肉にコクをつける

焼き上がった肉を骨から外す

肉を食べやすい大きさに切り分け、皿に盛り付け、エキストラヴァージン・オリーブオイルをふりかけて仕上げる

お召し上がり

アイルランド・ビーフ Tボーンの炭火焼き

◆運動量が少ない部位ゆえの凝縮感ある美味しさ

Tボーンのサーロインの部位は、Lボーンのサーロインよりも後方に位置します。

運動量が少ない部位ゆえに、脂肪が少なく、赤身が充実して、旨みの凝縮感があります。

アイルランド・ビーフ Tボーンの炭火焼き。左側がサーロインの部位

Tボーンのフィレの肉質は、サーロインよりも柔らかく、キメが細かくなります。

味わいは、旨みが繊細で、ほろ苦さやコクが加わり、奥深さを感じます。

サーロインとフィレ、2種の味くらべが楽しめるのが、Tボーンの魅力です。

アイルランド・ビーフ Tボーンの炭火焼き。右側がフィレの部位

キャンペーン特別価格

キャンペーンメニュー①、②の価格は同じ、ともに600gより

⚫︎店内のお食事

100g/¥2,000(税込)

⚫︎テイクアウト

100g/¥1,600(税込)

エピソード:アイルランドのラグビー

2019年9月28日ラグビーW杯日本対アイルランド戦19-12 小笠山総合運動公園エコパスタジアム(写真・料理長・井上裕基)

アイルランドといえば、2019年9月28日、ラグビーワールドカップの日本対アイルランド戦を静岡県の小笠山総合運動公園エコパスタジアムで観戦しました。

試合は日本が接戦を制して勝ち、感動しました。試合後、アイルランド人のサポーターは、私を見つけると取り囲み、野次られるのかと思ったら、代わるがわる握手とハグで日本の勝利を讃えてくれました。

格下の日本に負けた悔しさよりも、先に勝者を讃える文化が浸透していることに、感動を覚えました。

そんなアイルランド人の紳士的な対応から、アイルランド・ビーフがより美味しそうに感じたのは、私だけではないと思います。

 

春から初夏へ、爽やかな季節のディナーは、

「ラ・ビスボッチャ」の

「アイルランド・ビーフ・キャンペーン」でお楽しみください。